○13
しかし、無能力者が対処できない事件なんだから、僕は行かない方がいいはずだが。
「相手は一人よ。問題は無いし、貴方が私の奴隷に相応しいかの試験にもなるじゃない。」
「その試験は森の方じゃダメだったのか?」
「それは駄目。だって面白くないじゃない。」
「アホな子が連れてきた魔物に追いかけられたくせに。」
「あんな魔物で私を止められると思うの?あのバカを巻き込んで皆殺しにしたわ。」
「ころしちゃったの!?」
「一人を除いてね。愉快だったわね。」
鬼だった。さすがにエクレールもアリシアには敵わないようだ。
「何?女の子だから気になってるの?」
「いや、暇だから外を歩いていたらエクレールっていう人に会っただけで。」
何故か、アリシアはため息をついた。
「まさかそんな偶然の連続になるなんて。でも、何であいつ、一人で森を移動していたのかしら。」
「エクレールと知り合いなのか?もしかして。」
「元同僚よ。数ヶ月前にあいつやめちゃったから。別に会うつもりはなかったけど。何なのかしらね。」
「昔からアホな子なのか?」
「そうね。そのせいで任務が混沌とした状況になって、損害賠償を払わせられてきたから。他に夢があるって言って辞めてからは楽になったけど。正直、彼女がまた何かするとなると厄介ね。」
「エクレールのことは、嫌いなのか?」
「さあ。憎たらしいだけかもしれないけど。あの子、結局何がしたいのかしら。」
それは自分もよく分からない。
エクレール個人の問題で、僕には関係のないことだ。
「貴方こそどうなの?本当はあの子の方が好みなんじゃない?」
「あいつに森の中に連れていかれたから、スライムに体当たりされたんだけど。ああ、そのスライムのせいで、エクレールが持ってた剣が折れたよ。」
「はあ!?」
驚かれた。凄い剣幕だった。
「あの剣が折れたって、エクレールならありえそうだけど。よりにもよってあの名剣が折れるなんて。きっと実は偽物だったに違いないわ。王家の名剣とか嘘をつくなんて。」
「でも、あのスライム物凄く硬いぞ。」
「固形化するタイプだもの。本当は凄いナマクラだったなんて、あの子の悪運の強さは天才レベルね。」
「悪運ね。」
ただ、そのエクレールが何から逃げているのか。それはよくわからないままだ。
もしかしたら、割と大変なことに巻き込まれているのかも。
会ったら一応、ちゃんと話してみよう。




