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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
ネクストフェイズ
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102/131

〇102

雨が降る。

自分の体が軋みだし、自分の中の体が全てあふれ出そうになった。

何処か気分が悪くなって嘔吐感が隠せない。

耳の聞こえが悪くなって、鼓膜から血が出ることが何度もあった。

気分が悪い、まさかここまで異常が出てくるとは思っていなかった。

「くっ・・。」

鏡を見ると、自分の瞳が金色に輝いていた。

これが何を意味するかは分からないけれど、すぐにあの魔法使いが答えてくれるかもしれない。

しかし、油断は禁物だ。あのシエルも、ナガトと同じく私に適当に全てをイエスと答えているだけかもしれない。

「あの男・・。」

何故、私はこんなにも怒って居るのか分からなかった。

普段ならそこまで気にしないのに、一体自分の中で何が起きているのか理解できない。

「天気が悪いと体調不良になるタイプなの?」

暗い部屋の中で、椅子に座って寝ていたシエルからそう言われる。

「煩いわね・・。」

「月が出るころじゃないと、貴方に刻まれている聖痕が見えないんでしょう?仲良くおしゃべりして待って居ましょう。」

「胡散臭い奴と一緒に居たくないんだけど・・。」

「今更そんなことを言うの?」

「ほかの人種を排除するにしたって、あれも教団とやっているただのテロじゃない?」

「余程頭の良い無能力者でもない限り殆どの人間はただの労働者になる。例え魔力が少しでも無ければ、例え素質があっても他の魔法使いの餌食になる。そういう不条理な世の中を変えたいのよ。私たちは。」

「貴方。変えられると思ってるの?」

「教団の人たちは復讐、私たちの場合は義憤により行動しているの。根本的にスタート地点が違うのよ。」

「ただの屁理屈よ。」

明らかにゴールが一緒なくせに、この女は教団よりも正義感を感じて生きている。

「でもそれなら、何故貴方は私と一緒に居るのかしら。」

「別に。少し疲れただけよ。結局、私のことを真面目に守ってくれる人は居ないし。」

「あのナガトという人が、貴方に対して襲ってきた獣人の女の子がきにくわなかったの?」

「それもあるけれど・・・。でも、それなら相手がもし三人の男の暗殺者だったら。彼は同じ事をしていたのかしら。」

「さぁ。でも、女の子の貴方が誰かを殺し続けているのを見るのは堪えられないんじゃない?」

「説教する気?」

「説教じゃないわ。ただ貴方の気持ちを推測しているのよ。間違っているのなら、間違っていると言っていいわ。」

「・・・・。」

それも説教に近い気はするんだけれど、この女も体外人を見下している感はする。

「あのね・・。貴方だって別に、私が何をしたったそう驚かないでしょう?」

「そうね。じゃぁ、この話は止めて。どうして人類が多く枝分かれしているかの説明でもしようかしら。」

「枝分かれ?」

「人間の他に、獣人、エルフといった多種多様の存在があるかということ。大学では、一応魔力による体質変化によって人間は姿を変えて来たと言っているけれど。それなら殆どの魔法使いが別の姿に変えてしまっても無理はない。しかし、魔法使いの近くに居るはずの無能力者たちは人間のままを保っている。どうして、全てではなく少数のグループが変化してそのままかは理解されていない。」

「そのままって・・別にすぐに変化するわけじゃないでしょう?」

「私たちはね。そういう謎を一度つきとめようとして遺跡を調査していたの。そこで、ある物の遺跡に関連する遺跡をいくつか発見して。私は古い何かの試験管を見つけた。」

「試験管?」

「大きなその試験管の中に入って居たものは、人間だったのよ。試験管の中にある液体に守られていて、体が奇跡的に綺麗に保たれていたんだけど。その試験管やその他の機材がどういうものかは理解できなかった。操作するのは危険だから、止めておいたけれど。あの場所は以後誰かに見つからないように厳重に管理されているわ。その遺跡は確かに古くから存在しているはずだけれど。やはり、昔からあったものにしては技術が発達しすぎている。私たちはそれが一体何なのか知りたかったけれど、文章解読に失敗し続けていたの。そして、ある日遺跡の中の機材を操作する方法を見つけて何とか解読法を突き止めた。」

「つまり、術式が分かったの?」

「いいえ。単純な日常用語が分かっただけよ。私たちが最初、あの機材から出て来た画面の中の全ての文字を術式と勘違いしたのが大きなミスだったわね。」

モニカもシエルも、遺跡の中の機材にあるものの文字を・・最初から術式の文字だと勘違いしていた。

遺跡には普通の文字ではなく、術式を壁に掘ることで遺跡全体を魔法の祭壇にする技術があったからだ。

流石に、神に匹敵する魔力量と集中力が無ければ機能しないため最終的に放置されているものが多いのだが。

「日常用語関係の文字を解読した次に、ある程度その文法を理解することはできた。つまり、私たちと同じな人間が作り出したというのは分かったんだけれど。」

「何かあったの?」

「機材をいじって居るうちに、その機械を構成する深層部分と思われる個所を開いたんだけれど。そこは理解できなかったのよね。術式でもない、数字と少数の文字の羅列みたいなものがあって。明らかに何かを意味しているはずなんだけれど。」

「変な遺跡ね。想像がつかないんだけど。」

「その変な遺跡をある程度調査した後、その遺跡に関連するものを私たちは入手できた。その内二つは協会と、裏切り者によって奪われたけれどね。」

「貴方たちの中にも裏切る人って居るのね。」

一体、何人の人間が似たような理由で裏切り行為しているんだろうか。

「あの時は仕方が無い面もあったの。あれを私たちはなんとか解読しようとしていたんだけど。その力で他の国を打倒しようとする人も居たんだから。それを阻止するためには、力を誰かが独占する必要が会った。協会がその力を保有してくれたところで今はなんとかなっているけど。あの力なら人類を皆殺しにすることだってできるわね。」

「そんなに凄い力なの?」

「えぇ。だって場違いの加工品だもの。私たちよりも遥かに優れた技術を持つ世界から送られてきた魔法の武器なんだから。」

その時点でかなりのチート武器のような気がする。

シエルでさえも他者に使う事を躊躇するほどの能力を秘めているが。問題はそんな物が一体どこからやってきたんだろうか。

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