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私の家の壺の中から、時折『転生者』が出てきます。  作者: 溝端翔
リョクが出てきた!

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ランクってなに?

「できた!」

「ほんと! すごい!」

「っていうかこのズボン女神様にもらったものなのにめっちゃランク低いんだけど……」

「ランクってなに?」


 ラズは本当にとぼけた顔をしている。それがまたかわいいのだ。


「え、えっと。ランクってのは物とか人とかにつけられる位、みたいなもので。とにかくそのランクが高ければ高いほど珍しかったり強かったり凄かったりするんだけど……」

「そのズボンはそのランクってのが低いんだ」

「うん、めっちゃ低いと思う。はあーショックだ。俺女神様に嫌われてたのかも。武器ももらってないし」

「大丈夫だよ! そんなことないよ! ほかにも服は? 服はきっと良いものだよ!」

「そうかな。やってみる」



『鑑定結果……ランクE 転生者の服 どこにでもあるような服。冒険者が最初に身につけそうな見た目の服。その実着ているのは転生者のみである。正直着ない方がいいレベル』



「だめだ、ランクEだった。めっちゃ低い」


 リョクは目に見えて落ち込んだ。どより。という効果音が聞こえてくる。


「じゃ、じゃあスキルは? スキルはかんてーできないの? 服はダメでもスキルはランク高いかもしれないよ?」


 スキルを鑑定?


 その考えは頭から抜け落ちていた。もしかしたらスキルも鑑定できるかもしれない。


「ラズ! すごいよ! そんなこと思いつきもしなかった!」

「えへへ。でしょー。意外と頭いいんだ私」


 とはいえスキルなんてどこを見つめて鑑定すればいいんだろうか。


 手……とか?


 やってみるか。


 鑑定!


 リョクは脳内で、バフスキルと考えながら、手のひらを見つめた。



『鑑定結果……ランクB 身体能力向上パラメータアップ 筋力や瞬発力などのパラメーターを一時的に向上させる。自分自身のみではなく、他人にもかけることができる。このスキルはランクアップできる』



「どう? どう?」

「うん、ランクBだった。しかもランクアップできるらしい」

「すごいじゃん! やっぱりスキルがいいんだよ! だってその服見たことあるもん! いっつも転生者の人が着てるやつだし!」

「そ、そうなんだ」


 それは早く言って欲しかった。言ってもらってたらあまり凹まなくてもすんだのに。


「鑑定スキルも鑑定できるかな」

「うん! やってみよ! かんてー!」


 両手を脇に構えてラズが跳ねた。胸がぽよんと揺れるのをリョクはしっかりと目撃した。


「や、やってみる」


 生唾を飲み込んで、リョクは汗ばんだ手のひらを見つめて、鑑定と念じた。



『鑑定結果……ランクS 鑑定アナリシスレベル4 瞬時に対象の情報をかなり得ることができる。このスキルはランクアップできる』



「お、ランクSだ。かなり当たりなのかも!」


 でもランクアップ出来るってことは、裏を返せばまだ見れない情報もあるってことだよな。それにしてもアナリシスか。次からはそう呼ぼう。その方がかっこいいから。


「やったね! らんくえすはいいやつ?」

「かなりいいやつ!」

「やったー! 私のことじゃないのになんか自分のことのようにうれしいよ!」


 飛び跳ねている。可愛い。なんだこの生き物は。


 最推しアニメの最推しキャラクター上井さんに似ているからだけではなく、ラズの不思議な魅力のようなものにリョクはどんどん惹かれていく。というか女っ気が一つもなかった青年に、ボディータッチの多い少女は勘違いをしてしまう。手を繋がれてはもうだめだった。


「あのさ。身体能力向上パラメータアップが他人にも使えるみたいなんだけど、ラズで試してみてもいい?」

「私に? いいよ?」

「ちょっとまってね」


 リョクはラズに手をかざして叫んだ。


身体能力向上パラメータアップ!」


 風が吹いた。たまたまだろう。何も起こった気配はしなかった。


「ん? 何も変わんないよ?」

「あれ? ほんと? ちょっとそこのツボ持ってみて?」

「ええー? これすっごい重たいんだよ? 絶対無理だよ!」


 ラズはツボに近寄って持ち上げてみた。しかしぴくりとも動かなかった。


「あれ? 失敗かな……。ちょっと俺の手握って力入れてみて?」

「うん。ぎゅーっ! どう?」

「あれ? 強くなってなさそう。流石にこの程度のバフスキルじゃないと思う。強化かける時に体に触れてないとダメとかかな」

「そうなの? はい!」


 ラズは手を後ろに回して胸を突き出した。


「いや、流石に胸は……」

「胸? 肩だよ?」

「あはは、そうだよね。変なこと言ってごめん」

「べつに胸でもいいけど。ほら、触ってみて」

「えっ? あ、ちょっと待ってね。今度は言霊なしでやってみる」


 リョクはラズの胸、ではなく。肩に手を置いて身体能力向上パラメータアップと念じてみた。すると、ラズの体が水色の少し暖かい光に包まれた。光は一瞬で消えてしまったが、強化できたと実感できた。


「今度こそツボ持ってみて」

「ええー絶対無理だって。さっきも見たでしょー。私そんなに力ないもん」

「いいからいいから」

「むーう」


 少し文句を言いながらも、ラズはリョクのいう通り転げたツボを持ち上げてみた。


「わっ」


 さっきとは違い、まるで空の段ボールを持ち上げたときのようにツボはいとも簡単に持ち上がった。ラズはそのままツボを元あった位置に戻した。


「すごーい! さっきあんなに重たかったのに今すごい軽くなってたよ! すごいね! リョクのスキル」

「あはは。それはツボが軽くなったんじゃなくて、ラズの力が強化されたんだよ」

「ほんと? じゃあリョクも持ち上げられるかな?」


 ラズはリョクの正面から腰に抱きついて持ち上げた。


「あははー。すごいすごーい!」


 簡単に持ち上がったリョクを、ラズはくるくるとその場で回って振り回した。


「うわっ。ちょっとラズ、止まって止まって。ていうか胸当たってる!」

「ん? あ、怖かった? ごめんね?」

「いや、そういうわけじゃないんだけど」


 リョクは振り回された影響でクラクラとしながら顔を真っ赤にしていた。

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