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私の家の壺の中から、時折『転生者』が出てきます。  作者: 溝端翔
リョクが出てきた!

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16/25

入らないの?

「はあ。ラズ、着いてきてくれそうにないな」


 ラズは仕事をしたくないと言っていたが、どう見ても今日の仕事振りは楽しそうで、充実しているように見えた。魔物退治で生活したいけど、魔王退治をしろと何度も女神様に言われる。この命令には逆らえそうにない。


「リョクー! モゾ焼き持ってきた!」

「ありがと」


 やっぱりうまかった。モゾがうまいのかもしれないと思ったけど、そのモゾに対しての味つけが抜群にあっているような気がする。


「これは誰が作ってるの?」

「ん? 料理? お父さんだよ? お母さんも手伝ってるけどほとんどがお父さん。私が働くまではお母さんがウエイトレスやってたんだよー。今でも土日はお母さんがウエイトレスやってるんだけど、可愛いんだよ!」

「そうなんだ」


 ラズのお母さんはちょっと怖い。強敵を目の前にしたって感じだ。勝てないって言われたし。


「リョク、どうかした? 元気ないよ?」

「いや、ラズはこの生活が合ってそうだなって思って。旅とかじゃない気がする」

「うーん。この仕事は慣れたけど、私は専業主婦がしたいからなあ。確かに旅はあんまり……。毎日ちゃんとお風呂入りたいし。一番は隣街で生活することかなあ」

「魔物退治だよね?」

「うん。魔物退治してくれる?」


 ラズは机の上に乗り出してリョクを見つめた。


『魔王を殺せ』


「ごめん。やっぱり魔王退治しないといけない気がする。どうしても」

「そっかあ。でもさ、期限は決められてないんでしょ? とりあえず拠点として隣町に住むのはありなんじゃない?」

「たしかに。それはやってみないとわかんないね」

「じゃあさ! 明日私も隣町まで着いていく!」

「ほんと? それは嬉しいよ!」


 そのままの流れで一緒に旅に……なんてことになるとうれしい。まあそんなことにはならないだろうけど。


「ふえー、ちょっと酔っちゃった。リョクはあんまり酔ってなさそうだね」

「うん」


 ウエイトレス姿のラズは可愛いし、明日のことでも頭がいっぱいだし、酔うどころではなかった。


「よし、お部屋戻ろっか」


 ラズは少しフラフラしながらリョクの手を引いて部屋に戻った。


「ふうー、疲れたー。リョクも疲れたでしょー。待っててくれてありがとね」

「うん、大丈夫」


 むしろ眼福でした。


「私お風呂入ってくるけど一緒にくる?」

「え? 一緒に?」


 そんなわけないと思いながらも、心臓が高く脈打つ。


「うん。だって場所わかんないでしょ? リョクは入らないの?」


 なんだ、そういうことか。てっきり一緒に入ろうって誘ってきたのかと思った。そんなわけないか。っていうかお風呂か。今日の着替えのこととか何にも考えてなかった。


「俺着替え持ってないや」

「そっか、ほんとだねえ。スノちゃんのとこ行けばよかったね。うーん、どうしよっか。うちのお父さんの服でも着る?」

「ほんと? 助かるよ」

「じゃあお風呂いこっか」


 ラズはまず、向かいの父親の部屋に入った。ラズの父親はまだ仕事中で、誰もいなかった。


「はい。持ってきたよ」

「ありがとう。でも勝手にいいのかな」

「いいのいいの。気にしない気にしない」

「そ、それならいいんだけど」

「よーし! じゃあお風呂だ!」


 ラズは一階のお風呂場にリョクを連れてきた。意外と広い。湯船とシャワーは別にあった。


「ここがお風呂ねー。じゃあ入ろっか」


 ぶるんとラズが胸を出した。いきなり服を脱いだのだ。ラズは下着をつけていない。目の前に大きな二つの胸が揺れる。


「ちょ! あっ、らららず。俺は後で入るから。ラズは一人で入っていいよ」

「あらあ? 一緒に入んないの? 残念。じゃあ待っててね」


 リョクがいるのにどんどん服を脱いでいく。リョクは目を逸らしながら慌てて脱衣所を出た。


「これも魅了チャームの効果なのか?」


 距離が近すぎるというか、恥じらいがないというか。とにかく恐ろしすぎる。ラズの胸をしっかり見てしまった。目に焼きついて離れない。お気に入りの上井さんの同人誌とほぼ一緒だった。鼻血、出てないよな。

 シャワーの流れる音と、ラズの鼻歌が聞こえる。


「はあ。できることなら魔王退治なんてやりたくねえ……。がっ!」


 リョクは体に強力な電流が走ったような気がした。と同時に気を失ってしまう。脳裏には『魔王を殺せ』の言葉が焼き付いていた。

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