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私の家の壺の中から、時折『転生者』が出てきます。  作者: 溝端翔
リョクが出てきた!

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15/25

料理は美味しい?

 ラズはリョクを連れて宿屋のホールに向かった。ホールは昼間とは大違いで、たくさんの人で溢れていた。


「ラズちゃん今日もかわいいねえ」

「えへへー、ありがとー。いっぱい飲んでいってねー! お、空いてる席はっけーん! ほら、リョクはここに座ってて。あ、メニューはこれね。頼みたいのあったら私を呼んで?」

「うん、ありがとう」

「じゃあ私はお仕事に行ってくるね」

「行ってらっしゃい」


 くるっと回ると短いスカートがふわっと捲れ上がり、水色のパンツが顔を出した。


 鼻血が出そうになる。


 上井さん。ではなくラズのパンツが目の前に。まだ一滴も酒を飲んでいないのに、周りの雰囲気も相まって酔った気分になる。酒を飲んだことがないから酔った気分がどれだけのものかわからないけれど。


「麦酒二つのお客様―!」

「はーいこっちだよラズちゃん!」

「ありがとー! まだまだいっぱいあるからね!」


 リョクはラズに。特に服装に釘付けだった。ゆれる胸。チラリする水色。それ以上にオレンジのウェイトレスの制服が、性癖に刺さって仕方がない。


 一緒に旅する時、持ってきてって言ったら持ってきてくれるかな。着てくれるかな。


「はいどうぞー。あんまり飲みすぎないでねー!」

「ラズちゃんありがとう。今日もかわいいね」

「ほんと、良いつまみになるよ」

「えへへ。あ、でもいっぱい食べていってね!」


 見てる限り、ラズの評判は本当にいい。


 というかほとんどの客がラズを目当てに飲みにきている。なにせチラチラ生のパンツが見えるのだ。揺れる谷間だって見える。しかしながらこの酒場、料理もとにかく美味しいらしい。ラズの両親が作る料理もかなり売れている。宿屋の収入よりも酒場としての収入が多いのも頷ける。


「ラズちゃん、注文いいかな!」

「はーい!」


 後ろの席の人に呼ばれてくるんと回る。もちろんパンツがちらりと覗かせ、周りの客が酒を飲む。


「えーっと。モゾの照り焼きと麦酒一つ」

「はーい! お母さん! お父さん! モゾの照り焼きと麦酒一つ。五番テーブルさん!」

「はーい」

「ラズちゃん!」

「ラズちゃん!」

「はいはい! ちょっと待ってねー!」


 ラズは忙しそうにパンツをちらちら胸をたゆたゆさせながら仕事をこなした。


 時刻は二時四十分。もうほとんどの客は帰ってしまった。リョクはラズが仕事をしているのを何も食べずに、何も飲まずにずーっと見ていた。ていうかこれだけあれば何もいらないくらいだ。


「リョク、お腹空いたでしょ。うちの一番高い料理持ってきたよ。あと麦酒」

「あ、ありがと」


 ラズの姿が眩しすぎる。まじでかわいい。


「どうしたの? 顔赤いよ? もう飲んでたっけ?」

「いや、ちょっと暑くて。大丈夫。ていうか俺まだお酒飲めない年齢なんだけど」

「あれ? リョクって何歳だっけ?」

「十九歳」

「じゃあ飲めるじゃん。お酒は十八歳からだよ?」

「あ、そうなんだ。うちの世界では二十歳からだったんだ」

「へー。でも大丈夫。だってもうリョクはこっちの世界の人だから。もうちょっとしたら私も仕事終わるから、そしたら一緒に飲もうね」


 ラズは仕事中、客に勧められてお酒を飲まされていた。顔はほのかに赤らんでいる。

 リョクは麦酒を一口飲んでみた。独特な苦味がしてはじめは美味しくないかもと思ったけれど、料理を食べてから飲んでみると、これはなかなか美味しかった。

 というか料理がうまい。モゾって言ったっけ。これうまい。


「おまたせー! これお代わりするでしょ!」


 ラズは両手にジョッキを持ってきた。そのあとまた調理場に戻ったかと思うと、さっきの料理を両手に持ってきた。


「よいしょっと。はいリョク、かんぱーい!」

「かんぱーい!」


 客はもう誰もいない。リョクとラズの一対一だ。


「ぷはー。仕事終わりの麦酒は美味しいねえ」

「俺はかなり癖あるなって思った。でもうまい。てか料理めっちゃうまかった。モゾっていうの?」

「うん。これはモゾの心臓だよ。弾力があって美味しいんだよね」


 心臓だったのか。そういやモゾは魔物だろうか。モゾの心臓には魔石はないのだろうか。


「気になるんだけどさ。モゾには魔石はないの?」

「あるよー。でもちっさいの。ちゃんと取り除いてるから安心して食べていいよ?」

「そうなんだ。ってことはモゾって魔物?」

「魔物っていうか、何ていうか……うーん、家畜? だねえ」

「動物にも魔石ってあるんだね」


 魔石っていうくらいだから魔物にしかないものだと思った。


「あるよ。ってうか人間にもあるよ。死んだら魔石を取り除いて埋葬するの。取り除いた魔石は遺品としてペンダントとかにしたりするよ」

「そうなんだ」


 ってことはラズの魔石は相当大きいんだろうな。と物騒なことを考えてしまった。リョクはその考えと一緒に麦酒を腹の奥へと流し込んだ。


「まだお腹空いてるでしょ? なんか持ってくるね?」


 ラズは走って調理場の中に消えていった。

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