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私の家の壺の中から、時折『転生者』が出てきます。  作者: 溝端翔
リョクが出てきた!

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武器はあるかな?

「今日はねー、武器を見にきたんだよ!」

「武器かい。珍しいね。もしかして使うのはそっちの坊やかい?」

「うん。リョクっていうの。今朝転生されてきたんだ」

「リョクです」

「ほうほう、なるほどねえ。ちなみに予算はいくらくらいだね?」

「あ、えっと、これくらいです」


 リョクはカウンターにさっきスライムから採取した魔石二十一個をじゃらじゃらと出した。


「ほお、これは魔石だね。見たところスライムかな。これだけあればうちの武器はなんでも買えるね」

「良かった」


 リョクはほっと胸をひと撫でした。


「そうだなあ。じゃあこんなものはどうだい?」

「老人は一本短剣をカウンターの裏から取り出した。デザインが奇抜で格好いい。リョクは手に取って鑑定してみた。


『鑑定結果……ランクD カメリアの短剣・八の剣 名匠カメリアが打った短剣。八番目に打たれた短剣で、それほどクオリティは高くない』


「なるほど、この短剣いいですね。名のある名匠が売ったに違いない」


「おお、坊や。転生者の割に目がいいんだな。確かにこの短剣は名匠カメリアが打ったものだ。おそらく七番目か八番目か」


 この道数十年であろう骨董屋でも完璧に見定めるのは無理なのか……。でも良かった。これならいい買い物ができそうだ。


「じゃあこれはどうじゃ?」


 今度は青色の鉱石で作られた短剣を出してきた。キラキラと光っていてかなり綺麗だ。


『鑑定結果……ランクD メトロン鉱石のナイフ。メトロン鉱石は鋭いが欠けやすく、すぐにダメになる短剣。メトロン鉱石自体がまあまあ珍しい』


「これはまた珍しそうな鉱石ですね。ただ見た感じ欠けやすそうだ」


 今度は手に取らず鑑定をした。


「手に取らずともわかるか……。しかし、うちの武器で上物と言えばこれくらいだ……」

「そうですか……」


 どうしようか。どちらにしよう。メトロン鉱石のナイフはすぐ欠けると書かれていた。どれくらいの頻度で欠けるのかはわからないが、すぐと書かれていたことを考えてみると本当に欠けやすいと見える。


 剣を研ぐ力があれば良かったけどそんな力はないし……。となるとやはりカメリアの短剣か。でも短剣なんだよな。できれば長剣が欲しかった。超接近戦しかできない短剣より、距離を取れる長剣の方が絶対に身の危険が少ない。


「あの、長剣はないですか? 剣のレベルは落ちてもいいです」

「長剣か……。あるにはあるんじゃがな……」


 爺さんは少し言い淀みながら後ろから一本の長剣を出してきた。みる限り鞘は錆だらけで、持ち手もぼろぼろだった。


「これがな、こうなんじゃ」


 爺さんが鞘から剣を抜くと、ぼろぼろと錆びた刀身がこぼれながら姿を現した。その剣は、驚くほど錆びていた。


「な? だめじゃろ? わしが手に入れた時からこの感じなんじゃ。鞘の装飾がやけに綺麗なんで捨てるに捨てれなくてな」


 これはだめか。さすがに使い物にならない。まあでも鑑定だけはしておくか。


 リョクは錆びた剣を見つめた。


『鑑定結果……ランクE 錆びた殺しの剣 文字通り錆びている。錆びる前はランクSの殺しの剣』


「ランクS!」

「どうした? 大きな声を出して」

「なんかいいの見つけた?」


 驚きすぎて声を出してしまった。


 大丈夫、まだ爺さんにがバレていない。


 ランクという基準がこの世界に浸透していなくて良かった。まさかこの錆びた剣が元はランクSの武器だなんて考えもしなかった。もしもこの剣を元に戻せれば、これからの旅にかなりプラスになる。


 もちろん錆びた剣を元に戻す方法なんてあるのかもわからないが、旅をしていたら見つかるかもしれない。となると……欲しい。


「この長剣とカメリアの短剣もらっていいですか?」

「なんじゃ、この長剣が欲しいのか?」

「はい。見かけだけでも長剣を持っていると相手に思わせたいので。魔石が足りないですか?」

「いや、十分じゃ」

「じゃあ商談成立です。この魔石二十一個とこの長剣、カメリアの短剣を交換で」

「願ったり叶ったりじゃ。ありがとよ」

「こちらこそありがとうございます」


 リョクとラズは骨董品屋の外に出た。


「ふふふ。リョク嘘ついたでしょ」

「え、な、なにが?」

「びっくりしてたじゃん。何かいいの見つけたんでしょ?」

「うっ、バレてたか。内緒にしといてくれる?」

「うん、もちろんだよ。で、なんなのこの剣」

「ランクSの剣らしい。まあ錆びてるから使えないけどね」

「へえー、これがー。すごいね。あ、ヴァトーおじさんもう研ぎ終わってるかも」

「もう?」


 まだ包丁を渡してから四十分くらいしか立っていない。


「ヴァトーおじさん研ぐの早いんだー。行ってみよっか!」


 リョクはラズに手を引かれてもう一度ヴァトーの家に向かった。


 俺、手汗大丈夫かな。


「じゃあここで待ってて。私取りに行ってくるから」

「うん」


 ラズがくるっと回って扉を開けて入って行った。相変わらずチラリするパンツが美しい。リョクの頭の中がラズでいっぱいになってきた。魅了チャームの仕業だとわかっているのに抗えない。上井さんがそこにいる。


 ラズと一緒に旅がしたい。ヒーラーとか関係なく、ここでラズとさよならするのは嫌だ。

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