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攻略対象 レオポルド・アビントン


今日は待ちに待った俺たちの結婚式だ。どれだけこの日を待ち望んだことだろう。


本当に長い長い道のりだった。


ゲームとやらの話をソフィアから告白されてからもう4年以上経つ。


心配していたゲームの強制力だが、ミアによると


「悪役令嬢は一応捕まって断罪、追放された訳だし、ソロモン・ルートでヒロインはハッピーエンドになったから、もう心配することないんじゃない?ゲームではルートに直接関係ないキャラがその後どうなるかなんて詳細は分からない場合が多いし」


ということなので、ソフィアも胸をなでおろした。


彼女もようやく安心して俺との結婚に臨むことが出来るだろう。


初めてソフィアと会った日から、彼女は俺の中の特別になった。彼女の笑顔は信じられないくらい可愛くて、この世にこんなに心を動かされる存在があるのかと驚いた。


そして、ソフィアは地獄から俺を救ってくれた。それまでの俺の世界は独りぼっちで、暗くて、怖くて、何も信じられなかった。ソフィアはそんな俺の世界を劇的に変えてくれたんだ。


その日からソフィアに相応しい男になるために俺は努力を始めた。


彼女と両想いになれた時の喜びは今でも鮮明に覚えている。せっかくソフィアと婚約までこぎつけたのに、何かと邪魔が入ってここまで時間がかかってしまった。


それまでにソフィアを他の男に獲られてしまうんじゃないかと不安で仕方がなかった。ソフィアは自覚してないが彼女に惚れている男は多い。


猫のような大きな瞳の目じりは普段少し上がっていて、端整な顔立ちや高い鼻梁と絶妙にバランスが取れている。が、一旦笑うと目じりが柔らかく下がり、少女のような愛くるしい表情に変わるのだ。透明感のある真っ白な肌に、光に反射して金色にも見えるプラチナブロンドの髪が良く映える。愛らしく膨らんだ唇はいつも誘うように赤みを帯びていて、俺はいつでも吸いつきたくなる衝動に駆られてしまう。


魔法学院に入学する頃には色々な意味で成長し、折れそうに細い腰の上に服を押し上げてその存在感を主張するたわわな胸が・・・。いや・・コホン。女性だから何とか我慢が出来たが、ミアがそこに顔を押しつける度に嫉妬で胸が震えた。なんて羨ま・・・いや・・・そんないかがわしいことは考えていない・・はずだが・・・疚しい目で彼女を見ていないと言ったら嘘になる。だって好きなんだ。どうしようもない。それくらいソフィアは魅力的で、俺はひたすら彼女を独占したいと願っている。


とにかくソフィアは俺にとって世界の全てと言っていいくらい大切な存在だ。


そんな彼女とついに結婚式を挙げられることが出来て、俺は最高に幸せだ。今日が人生最良の日になることは間違いない!


感無量で拳を握り締めていたら、背後から肩をポンと叩かれた。


「おめでとう!レオ!良かったな!」


と爽やかな笑顔で言ったのはノアだ。


ノアもソフィアのことを想っているのは知っているが、彼の表情に曇りはない。


その後、クリスやジェフリーも現れて次々と祝福の言葉をくれる。こいつらもソフィアに片思いしているはずだが、彼女の幸せが一番という考えは共通しているのだろう。心から喜んでいる姿からは俺に対する友情も感じて、俺は果報者だなと感謝の気持ちが湧いてきた。


国王である父上はエドワードたちが引き起こした騒ぎのせいで、めっきり気力を無くして老いこんでしまっていたが、今日は久しぶりに溌剌とした姿を見せている。


式ではクリスがベストマンを引き受けてくれたので、彼と並んで大聖堂の祭壇でソフィアが現れるのを待つ。ノアとジェフリーもアッシャーとして近くに控えてくれているので心強い。


そして、結婚式の司祭はなんとソロモンだ。何故隣国の皇帝が司祭なんだという文句はミアに言って欲しい。奴が大神官なのは知っているが、なんでアビントン王族の結婚式の司祭なんて引き受けるんだ!?


ミアはアビントン王国とソロモン帝国の良好な関係を知らしめるためにも良い機会だと言って譲らず、父上を説得してしまったのだ。まぁ、確かに戦争寸前まで行った両国が今では友好国だというアピールにはなるのかもしれない。結婚式と戴冠式には近隣国の代表も出揃う予定だしな。


ソロモンは頭からすっぽり被る形の神官服を着てるので、奴の腹が立つくらい美しい顔面を見ずにすんでいる。ソフィアが奴に見惚れるなんてことが今日はあってはならない。


なんてったって今日は俺とソフィアの結婚式なんだ!特別な日だ。


結婚式に続いて国王の戴冠式がある。その後祝賀パレードも予定されていて、国民を挙げてのお祭り騒ぎになるだろう。ソフィアは大勢の人々の前に出ることは苦手だ。だけど、俺のためなら頑張るとやる気を出してくれている。そのいじらしさと健気さに愛おしさが増す。どれだけ俺を好きにさせれば気が済むんだ!と叫びたくなる。


ソフィアは自覚していないようだが、彼女の国民人気は非常に高い。キャサリンのせいで貴族令嬢たちからずっと悪評を立てられていたので、自分は嫌われ者だと思っているようだが、民衆はちゃんとソフィアの良さを分かってくれている。きっと良き妻、良き王妃になってくれるだろう。


『妻』という言葉を思い浮かべると、自分の足元が20センチくらい浮いているような気がする。


ソフィアがついに俺の、俺だけの妻になるんだ!!!


ああもう、ソフィアが俺だけの妻になるんだ!!!!!!


どうしたらいいのか感情的に居ても立ってもいられなくなった。


「・・・レオ。さっきから一人で百面相しているが、ソフィアが来たぞ・・・美しい。さすが僕のクイーンビーだ・・・」


というクリスの言葉に俺は慌ててバージンロードの先を見つめた。


ウェディングドレス姿のソフィアは女神が光臨したのかと思うくらい美しかった。白く輝くシルクのドレスには、細やかで繊細な刺繍がみっしりと施されている。プラチナブロンドの髪を高く結い、顔は薄いベールに包まれている。ベールの向こうに彼女の美しい輪郭とキラキラ輝く瞳が見える。真っ直ぐに背筋を伸ばした凛とした立ち姿から目を離すことが出来ない。透明感のある清らかな肌はまさに天使が舞い降りたかのようだ。肩と胸元が開いたデザインなので、彼女の女性らしい優美な曲線が露わになっていて、他の男の視線に晒したくないとまた独占欲が湧いてくる。


ああ、ソフィア。本当に誰にも見せたくない。君の姿は俺だけが見られるようにしたい。


父親であるブロンテ公爵の腕を取り、ゆっくりとソフィアはこちらに向かって歩を進める。


ああ、動く姿もきれいだ。俺はバカみたいに彼女に見惚れるしか出来なかった。


ブロンテ公爵は感極まって目を潤ませているし、公爵夫人も最前列の親族席でそっと涙を拭いている。


ブライズメイドのミアが「ふふん!」と得意気な表情を浮かべている。当然だな・・・こんな美しい花嫁を俺は見たことがない。


ついにソフィアが俺の目の前に来た。


あまりに興奮してついゴクリと生唾を飲み込んでしまった。


ベールの向こうでソフィアが柔らかく微笑むのが見えて、このまま彼女を攫って二人きりになりたいという衝動を抑えるのに苦労した。


ソロモンの指示通りに誓言を行い、婚姻証明に署名をする。


緊張し過ぎたせいか、ソフィアに見惚れ続けたせいか、全く現実味が無かった。何度もこれは夢じゃないかと自分の感覚を疑った。


最後にソフィアの顔に薄く掛かっていたベールを持ち上げた。真っ白で綺麗な鎖骨や首元が目に入る。それだけでも悶えそうなのに、間近に愛おしいソフィアの顔が現れた。彼女の瞳は潤んでいて、頬はバラ色に紅潮している。ぷるんとした唇は俺の口づけを待っているかのように赤く色づいている。


可愛すぎだろう!と叫ばなかった俺を褒めて欲しい。


ソフィアの大きな瞳は真っ直ぐに俺に向かっている。そこには確固たる愛情と信頼があった。


俺はそんな彼女の気持ちに応えるためにひたすら努力しよう。


そして、彼女を生涯愛し続け、幸せにすることを誓う。


俺はゆっくりと彼女に顔を近づけ、柔らかい唇に口づけをした。ようやく現実に戻ってきた気がする。この感触を一生忘れない。


俺たちはこれから共に歩んでいく。一緒に幸せになろう。


愛している・・・永遠に。


*これで完結になります。読んで下さった皆様。ブクマ、評価、感想を下さった皆様。誤字脱字報告を下さった皆様。本当にありがとうございました。大変励みになります!もし少しでも面白いと思って下さいましたら、ポチッとな評価を頂けますと作者は更に元気になります!


*新連載『いつも親友ポジでモテない悪役令嬢が溺愛されるようになる過程』を始めました。激甘溺愛系の物語になる予定です。もし良かったらそちらも読んで頂けたら嬉しいです!


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