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第23話 狂ったオウムと食人植物! 見え隠れする真実の断片

 地下六階への扉を押し開けると、もわっとした生暖かい空気が全身にまとわりついてきた。

 目に飛び込んできたのは、見上げるほど巨大な木々が鬱蒼と生い茂る、緑のジャングルだ。


「うわぁ……なんか息苦しいね。熱帯雨林みたい」


 エマが額の汗を拭いながら、辺りをキョロキョロと見回す。

 木の上には見たこともないカラフルな植物が咲き乱れ、遠くから猿のような動物の鳴き声も聞こえてくる。


「前の階層は海だったし、本当にこのダンジョンはどうなってるんだ……?」


 僕は鉄の盾を構えながら、慎重にジャングルの中を進んだ。

 しばらく歩くと、前方の低い枝に、色鮮やかな羽を持った大きな鳥が止まっているのを見つけた。


「あ、フェル見て! オウムだよ!」


 エマが緊張を解いて、パッと笑顔になる。

 無人島のサバイバル生活で、こういう普通の可愛い動物に出会うのは珍しい。


「オウムって、人の言葉を真似するんだよね? こっちおいでー!」


 エマが無邪気に手を振って近づこうとした、その時だった。


『……フェル、たすけて……っ!』


 ピタッ、と。

 僕たちの動きが完全に止まった。


「え……?」


 エマが顔を引きつらせる。

 オウムが発したその声は、どう聞いても『エマの泣き叫ぶ声』そのものだったのだ。


『いやっ、こないで……! フェル……フェルゥゥッ!』


 首を傾げたオウムが、エマの悲痛な絶叫を延々とリピートし続ける。


「な、なにこれ……あたしの声……? なんで?」


 エマが震える手で自分の口元を覆った。


 背筋にゾクリと冷たいものが走る。

 気味が悪すぎる。


「エマ、離れよう! なんかおかしい!」


 僕がエマの手を引こうと前に出た、次の瞬間。


 ガバァッ!!


「きゃああっ!?」


 エマの足元の地面が突然割れ、巨大なウツボカズラのような魔物が姿を現した。

 不気味な紫色の触手が何本も伸び、エマの細い体を一瞬で空中に巻き上げる。


「エマ!」


「フェル、たすけて……っ!」


(さっきのオウムの声と、似ている……?!)


 僕は恐怖を振り払い、地面を強く蹴った。


『シュルルルゥッ!』


 食人植物が不気味な音を立て、先端から緑色のドロドロとした粘液を吹き出してきた。


「うわっ!」


 咄嗟に鉄の盾で防ぐ。

 ベチャッという音とともに、盾の表面からシュワシュワと白い煙が上がった。


(なんだこれ!? 鉄を溶かしてるのか!?)


「あついっ! フェル、服が……服が溶けちゃう!」


 エマの悲鳴に顔を上げる。

 触手に巻きつかれたエマの服にも粘液が飛び散り、生地がジュワジュワと音を立てて溶け出していた。


「エマ、魔法だ! 燃やせ!」


「む、無理! 触手がキツくて、杖が振れないの……っ!」


 ギリギリと締め付けられ、エマの服がボロボロに破れていく。

 見る見るうちに、白い肌があらわになっていく。


「離せぇっ!」


 左手の盾で粘液を防ぎながら、右手の牛刀を大きく振りかぶる。


 シュパンッ!

 シュパンッ!


 連続で斬りつけ、エマを縛り付けていた紫色の触手をすべて切り落とした。


「きゃっ!」


 空域から落ちてきたエマを、僕は両腕でしっかりと受け止める。

 ドサリ、と二人で地面に転がった。


「はぁ、はぁ……。大丈夫、エマ?」


「う、うん……ありがと、フェル」


 エマが涙目で僕の胸にすがりついてくる。

 でも、彼女の服は溶解液のせいでほとんど溶けてしまっていて、下着と素肌が丸見えの状態だった。


「……あ」


 エマも自分の格好に気づき、顔をりんごみたいに真っ赤にした。

 両腕で必死に体を隠して、ぷるぷると震えている。


「ご、ごめん! 見てない! 絶対見てないから!」


 僕は慌てて後ろを向き、両手で目を覆った。

 心臓がバクバクと爆発しそうに鳴っている。


「フェルのばか……。早く、着替え作ってよぉ……っ」


「わ、わかってる!」


 僕たちは背中合わせのまま、手探りでそっと手を繋いだ。

 恥ずかしさで頭がショートしそうだけど、必死に『ジャングル用の動きやすい服』をイメージする。

 僕のイメージを、エマに流し込んだ。


「……えいっ!」


 ピカーッ!

 魔法の光が弾け、新しい服が無事に完成した。


「ふぅ……びっくりした。あんな化け物みたいな植物がいるなんて」


 着替え終わったエマが、大きくため息をつく。


(あのオウム、なんでエマの悲鳴を知っていたんだ……?)


 僕は倒れた植物の魔物を見つめながら、さっきのオウムのことを思い出していた。


「ねえフェル、あの扉……」


 エマの声にハッとして顔を上げる。

 ジャングルの最奥、倒れた魔物の向こう側に、大きな扉があった。


 それは今までのような石や金属の扉じゃなかった。

 真っ白でツルツルとした壁にはめ込まれた、無機質な金属製のドアだったのだ。


「なんだ、これ……」


 僕たちが近づくと、プシュゥゥゥという機械音を立てて、扉が勝手に開いた。


 その奥から、冷たい機械の駆動音が低く響いてくる。

 明らかに、今までのダンジョンとは空気が違った。

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