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とりあえず神様を殴るためにはどうすればいいですか?  作者: タコガマ
第4章 死者の導き手編
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裏切りの侵攻(哀)

翔太たちは依頼達成をギルドに報告・報酬をゲットする。そこで街の北側(北門)でスケルトンが複数目撃されたという話を聞く。その時、別のギルド職員が街の南側(南門、イエローフォレストがある)で大量のスケルトンが現れたと大声で知らせた。

 ギルドの職員が駆け込む少し前、ギルドの職員たちは南の門周辺に集まっていた。

 それは、翔太たちがイエローフォレストで目撃したというレイスに似た魔獣の調査をするためである。


 あのイエローフォレストの調査ということもあって、ギルドは調査員の一人一人に最低限の装備を支給し、それに加えて索敵に長けている冒険者を複数人雇っていた。そんな万全の状態にもかかわらず、職員たちはどこか浮かない表情をしていた。

 しかしそうなってしまっても致し方ないだろう。なぜなら、彼らはただでさえイエローフォレストを徘徊している謎のスケルトンたちの件で雑務に追われ、それにより小瓶の配給も手が回らなくなっているというのに、そこにさらにレイスのような魔獣まで出てきたとなれば、そんな面倒事を投げ出したくなっても無理はないからである。

 状況としては、厄介事が山積みになっているところに、さらに難題が出てきたと言ったところか。


 そんな彼らの足取りが軽いはずもなく、その気持ちを隠せていない者もいた。とはいえ、彼らもこれが仕事なのだから「しない」という選択肢は無い。

 そんな心中の彼らは、諦めた様子で調査に取り掛かった。


 調査方法は至ってシンプルなもので、翔太たちの目撃情報があった場所の周辺を調査し、何か手掛かりがあればそれをギルドに持ち帰る。無ければ、調査範囲を少しずつ拡大していくというものである。

 そして問題のイエローフォレストの中に関しては、索敵が得意な冒険者とギルドの職員で構成された班をつくり、複数の班で広範囲を調査をすることになった。万が一、調査班がスケルトンと遭遇しても戦わず逃げると手筈になっている。


 そうして、運悪くイエローフォレストの調査に選ばれた職員たちは恐る恐る森に足を踏み入れた。

 しかし調査班が三十分以上調査したにもかかわらず、レイスの影も形もなかった。その事に対し、班内でも本当にレイスらしき魔獣が出たのかと翔太たちの情報を疑う者も出てきていた。


 その時だった、冒険者の一人がスケルトンの接近に気づいたのは。

 しかし今回で言えば、とくに大きな問題はなかった。それは彼らが既にスケルトンと遭遇しても戦闘はしないと決めていたため、次の行動に移るのが早かったからである。

 もちろん、彼らはイエローフォレストに入る際も目印を付けながら、且つ街からあまり離れない範囲で調査を行っていたため、森の中で彷徨う心配もない。


 強いて問題を挙げるのならば、スケルトンが放つ矢ぐらいだろう。しかしそれも冒険者がしっかりと対応していたため、彼らは誰一人欠けることなく街の南の門に到着することができた。


 ただ、問題が起こったのはこれからだった。

 それは、逃げてきた調査班が戻ってきた時、調査予定時間内にもかかわらず、既に調査班の全班が戻ってきていたのだ。

 これだけならば、犠牲者無しということでめでたいのだが、今回ばかりは違う。


 今回の調査は目撃証言があった場所にいなかったことを考慮して、複数いる調査班を出来るだけ広範囲を調査できるように散らしていたのだ。

 そして、調査班がまだ調査予定時間内にもかかわらず南門に戻ってきたということは、調査対象を発見した場合か、スケルトンの遭遇から逃げてきた場合のみ。

 今回の場合、戻ってきた調査班の者たちは口を揃えて「スケルトンが近づいて来たから逃げてきた」と答えた。


 これらの事柄から、イエローフォレスト内の広範囲でスケルトンが発生しているということが分かったのだ。

 そして不幸が連鎖したのか、冒険者の一人がまたあの嫌な音を聞きつけた。


 しかもその音は森の中からいくつも聞こえており、彼らの元にどんどん近づいてくる。


 そうしてついにその音の正体、スケルトンの群れが森の中から姿を現した。

 その数は調査班が遭遇しそうになったスケルトンよりも遥かに多く、しかも森の中から次々と出てきており、現時点では全体の数を把握することができなかった。


 それを見たギルド職員は不測の事態に困惑していた。しかしそれでも彼らはこのままでは死ぬことは理解できていたため、すぐさま街に戻り、この街の守護の象徴になっている南の門を閉じた。

 そして、ギルド職員の一人がこの街最大の危機を全速力でギルドに伝えに行ったのだった。


    ◇◆◇


「大変だ! イエローフォレストから大量のスケルトンが現れた!!」


 ギルド職員のその声で、ギルド内にいた者たちは動揺の声が漏れていた。

 しかし彼らがそんな反応をしてしまうのも無理はない。なぜなら、スケルトンとは本来、夜間に活動する魔獣であり、日の下に出ることさえあり得ないのだ。

イエローフォレストのスケルトンはそんな一般的なスケルトンとはどこか違うと周囲は評価しているが、それでもスケルトンである以上、この事態はあまりにもおかしなことだった。


 そうして周囲がスケルトンの侵攻について疑問を覚えているなか、翔太はその真相に気づいていた。

 これは、メイサをこの街に縛り付けていた張本人であるジューハの襲撃である。十年前にジューハがメイサに告げた「準備」がついに完了したから、街に侵攻してきたのだ。


「メイサさん、これって……」

「……おそらくそうだと思います」


 翔太が念のためにメイサに確認すると、彼女は翔太の言葉を肯定した。そんなメイサの表情は強張っており恐怖の色も見えるのだが、翔太には恐怖よりも哀しみの方が強く出ていたように感じた。

 しかし考えてみれば、メイサは信用していた恩人に裏切られ、訳も分からず人の命の管理を押し付けられたのだ、哀しくないわけがない。

 それに加え、イエローフォレストから侵攻してきたということは、ジューハは街の人たちが巻き込まれるのを承知で今回の襲撃を企てているはずである。


 もはやメイサの中にいた、彼女を救った心優しいジューハはいなくなっていた。


 メイサのそんな心中を察した翔太だったが、彼はこんな時になんて言葉を掛けて良いのか分からず、戸惑っていた。


 すると、駆け込んできたギルド職員はギルド全体に響くように声を張り上げる。


「手の空いている冒険者の方々は至急、南門に集まってください! 私たちの街を守ってください!!」


 緊急の依頼の発生によって、即座に動く冒険者もいれば、半信半疑で動かない者たちもいた。

 しかし翔太としては、メイサの事情を知っている以上、見て見ぬ振りもできなかった。


「……俺たちはひとまず南門に行きます。メイサさんは安全な場所に避難してください。行こう、アリス」


 翔太が静かにそう告げると、メイサは返答せず、アリスも「……えぇ」と小さく反応するだけだった。

 アリスもまた、メイサの心中を察していたのだ。彼女も信用していた人に裏切られた気持ちを知っているからこそ、メイサの気持ちが痛いほど分かっていた。しかしそれでもメイサに何て声を掛ければ良いのか分からなかった。下手な慰めは返って彼女を傷つけてしまうことを分かっていたから。


 そうして、翔太とアリスはふがいない自分たちに嫌悪感を抱きながら、南門に向かったのだった。


気づいたら0時過ぎて「あぁ……」ってなった

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