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とりあえず神様を殴るためにはどうすればいいですか?  作者: タコガマ
第4章 死者の導き手編
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不安と苦悩(救)

翔太がメイサの身体の事と、この街の奇病に関連があること事を指摘。するとメイサは十年前に起こった事件について話しだす。その事件とは、十年前に彼女を死の縁から救った死霊術師であるジューハがこの街で肉体と魂を入れ替えるという大魔法の実験を行ったというもの。それにより、違う肉体に違う魂を入れられた街の人たちはその事を思い出すと拒絶反応が起こるようになった。しかしその中でジューハは魔法の副作用で彼の肉体と魂が分離してしまったのだが、メイサだけは街の人のような影響がなかった。だからジューハは彼女の身体を乗っ取るために、「メイサがいないとこの街の人たちは拒絶反応で死ぬ」と彼女に告げ、彼女をこの街に留まらせた。そうして自らの肉体を失い、魂だけの存在となったジューハはこの街から姿を消した。

 メイサから十年前に起きた事件の詳細を聞いた翔太たちだが、彼女になんて声を掛ければいいのか分からず、彼らは黙ることしかできなかった。

 そんな翔太たちを見て、メイサから話を切り出す。


「こんな話をいきなり聞かされても困りますよね……」

「あ、いや、その……」

「でも虫のいい話なのは重々承知していますが、信じてください! ……それと、今話した事はどうか街の人たちにはご内密にお願いします」


 そう言うと、メイサは頭を下げた。

 その時、翔太たちからは見えないが、彼女は今まで以上に必死そうな表情をしていた。


 それというのも、もしこの話をしてしまうと街の人たちが記憶の矛盾に気づいてしまうかもしれないからである。

 あれから十年という年月が経っているのにかかわらず未だに拒絶反応が現れている以上、ちょっとした刺激が彼らの命の危機になってしまう。

 だからこそ、メイサは必死に頭を下げて頼んでいた。


 翔太はそれを理解したうえで、メイサの頼みに答える前に彼女に尋ねた。


「それに答える前にいくつか質問をしてもいいですか?」

「……はい。何でしょうか?」

「ではまず、メイサさんはその力で街の人たちを故意に傷つけたことはありますか?」

「そんなことは思ったこともありません。この街の人たちには何の罪もないのですから」


 翔太の質問に、メイサは毅然とした態度で答えた。

 この質問はメイサが意図的に拒絶反応のきっかけを与えていないかという意味が含まれている。

 しかしこの質問は端から破綻している。なぜなら、彼女がそんなことをしていれば、いやそもそも彼女がそんなことをしなくても拒絶反応を見過ごすだけで街の人たちは全滅してしまうのに、彼らはまだ生きている。これが彼女が彼らを守っている証拠である。


 もちろん、そんなことなど翔太は承知している。

 しかしそれでもなお、翔太はメイサの口からその事を聞きたかったのだ。


 そうして、翔太は続けて次の質問をする。


「では次に……メイサさんは夜な夜な街を徘徊して、男性の精気とかを吸い取ったりしていますか?」


 翔太は真面目な顔で尋ねた。その瞳には一切の冗談を感じられない。それもそのはず、翔太とて、こんな真面目な話し合いで冗談を言えるほど能天気ではない。この質問にもそれなりの意図があり、下心など微塵もない。

 だから彼はアリスからの、セクハラばかりする上司を見るような視線は止めてほしいと思っている。

 すると、メイサは何を考えているのか一発で分かるような表情で答える。


「そ、そんなこともしてません!」


 そう答えたメイサは頬を紅く染めつつも、翔太になぜこんな質問をしたのかという、少し怒りがこもってそうな視線を向けた。

 しかしそんな気持ちが届いていないのか、翔太は動揺するわけでもなければ頬を赤らめるのでもなく、ましてや謝るわけでもない、如何にも軽い感じで呟く。


「だったら良いんじゃないですか?」

「……えっ?」


 翔太の予想外の答えに、メイサは思わず間抜けな声が漏れ出た。

 それは彼女にとって「人ではない」


「えっ、でも良いんですか……私は人ではないんですよ?」

「それはそうかもしれませんけど、俺的にそこはあまり重要視していないというか……」

「ではなぜ?」


 メイサは真剣な表情で翔太に尋ねた。


「街の人たちと笑顔で接しているメイサさんを見て、なんとなくですが、あなたは良い人だなって思ったんです」

「……そんな感情だけの理由で良いんですか? それに、私が嘘をついているとは思わなかったんですか?」

「まぁ、その可能性もあるかなとは思いましたが、ここに来て間もない俺でも、街の人たちがあなたを本当に慕っていることは分かります。だから俺も彼らと同じようにあなたを信じます」


 翔太は自分の想いを真っ直ぐ伝えた。

 仮に、メイサが誰かを傷つけていたら、彼の答えは変わっていただろう。しかし彼女から嘘は感じられなかった。

 だから、彼は自らの素直な気持ちを包み隠さず答えた。


 そしてそんな翔太の答えを聞いて、メイサは自分の目頭が熱くなっていたことに気づいた。


 メイサはこの街に来てから十年間、自分が人ではないことを隠して生きてきた。それは誰かに自分を否定されることが怖かったからである。


 そんな時に今回の事件が起こり、真実を知っているのは事件を起こした張本人であるジューハと、魔法にかからなかったメイサのみになってしまった。これが彼女にさらに負担をかけることになった。

 それというのも、ただでさえ彼女の中には「人ではない」ということへの不安があるのに、そこに街の人たちに嘘をついているという罪悪感が生まれてしまったのだ。

 それが街の人たちを守るための嘘とはいえ、彼女の中には新たな重責がのしかかっているのには変わりはない。


 メイサはそんな苦悩を誰かに打ち明けたいと思いつつもその気持ちを押し殺して、今までこの十年間を生きてきた。


 しかし今、メイサの目の前にいる青年はそんな彼女の正体(ふあん)を知り、苦悩(ざいあくかん)を知り、それでもなお自分を信じてくれた。

 それは彼女にとって、彼女を苦しめる思い全てを取っ払ってくれたように感じられた。


 この話に至ったきっかけはどうあれ、自分を信じてくれている人がいるという事実だけで、メイサは救われた気がした。


 メイサはそう思っていると、いつの間にか先ほどまで我慢していた涙が溢れ出ていた。

 それは今まで溜めていたものが全て流れ出て行くような、誰にも見せたことのなかった本心そのものだった。


 しかし、そんな彼女の救世主は何をどう思ったのか、メイサが涙を流した瞬間、何かやらかしてしまったのかと一気に不安になり、彼女を励まそうとする。


「えっ!? 俺、なんかまずいこと言っちゃった!? あ、いや、まぁ、俺的には人だとか、そうじゃないとかはそこまで重要視してないから……ほら! だから腹の中ブラックホールの妖精とか、手癖の悪い元盗賊と旅が出来ているわけだし……」

「……へぇ、あんたは私のことをそんな風に思っていたんだ」

「アリス!? いや、待て、落ち着け! お前は何か誤解をして……」

「誤解の余地はないと思いますよ、翔太様?」

「待って!? 話せば分かるから……ね? だから二人とも笑顔のままこっちに来ないでください!」


 慰めのネタにされたアリスとテイルはじりじりと翔太に詰め寄っていた。

 その圧迫感に、今度は翔太が泣きそうになっている。


 そんな彼らを見て、メイサは思わず失笑した。しかし少なからず彼女はそんな自分に驚いていた。

それは彼女にとって、これほど気の抜けた笑いを感じたのは久しぶりだったからである。


 今までも街の人たちと話していて笑うこともあったが、それは心の底からの笑いではなく、内心では常に緊張状態だった。


 だからこそ嬉しかった、笑うということがこれほど気持ちの良いものだったことを思い出せたのだから。


 そこでメイサはそのお礼の代わりに、翔太に助け船を出してあげることにした。

 本当は、彼の自業自得だからこんなことをしなくともいいのだが、それでも満更ではなかった。


 メイサにも気になることがあったのだから。


「……では、翔太さんは何を重要視しているのですか?」


 今度はメイサが自分の本心を素直に述べた。

 それは、翔太が流れで言った「人だとか、そうじゃないとかは重要視していない」という部分。

 そのフレーズはメイサにとって自らの存在を認めてくれる、有難い言葉である。しかしそれと同時に彼女は、彼女の存在を受け入れてくれるほど寛容な翔太が何を重要視しているのか興味が湧いたのだ。


 すると、翔太は少しそっぽを向きながら答える。


「……心とか、かな?」


 この気持ちは翔太がこの世界に来た時から思っていたことだった。

 それというのも、翔太が異世界に来た時、初めて会ったのが妖精(テイル)だったのだから、彼がこう考えてしまってもおかしくないだろう。


 しかしそれ以上に、翔太は誰かのために動けるような優しさを持つ者のことを尊敬していた。

 たとえそれが人ではなくとも、これが翔太の本心であり、彼の行動基盤なのである。


 気恥ずかしい思いもあったが、翔太は正直な気持ちを告げた。

 しかしそれを聞いて、質問をしたメイサよりも早く反応する者がいた。


「翔太様……それは流石にクサすぎます」

「やかましい! 俺だってそう思ってるよ!」

「『心とか、かな?』……はぁ~、感動で鳥肌が立ちますよ! 見ます、妖精の鳥肌?」

「見せなくていいよ!」

「はぁ、まったく、あんたはそういうことを簡単に言って……ってわけじゃないみたいね」

「うるせぇ、こっち見んな!」


 コントのようなやり取りをする翔太とテイル。そして、いつの間にか翔太は耳まで真っ赤になっていた。

 そんな翔太を見て「そうなるなら言わなければ良いのに」と思うアリスだったが、彼女も内心では自らを認めてくれた翔太が自分の心も受け入れてくれていることを理解し、喜んでいた。


 そして、メイサもまた感喜していた。


 メイサは自分の身体が人では無くなったと知った時から、せめて心だけは人であろうと思っていた。

 それでも彼女の中には年月が経つにつれ、この思いも変化もとい、この身体と同じようになってしまうのではないかという恐怖があった。


 しかし翔太の言葉から、メイサは自分の中には今もなお、生前と変わらない「人」が残っていると認識することが出来た。

 それが彼女にとってどれだけ救いだったか。


「……そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます」


 メイサは溢れ出る気持ちを今度は抑えることなく、そのまま伝えた。

 御礼を言われた翔太も、そんな彼女からの心からの笑みを見て頬を紅く染める。


 そうしてそんな空気に流されるかと思われたなか、沈黙を破ったのは再びアリスだった。


「さて、話も一区切りついたし、最後に聞かせてもらおうかしらねぇ、翔太?

「……ん? 後、なんかあったっけ?」


 笑顔で問い詰めるアリスだが、翔太はとぼけた様子もなく答える。

 そこでアリスは言葉を付け足す。


「……メイサさんが着替えていた部屋からあんたが飛び出してきた件について」


 その言葉を聞いた瞬間、翔太は顔を青ざめた。


「えっ!? 今さっき良い感じで話が終わったのに、今更それを蒸し返すの!?」

「……なんか文句あるの?」

「すみませんでした……」


 夫婦漫才のようなやり取りをする翔太とアリス。そんな状況で翔太は逃げ出すことはせず、素直に頭を下げていた。

 本心では彼も今にもその場から逃げたかったのだが、いつの間にか出口にテイルが待機しており、逃走不可なのは火を見るよりも明らか。

 翔太は、思わず高評価してしまうほどの謎の連携により、詰んでいたのだ。だから諦めるしかなかった。


 そうしてアリスに怒られている翔太を見て、涙が引っ込んでしまったメイサは代わりに笑みを浮かべるのであった。


突然の(自己満足)反省回、始まるよ~



アリス「さて、どうしてここに呼ばれたか分かるわよね?」

作者「……はい」

アリス「だったら、あんたの口から言いなさい」

作者「はい。投稿が一か月以上遅れました。すみません! 投稿しようとログインして、前回の投稿が8月14日だったのを知った時は、流石に自分でも引きました」

アリス「そうよね。今まで何週間もあけたことはあったけど月をまたぐことはなかったのにね」

作者「それは本当に反省しています」

アリス「でも反省点は、まだあるわよね?」

作者「……はい?」

アリス「気づいていないとは言わせないわよ。あんたは読者が読んでいて『?』ってなる感じの展開を書いたわよね?」

作者「な、なんのことだかさっぱり……」(ぶるぶる)

アリス「じゃあ、何で2か月ぐらい前の展開(翔太とメイサが同じ部屋で~のやつ)を分かっている前提で書いてるのよ! 絶対誰も覚えてないわよ?」(2か月前の小ネタをさも当然かのようにオチに使ったこと)

作者「……だって! 物語の中じゃ、十数分の出来事だから!」

アリス「物語外(現実世界)では2か月ぐらい経ってるけど?」

作者「……返す言葉もございません」(2~3話ぐらい前のやつを読んでいただければ、話がつながります。すいません!)

アリス「はぁ……もう終わったことをとやかく言ってもしょうがないから、最後に反省の意思を見せなさい」

作者「はい。え~、この度は投稿遅れの過去最高記録を更新してしまい、大変申し訳ありませんでした。作者もなぜか原稿が進まず、やる気も薄れていました。まったく、白猫プ〇ジェクトの新キャラが可愛くてね……」

(アリスの拳骨)

作者「……はい。これからはモチベーションを上げていきたいと思います。あっ、この作品の評価していただければ作者のモチベーションがさらに上がるので、是非評価お願いします」

アリス「しれっと宣伝みたいなことしてる……」

作者「それと、投稿ペースですが、毎月0のつく日(10日、20日、30日)で回そうかと思っているので、そのペースで書いていきます…」

アリス「全然反省してないじゃない!」(アリスの拳骨、多段ヒット!)


 終わり










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