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とりあえず神様を殴るためにはどうすればいいですか?  作者: タコガマ
第3章 人間の研究者編
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弱者なりの闘い方(流)

 翔太が一人で頭を悩ませ、勝手に自己完結している間に岩型モンスターは切断されていた足を回復させ、黄土色の新しい足が出来ていた。岩型モンスターの黒みのある濃い茶色の身体と比べて新しく作られた部分だけ色が違うところを見ると、周囲の大地から吸収し作ったと推定できる。現に岩型モンスターの近くには不自然な穴がある。


 完全復活した岩型モンスターがゆっくりと近づいてきたことに気付いた翔太はアリスたちに自分が考えた策を急いで伝えた。念のため翔太たちは近くにある岩型モンスターの元左足の裏を確認するが、案の定「emeth」の文字は消えている。


「じゃあ作戦通りに頼む!」


 翔太はそう言うと同時にエミルと共に先行し、その後ろにハルトとアリスが付くという形で四人は岩型モンスターに向かって走り出した。


 自分に向かってやってくる四人の存在に気づいた岩型モンスターはその場で止まり、彼らを迎え撃つ準備を整える。


 どんと構える岩型モンスターに猛然と向かってくる二人に攻撃しようと腕を振りかぶった時、突然二人が二手に分かれた。射程距離から少し離れた距離でそれぞれ自分の周囲を円を描くように移動するエミルと翔太の動きを見て、岩型モンスターは一瞬動きが止まった。


 続いてハルトが岩型モンスターの正面に向かってくる。先ほどの攻防から一番攻撃力が高いのはハルトだと学習していたため、ハルトの迎撃を優先した岩型モンスターは正面に向き直る。


「「“反射壁(リフレクション)”!」」


 岩型モンスターがハルトに狙いを定めて腕を振りかぶるのとほぼ同時に、エミルと翔太はハルトの前方に、地面と平行になるように“反射壁(リフレクション)”を発動した。階段のようになっている“反射壁(リフレクション)”を足場にすることで、ハルトは岩型モンスターの頭上を越えるぐらいの跳躍を見せた。


 ハルトの行動に不意を突かれた岩型モンスターは少し戸惑ったような動きを見せたが、太陽を背にするように大剣を振りかぶるハルトを迎撃しようとすぐに半歩下がり軌道修正をした時だった。


「もう一度、せーの!」

「「“反射壁(リフレクション)”!」」


 翔太の掛け声に合わせて、二人はハルトが跳躍に使ったものを解除し、もう一度“反射壁(リフレクション)”を発動した。二人が発動したポイントは攻撃対象になっているハルトの真正面ではなく、岩型モンスターの半歩下がった方の足の膝裏と顔の二か所。


 まずハルトを迎撃しようと半歩下がり上を向いたことで重心が動いた瞬間、翔太の“反射壁(リフレクション)”が膝裏に直撃する。突然現れた物体に膝裏を小突かれたことで岩型モンスターの上体は少し後ろに傾く。しかしそれはわずかに体勢が崩れたぐらいで転倒するには及ばなかった。


 構わず攻撃を続行しようとする岩型モンスターに今度は翔太の攻撃から少しずらしたタイミングでエミルの攻撃が顔に直撃する。それにより体の傾きはさらに大きくなり、体勢を維持できなくなった岩型モンスターは人みたいに両腕を広げ、バランスを取ろうとした。


 翔太は自分が“反射壁(リフレクション)”を使えるようになったとしても、力で岩型モンスターに対抗できるとは最初から思っていなかった。しかし相手が人型で、しかもそれを転ばせるだけならそれほど難しい事ではない。翔太が思いついたのは力の流れを利用することだった。それならば正面から戦う必要がなく、かつ効率的に相手を転ばせることができると考えたのだ。


 そして翔太の予想通り、いや想像以上に身体が傾いたことで動揺している岩型モンスターに駄目押しと言わんばかりのハルトの重撃が加わる。


 ハルトが攻撃しようとしている顔部分を守ろうと両腕を盾のようにして防御しようとする岩型モンスターだったが、エミルが発動した“反射壁(リフレクション)”により腕を閉じ切ることができなかった。そしてハルトの攻撃が岩型モンスターに当たる瞬間、エミルは能力を解除したことで岩型モンスターはハルトの攻撃を顔面に諸に受けたのだ。


 頑丈なもの同士がぶつかる鈍い音がその場に響く。その勢いにより岩型モンスターは体勢を維持できなくなり、大きな音をたてながらその場に仰向けになるように倒れた。


 能力を発動させた直後にすぐそれを解除するという芸当は少なくとも今の翔太には不可能である。ミスが許されない場面で完璧ともいえるサポートをしたエミルの熟練者としての技術は流石の一言である。


 翔太たちの連携により岩型モンスターが倒れた時、翔太とエミルは既にその足のほうに移動していた。そして岩型モンスターが倒れると同時にそれぞれ片足に向かって三度目の“反射壁(リフレクション)”を一度目と同様に地面と平行になるように発動させた。岩型モンスターがじたばたさせて暴れても大丈夫なように地面と挟む形で足を固定したのだ。


 そして二人は足の裏を確認すると翔太が叫んだ。


「こっちに文字があったぞ!」


 その声に反応して土煙の中からアリスが翔太の声がする方、岩型モンスターの左足の方にやって来た。そしてアリスの手に握られているナイフの刃が最初の「e」の文字に突き立てられる。


 「e」の文字が消されたことにより岩型モンスターは生物の痙攣のような反応をし、電池が切れたロボットのように力を失い動かなくなった。岩型モンスターの上半身にある目のような部分の発光が消えたことをハルトの報告で知った翔太とアリスは何も言わず、ハイタッチを交わした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「遅くなりましたが、手助けしてくださりありがとうございました。それにこんなことに巻き込んでしまってすみません」

「そんなに気にしなくていいよ。それにエミルに会えて俺も良かったし……」

「……あんた何それ、口説いてるの?」

「えっ?いやいや違うから、そういう意味じゃないから!」


 遅れてやってきたハルトと共に頭を下げて丁寧に感謝と謝罪をするエミルに翔太は思ったことをそのまま口にし、同様に丁寧に返答した。しかしアリスはその言葉の後半部分に引っ掛かりを感じ、翔太をしつこく問い詰めている。


 もちろん翔太はエミルに会えたことで新たな特質な才能(アビリティ)を使えるようになれたから良かったという意味であり、その言葉に他意はない。しかし第三者が今の言葉を聞いたら、アリスと同様の解釈をしてもおかしくはないというのは翔太でも分かる。


 だからアリスに何を言われても仕方がなかった。しかし翔太はなぜアリスがあんなにも不機嫌になるのか、その理由が分からず首をかしげている。最初は嫉妬かと思ったが、仮に嫉妬だったとしても何に嫉妬したのかという疑問にぶち当たる。つまり嫉妬ではないという結論に至る。


 そんな翔太とアリスのやりとりにどう反応していいのか分からなかったエミルは、言葉の最初のフレーズを少し大きめの声で強調しながら話題を変える。


「そういえば、翔太さんの危惧していたものが杞憂に終わって良かったですね!」


 岩型モンスターは足が切断された場合、方法までは分からないがその間だけ力の源である「emeth」の文字が消えて岩型モンスターの活動が停止し、足が治ったらまたその箇所に文字が浮かび上がるという仕組みだと翔太は予想していた。


 しかしその仕組みで浮かび上がった文字が必ずしも同じ箇所に浮かび上がるとは限らないと考えたのだ。そこで翔太は一計を案じた。


 それは先行したエミルと翔太が散開することで岩型モンスターの撹乱とは別に岩型モンスターの足の裏以外の体のどこかに文字が浮かび上がっていないかを確認するというもの。そういった意味では一人より二人の方が遥かに効率がいい。


 しかし実際は最初と同じように左足の裏に文字が浮かび上がっていた。だからこそ翔太たちも混乱することなく作戦を実行できたわけである。


「あの行動にはそういう意味があったのね。しかし翔太はいつも言葉が足りないのよ」

「短時間で全部説明するのは無理だろ。むしろ何をすればいいかを全部伝えられたという部分を評価してほしいんだけど……」

「はぁ?確かにエミルさんとハルトさんにはそれらしいこと言ってたけど、私には『あのゴーレムが倒れたら声がした方に来て、とどめよろしく!』って省略しすぎでしょ!」

「いや~、アリスならそれでいいかな~って……」

「……それはどういう意味?」


 翔太の危惧についてエミルの説明を聞いたアリスが翔太に苦情を言っているのだが、翔太の言葉に笑っているのか怒っているのか分からないような表情を見せている。


 そんな翔太たちを見て再び反応に困っているエミルたちは苦笑いを浮かべつつも少し体を休め、カヌチに向かって歩き出した。


読んでいただきありがとうございます。

今回も量が少ないです。文章力がないことをただただ嘆いています。

これからもよろしくお願いします。

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