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最終決戦兵器ギョグー  作者: 悪魔の海賊出版


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3/5

出頭命令

出頭命令(しゅっとうめいれい)



 モジャにくだされた命令には、本隊司令部へ出頭せよ。とだけ書かれていた。

 本隊司令部への出頭というのはかなり大きな意味を持つ。だから、モジャは気持ちを引き締め、というよりなかば気が動転(どうてん)した状態で、所属する部隊の本隊司令部へと即時出頭(そくじしゅっとう)した。

 本隊司令部に到着し命令書を提示(ていじ)すると、モジャは司令部の奥の一室に通され。

「待て」

 とだけ告げられたという。

 そして、モジャはその命令を忠実に実行することになる。

 待つ。ひたすら待つ。ただ待つ。

 その間モジャの頭には、ラジオや新聞が告げる戦況(せんきょう)のことや、実際に戦場と化すであろう故郷のことや、本土防衛に残してきた仲間達のことや、今日もきっとやってくるであろう空襲のことについてを、延々と考え続けていたという。

 考えれば考えるほどわいてくる疑問。モジャはどれだけ待ったかわからないという。もしかしたら、とんでもない時間を待っていたのかもしれない。

 だが、頭の中をぐるぐるとまわる不気味な思考は、その時間の長さを正確に把握(はあく)できないほど、モジャの頭の中を駆け巡ったという。

 どれほどの時間が流れたことか、ついにモジャが待つ一室の扉が音を立てて開かれた。

 一分の隙(すき)もなく軍服に身を包んだ男が、護衛(ごえい)の兵によって開かれた扉から室内に入ってくる。

 モジャに視線を投げることもなく、男はモジャの前の席につくと、引き出しから書類を取り出しそれに目を通しながら

「貴様がモジャか」

 と言った。

「はい! モジャであります!」

 答えるモジャ。

 (私が口伝された内容では、モジャの所属部隊及び階級は終始不明(しゅうしふめい)である)

 席についた男は視線を書類に落としたまま話だす。

(この男の名、また所属及び階級も口伝の中では終始言及(しゅうしげんきゅう)されていない)

「本土決戦が近い」

 その言葉に、モジャは頭を殴れたような衝撃を受けたという。

 高度に文明化された飛行物体がその腹に、死を撒(ま)き散らす爆弾を満載(まんさい)し、日々来襲するようになってはいた。

 だが、この故郷が、この本土が、決戦の舞台になるということは、理屈としては理解していたが、その事実を自身が所属する絶対的な存在から伝えられることは、それはそれは強烈な衝撃であったと同時に、絶対的な絶望を感じさせるものだったとモジャは後に語った。

 その後に、男は長い話をしていたような気がするとモジャは言う。だが、その長い話の詳細(しょうさい)を、モジャはほとんど覚えていないそうだ。

 モジャが覚えているのは、最後に男が発したこの言葉だった。

「本土決戦に備え、戦力を結集(けっしゅう)する」

 そう言って、男は目を通していた書類をモジャに渡した。

 書類にはいったい何が記されていたのか?

 記されていたのは、おびただしい数の武器が収められている武器保管庫の一覧(いちらん)だった。

 そして、モジャに対する命令書が一通。その命令書には、本土決戦に備え戦力結集任務(せんりょくけっしゅうにんむ)を受けたモジャに、軍民問わずあらゆる協力をさせる一文が添えられていたという。

 武器保管庫の一覧と命令書を受領したモジャに、男は言った。

「急げ、本土決戦の日は近い」

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