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明崎未咲②

(そっか、この人が"未咲"さん……!)



「姉貴」

「おー、優。どこまでいった?」

「ロングティーまで」

「丁度ってコトだ。さっすが私!」



並ぶ明崎と未咲の髪色は同じ狐色をしている。

おお、と感慨深く見つめる古義に、チラリと向けられた視線。



「っ、」

「初めて見る顔じゃん?」

「ああ、今日来たんだよ。おーい古義ー!」



明崎に手招かれ、古義は急いで駆け寄る。

未咲の身長は古義と同じか、僅かに低いといった辺りだろう。ヒールを履かれたら、未咲の目線は確実に古義より上だ。



「古義和舞ですっ! よろしくお願いしあっす!」



頭を下げる古義に、未咲は腰に手を当てながら「和舞ね! よろしく!」と晴れやかな笑顔を見せる。


(っ! なまえ呼び……!)


弟の呼び方と部員の呼び方を統一しているのだろう。分かっているが、古義は母親以外の異性に下の名前で呼ばれるのは初めてだ。

明るく気さくで大人なおねーさん。なんだかちょっと……ドキドキしてしまう。



「で? 和舞は経験者……ってよりは、野球やってた感じ?」

「へっ? なんで……っ!?」



説明も無しにサラリと言い当てられ、古義はビクリと肩を跳ねさせる。

一方、未咲は得意気に片目を細めると、ゆるりと腕を組む。

思わず強調された胸の膨らみに目が行ってしまうのは、健全な男子高校生の自然な反応だろう。



「さっきの動きは経験がないと出来ないからねー。 でも千秋がこんだけ偉そうにしてるってコトは、ズバリ未経験者」

「エラそうになんてしてねぇって!」

「してたわよ」

「ウン、してたね」

「ってねぇって!」



頷く風雅と小鳥遊に宮坂が噛みつくが、未咲も慣れっこなのだろう。顔色一つ変えずに「で、和舞はドコにいれんの?」「ライトやってたらしいから、一旦ライトにした」と明崎と言葉を交わしている。



「へぇ~、ライトね。んじゃ千秋は窮地に立たされたってワケだ」

「んでそーなるんだよ!?」

「和舞のが上手かったら即チェンジだからねー」

「あの、そもそもオレまだキャッチボールもままならないんで……」

「そんなの直ぐに慣れるわよ! 基礎筋力だってそれなりについてるんだから!」



未咲は親指を立てて爽やかに笑うが、古義としては反応に困る。

試合には、出たい。でも先輩に目をつけられるのは勘弁だ。

グルルと未咲に威嚇を続ける宮坂に古義が冷や汗を流していると、鍵を片手にした高丘が未咲に声をかける。



「未咲さん」

「ああ、そうだ。着替えないと。ありがとね真也」

「いいえ」



(おお、さすが高丘センパイ……っ!)


ナチュラルかつ気を利かせた対応に古義は心の中で拍手を送る。

ほんの少しだけ、未咲の隣に並んでも幼さを感じさせない高丘を羨ましく思いながら。



「うっし、じゃあ姉貴が戻ってくる前に軽く説明しておくな」

「しあっす」

「ケース練では各守備位置についた状態で、姉貴が仮想の状況を指定する」

「ランナーが一塁! とか、ツーアウトノーラン! とかね」

「で、まずはオレ達でその後の行動を明確にする。捕球したらドコに投げんのか、とかな。したら恭がセットするから、ピッチングフォームに合わせて姉貴がノックの要領で球を打つと」

「一球毎に状況を変えて、ひたすらソレを繰り返すのよ」

「なるほど」



説明にふんふんと頷きながら、古義は頭の中で中学時の練習を思い浮かべる。

その時は人数に余裕があったため実際にランナーを置いていたが、この人数ではギリギリだからと架空で行っているのだろう。

但しランナーが実際に存在しない分、常に"この場合ランナーはどう動くか"を想像していないといけない。


(むっずそー……)


脳みそ保つかな、と若干の不安を抱きつつ「了解っす」と頷く。

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