表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/35

第21話 密猟団 vs 姐探偵ナオミ

「……いい、レオン様。ここからは【ねい探偵ナオミ】の独壇場よ。事務職の緻密なプロファイリングを、その目に焼き付けなさい」


密猟団のアジトとされる廃倉庫前に着いたはいいものの、なぜか入口がどこにも見つからない。


しかし私はドヤ顔を決めた。

隣でレオン様がなぜか困惑気味に私を見る。


「先ずはアジトへの出入口を突き止めるわよ。

まず、この現場に残された『足跡』を見なさい。これは、体重百キロ超えの巨漢が、【重い漬物石を抱えながら、内股のスキップで移動した】揺るぎない証拠よ!」 


「……ナオミ。それは、ただの荷車の車輪がぬかるみにはまった跡だ。……あと、なぜやつらが内股で漬物石を……」


「うるさいわね! 攪乱工作よ!」


私の「探偵ムーブ」は止まらない。

次はこれ、建物近くに落ちていた『ふんどし』! これは、犯人が【よほど暑がりで、全部脱いで移動した】動かぬ証拠……っ」 


「……それは、ただの飼い犬散歩用の赤いハーネスだ。……ナオミ、頼む、もういい。全裸で街を出歩く犯人がどこにいる……っ。ぷっ、ははは!」

レオン様は、ついに堪えきれずに肩を震わせ始めた。

そして……。


「…………。ナオミ、そこの壁の下に掘られた横穴にアジト入口って書いてるぞ」


「…………っ!!!」


私の顔は、一瞬で茹で上がったタコのように真っ赤になった。


「……ぶっ、はははは! 腹が、腹が痛い……っ!!」


恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしい。

私の自爆!? 推理なんて一ミリも必要無かったじゃない!!


「笑うなーーーッ!!」

ドグシャァッ!!!

「ぐはっ……!?」

私は、爆笑する獣人王の鳩尾に、渾身の正拳突きを叩き込んだ。

悶絶して地面に沈むレオン様を冷たい目で見下ろし、私は目の前の小さな穴を指差す。


「……もういいわよ! 推理なんて飽きたわ! 事務職フィジカルで解決してやるんだから!! レオン様、あんたは体格的にその穴を通れないから、そこで大人しく待っていなさいッ!!」


「……なっ、ナオミ!? 待て、一人で行くのは……ぐふっ」

追いすがろうとするレオン様の指先を、華麗な匍匐前進でかわし、私は穴の向こうへと進んだ。



そして、穴を出るなり、私は鉄パイプを握り直して倉庫の内部・敵陣へと殴り込む。


「――おらぁッ! 邪魔よ!! 帳簿の不備(在庫不足)は、力ずくで黒字に戻すわッ!!」


バキィィィィンッ!!!

鉄パイプの一撃が扉を粉砕し、蝶番が悲鳴を上げて吹き飛ぶ。


だが、そこに広がっていたのは、私の想像を絶する「地獄の光景」だった。


「……あ、あん? なんだぁ、テメェ……」


そこにいたのは、トゲ付き肩パッドにモヒカン頭。どう見ても「ヒャッハー!」と叫びながら略奪に励んでいそうな、ガチの山賊集団。

だが、そんな世紀末な男たちが、あろうことか全員で【聖獣たちに高級フルーツを捧げ、必死にブラッシング】していたのだ。


「……は? ここ、密猟ギルドじゃないの?」


「あぁん!? オレたちは自由な山賊だ! この子らはな、市場で売るタメじゃねぇ……ッ! オレたちが【極上のモフモフを堪能するタメ】に、丁重にお迎え(拉致)したんだよぉ!!」


見れば、幼い聖獣たちは特注のふかふかクッションの上で、人間より豪華な食事を振舞われている。完全なVIP待遇だ。

そして、その中心。

髭もじゃでスキンヘッドの、一際デカいリーダー格の男が――。


「……あ、ひゃんっ! もっと、もっとおしり叩いてぇ……月光鳥ちゃん……ッ!!」

あろうことか、気性の荒い『月光鳥』に鋭い羽でバリバリと往復ビンゴを喰らいながら、頬を赤らめて【あんあん】と悶絶していた。


「………………(ドン引きなんですけど)」


私は持っていた鉄パイプを、思わず地面に落としそうになった。


何これ……。ねえ……私はいったい、いま何を見せられてるの?


私の「名推理」が外れたとか、もうそんな次元の話じゃない。こいつら、ただの【手遅れな変態集団】じゃないの……!


「……あんた達。……趣味は否定しないけど、公務執行妨害と窃盗罪は別問題よ」


私は冷徹な「受付嬢スマイル(蔑み100%)」を浮かべ、ひしゃげた鉄格子をさらに鉄パイプで叩き割った。


「――さっさと、このシマ(国)から出ようか。二度と私の視界に入らないで。次に見かけたら、今度は私があんたたちをこの鉄パイプで【返品不可の粗大ゴミ】に成形してから、おしりをバシバシ「ケツバット」してあげるわ」


「ひ、ひぃぃ……! 姐さんの冷たい目が、鳥のビンタより効っくぅぅ!!」


命からがら逃げ出す変態山賊(モフモフ派)を見届けながら思う。


……今回の事件、真相を知らなかったほうがよかったわ。とほほ。


私はチベスナ顔で大きくため息をついた。


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ