第9話 両想いになる魔法
お洋服ストリートの裏。天野絵の具店。
絵の具が足りないので、再び買いに来た。
今回は、バーバラ先生も一緒である。
「天界の神様は、本当に怒ってないのよね」
聞く。
「天界の神様が怒っているとは、聞いていませんよ」
「本当かしら?ダニエル」
「本当ですよ。バーバラ先生」
店主のダニエルさんに、バーバラ先生は、疑いの目を向けている。
ケイとミイには、わからない話。その2。
この現実世界の上には、天界がある。
そこには、一人の神様。
たくさんの天使が暮らしている。
神様は、人間世界の“普通”を見守る役。
“普通じゃないこと”は、認めない。
しかし、最近は、人間世界の科学の発達で、“普通”の境界線が、あやふやになっている。
幻想世界出身のバーバラ先生は、“普通”にうとくて、女の娘のためなら、恋を何でも叶えてあげたいと思っている。
一度、神様に怒られた経験があり、それを恐れている。
「神様は、もう怒りませんよ。ボクがいますから」
「あら、そう。じゃあ、どんどん叶えるわよ!」
意気揚々と絵の具を買って、お洋服ラボに戻る。
第9話 両想いになる魔法
エムさんの住むアパート。
「バーバラ先生のおかげで、人間の姿になれました」
小鳥だった天使エルエルが、今は、素敵な女性の姿となっている。
魔法の仕立て屋さんの魔法のワンピースを着ている。
色は、黄緑色。
小鳥天使エルエルの好きな人は、浪人生の緑川エムさん。
アパートで一人暮らし。
「気に入ってもらえるでしょうか」
不安なエルエル。
ガチャッ。
ドアを開けて、猫背な男の人が出てくる。
「わたし、あなたのことが好きなんですよ」
「名前、聞いていいですか…」
「小鳥天使エルエルです」
「可愛い名前ですね…」
エムさんは、ゆっくり近づいてくる。
「ボクのこと…好きなんですか」
「はい」
「ボクも、好きでしたよ…」
だきっ。
小鳥天使エルエル。
浪人生のエムさん。
二人の時が、はじまる。
お洋服市立普段着高等学校。
昼食タイム。
「それで、小鳥天使って女の娘は、上手くいった?」
「うん。上手くいったよ」
玉子サンドイッチを一口。美味しい。
来斗くんとの昼食時間。最高。
いつも、カッコいい。大好き。優しい。
「何か、片側が普通の人間じゃないね」
「うん。確かに」
「女の娘って、普通じゃない恋を望んでいるのかな」
「うーん。わからない」
乙女ゲームの騎士様。
金魚。
格闘ゲームの格闘家。
今回は、浪人生で、普通の男の人だけど。
女の娘が、小鳥天使っていう謎の存在。
見事に片側が、人間じゃない。
何でだろう。
「彩色さんは、普通の恋を望んでる?」
「え?」
「僕は、普通の人間だけど。いいの?」
「来斗くんは、頭が良いよ」
頭が良い。好きになった理由。
優秀で、カッコいい人への憧れ。
「頭が良いって、褒め言葉なのかな?」
「褒めてるよ。私は、頭良い人が一番好きなんだもん」
「一番…好き?」
「う、うん」
思わず、顔が熱い。
「僕も、一番好きだよ。彩色さんのこと」
「え、…うん」
見つめ合う。これは、両想いだ。
うれしい。カッコいい。大好き。大好き…!




