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第10話 恋は叶うこともある

お洋服市立図書館。

「どの辞書が面白い?」

「カタカナ語辞典かな。見てて楽しいよ」

「じゃあ、それ見る」

カタカナ語辞典を本棚から、出す。

読書スペースで、二人並んで、一冊の辞典を読む。

「ア行からじゃなくても、好きなところから読んでもいいと思うよ」

「うん」

来斗くんは、優しい。

いつも、遠くで見てた頃から、来斗くんは辞書を読むのが好きなんだろうと思っていた。

カッコいい姿。大好きな横顔。優しい眼差し。

すぐ近くで見れる来斗くんも、カッコいい。

やっぱり、大好き。

頭が良くて、優秀な来斗くんが大好き。

恋を叶える魔法の仕立て屋さんの話は、都市伝説扱いで全然知れ渡っていない。

あるはずない…。

それが、女の娘の多くの意見のようだ。

お洋服ラボのお客さまも、ケイやミイが紹介するのが、ほとんどである。

そのことについて、バーバラ先生は言っていた。

「恋が叶うことを信じない女の娘が多いのよ」


第10話 恋は叶うこともある


お洋服ストリート。お洋服ラボ。

「眼鏡執事のキャラクターが好きなの」

藍原ダリア。

ケイとミイと来斗くんと、同じ高校に通う女の娘。

深窓の令嬢と呼ばれていて、少女マンガばかり読んでいる。

夢見る女の娘だ。

携帯用のスマホの壁紙が、眼鏡執事のウイン様である。

「叶えてあげるわ。女の娘」

「叶えますよ」

バーバラ先生と白いお人形のるてるてが、準備をはじめる。

るてるてが、絵の具の準備。

バーバラ先生は、魔法のワンピースを、壁にかける。

「おほほほ…」

魔法の筆とパレットを両手に、ワンピースを藍色に染める。


お洋服ラボの試着室で魔法のワンピースに着替えた。

藍原ダリアさん。

スマホの壁紙が光って、眼鏡執事のウイン様が現れる。

「ずっと、貴方のお側で仕えたいと思っていました」

「ウイン様…」

だきっ。

深窓の令嬢。藍原ダリアさん。

眼鏡執事キャラクター。ウイン様。

お屋敷で、二人の時間が動きはじめる。


昼食タイム。

「幸せそうだったね」

「うん」

来斗くんとの昼食。

二人して、コロッケパンを食べている。

来斗くんは、メンチよりコロッケの方が好きらしい。

カッコいい来斗くん。大好きな来斗くん。

今日も、昼食が一緒でうれしいな。

「深窓の令嬢って、すごいお金持ちっぽいね」

「うん。お金持ってそう」

「執事なんて、本当にいるんだね」

「そうだね。はじめて見たかも」

お洋服ラボでの話で盛り上がる。

「何で、これだけ、恋が叶うのに、お洋服ラボのお客さまが増えないのかな」

「うん。そうだね。増えてもいいと思う」

思い出す。バーバラ先生の言葉。


「恋が叶うことを信じない女の娘が多いのよ」


バーバラ先生は、言っていた。

ケイも、魔法のワンピースを最初に信じなかった。

来斗くんへの恋が叶うと思ってなかった。

「私、双子の妹のミイから、魔法のワンピースを着せてもらわなかったら…」

ケイは、うつむく。

来斗くんと仲良くなれなかった。きっと。

「ねえ。いいかな」

「?」

「恋は、叶うこともあるんだよ。僕は、彩色さんのこと好きだよ」

「それは、魔法のワンピースが…」

「違うよ。僕の頭が良かったからだよ」

くすくす。

来斗くんが微笑む。

「僕の気持ちにも、いつか気づいてね」

「え?うん」

魔法のワンピースを着た女の娘。彩色ケイ。

女の娘の恋を叶えた。加地来斗くん。

二人は、お付き合いを続ける。


洋服都。洋服市。

恋を叶える魔法の仕立て屋さんがある。

恋は叶うこともある。

魔法のワンピースで、恋しよう。

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