第5話 金魚への恋
彩色家。
ケイと双子のミイの家。両親と四人暮らし。
「すごいね〜。魔法の仕立て屋さん」
迷彩柄の服を好むミイは、迷彩ズボンのポケットに両手を入れている。
魔法のワンピースは、乙女ゲーム世界の騎士様への恋も叶えてしまった。
「すごすぎだよ」
「レンタル料金は、かからないんだっけ〜?」
「それだよ」
ケイは、バーバラ先生に言われた。
「お客さまがほしかっただけよ。高額請求は、嘘よ」
「るてるてです。嘘ですよ」
「料金は、無料よ。だから、お客さまを、これからどんどん連れて来てちょうだい」
「レンタル料金100万円じゃなくて良かった…」
ケイは、大きくため息をついた。
魔法の仕立て屋さんは、ホワイトだった。
無料だったなんて、かなりのホワイトだ。
「それでさ〜」
「何?ミイ」
「新しいお客さま、いるよ〜」
「お客さま?」
「そう。金魚くんに恋してる女の娘〜」
第5話 金魚への恋
お洋服市立普段着高等学校。
プール。
「お客さま候補は、水島マリンさ〜ん」
ミイに連れられて、学校のプールにやってきた。
水島マリンさん。
元気で活発な水泳少女。ボーイッシュな女の娘。
その娘は、水泳部いるらしい。
「どこかな〜」
キョロキョロ辺りを見まわすミイ。
ケイも、辺りを見まわした。
「水島マリンさーん」
呼ぶ。
「あたしに、何か用?」
すぐ、返事が帰ってきた。
ひと泳ぎ終わった感じの水着の上のジャージ姿。
たぶん、水島マリンさん。本人だ。
「水島マリンさ〜ん。恋を叶える魔法の仕立て屋さんの話をしたよね〜」
ミイは、すでに水島マリンさんに話を持ちかけている。
「あたしが、金魚に恋する変な女の娘だってウワサを聞いてきたんだろ」
少し、不機嫌そうだった。
確かに、ちょっと普通じゃないのかも。
でも、魔法の仕立て屋さんの話を聞いて、少し、かなり興味があるらしい。
水泳部。水島マリン。
「あたし、恋してるんだ」
ジャージ姿の水島マリンさん。
遠くを見つめるような瞳で、空を見上げる。
お祭りの日の夜。
金魚すくいをした。
一匹も取れなかったけど、お店のおじさんが、真っ赤な金魚をくれた。
特別にくれた。
金魚ばちに、入れてあげた。可愛い。
「あたし、可愛い男の子が好きなんだと思う」
金魚を見つめれば、心が幸せになる。
大好きになった。
「金魚の名前、カネギョっていうんだ」
「それね〜。ケイが、何とかするよ〜」
「ミイ。一緒に頑張るんだってば」
双子のミイとケイは、魔法の仕立て屋さんのおかげで、恋が叶った話をした。
一人は、彩色ケイ。
二人目は、宝塚リカさん。
水島マリンさんは、無理だと言う。
確かに、金魚との恋を叶えるって、どうやるんだろう。
わからない。
昼食タイム。
「レンタル料金は、無料だったんだね」
「うん」
来斗くんとの昼食時間。
うれしい。楽しい。
「それで、お客さまを連れて行くことになったんだね。どんな感じなのかな?」
カッコいい来斗くん。大好き。
新しいお客さま。
水島マリンさんの話をする。
金魚への恋。叶うのだろうか。
「一緒に、お洋服ラボに行こうよ」
「うん」
来斗くんは、優しい。




