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栄冠は君に輝く  作者: konatsu


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11/26

6回表 改革

春季大会敗退から一週間。


夕暮れのグラウンド。


自主練習を終えた石川こなつは、ベンチで一人考え込む竹内さおりを見つけた。


「主将。」


さおりが顔を上げる。


「こなつ。」


しばらく沈黙。


やがてさおりが口を開く。


「ねえ。」


「もっと野球に敬意を払おうと思うんだけど。」


こなつは少し驚いた。


「急だね。」


「負けてからずっと考えてた。」


「私たち勝つことばかり考えてた。」


「野球そのものに感謝してなかった気がする。」


こなつは少し考えた後、笑った。


「じゃあ。」


「できることからやってみようよ。」


さおりの表情が少し明るくなる。


二人はノートを開いた。


表紙には大きく書かれる。


島大松江高校野球部改革案


第一案

感謝の整列


試合終了後。


まず相手チームへ拝礼。


続いて審判団へ拝礼。


その後、自校応援団へ拝礼。


最後に相手応援団へ拝礼。


「ありがとうございました」


第二案

打席への感謝


打席に入る前。


帽子を取る。


「よろしくお願いします」


そして打席終了後。


結果に関係なく。


ヒットでも。


三振でも。


併殺打でも。


「ありがとうございました」


と一礼する。


第三案

グラウンドでの責任


グラウンド内では笑顔禁止。


ミスをした時は、


まず仲間へ謝罪。


「ごめん!」


その後、プレーで取り返す。


さらに。


「ドンマイ」


禁止。


失敗を軽く扱わない。


第四案

死球はチーム全員の責任


死球発生。


投手だけではない。


内野手。


外野手。


ベンチ。


全員起立。


脱帽。


打者へ謝罪。


第五案

相手応援団への感謝


試合終了後。


応援団へ挨拶した後、


振り返り、


相手応援席へ一礼。


「ありがとうございました」


第六案

勝利の前に感謝


勝利後。


校歌斉唱の前に、


まず審判団へ。


次に応援団へ。


そして相手チームへ。


感謝を伝える。


二人は顔を見合わせた。


「これでどうかな。」


「いいと思う。」


翌日。


鈴木監督へ提出。


監督は最後まで黙って読んだ。


そしてノートを閉じる。


「素晴らしい。」


さおりとこなつの顔が明るくなる。


しかし。


鈴木監督は続けた。


「だが二つ足りない。」


第七案

道具への感謝


監督は自分のグラブを掲げる。


「お前たちは毎日使っている。」


「だが感謝しているか。」


グラブ。


バット。


スパイク。


ユニフォーム。


「練習後。」


「必ず手入れをしろ。」


「そして言葉にしろ。」


『今日もありがとう。』

皆、胸が熱くなった。


第八案

最終回の結束


試合最終回。


勝っていても。


負けていても。


全員で手を繋ぐ。


主将さおりが一人指名する。


指名された選手は、


仲間へ一言伝える。


励ましでも。


感謝でも。


覚悟でもいい。


鈴木監督。


「最後は技術じゃない。」


「心だ。」


「仲間を信じろ。」


後方で聞いていた松田健吾が笑う。


「心眼だな。」


鈴木監督も頷く。


「そうだ。」


「これが島大松江高校の野球だ。」

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