第6話 魔王が五人!?
魔王アルテミスとの激しい戦いに疲れ果て、ぐっすりと眠った翌朝、俺は目覚める。
空は晴れ渡り、窓からはまばゆい朝日が差し込み、部屋を明るく照らしていた。
「うう〜ん」
ベッドで寝ていたアメリアとアイリーンも、眠い目をこすりながらむくりと起き出す。
「タクヤ〜お腹すいたよお」
「わたくしも、お腹がへりましたわ!」
二人にせがまれて、せっせと朝食を用意する。パンと……ベーコン、卵がなぜか完備されている。あと、紅茶らしき葉も。色々工夫しながら、せっせと三人分の朝食を作る。目玉焼きに水をかけ、少し蒸して、いい感じに仕上げる。
「いっただきますーっ!」
「おいしそう!」
女子たちの声が弾ける。
「ングんぐ、おいしい」
食事をしながら、二人に尋ねる。
「そもそもなんだけど……ここは一体、どこなんだ?」
「もぐもぐ……ここは、エルファ王国の辺境の村、トマトヴィレッジよ」
アメリアがパンをほおばりながら答える。
「トマト……ヴィレッジ?」
「ええ。昔、ここの土地でとれたトマトを王様に献上したら、めちゃくちゃ気に入られて、村の名前にしていいよ、って言われたの」
「ええ……センスが……」
「ちなみに、隣はキャベツヴィレッジ、その向こうがブロッコリーシティ」
王様、野菜好きすぎだろ……まあ、俺の「転ポテ」もそうなんだけど……ひょっとして、この世界に何か影響与えてる?
「で、エルファ王国はね、今、四人の魔王に侵略されつつあるの」
アイリーンが、目玉焼きの黄身をぷちんと割りながら、さらっと爆弾発言を投下する。
「よ……四人!? 昨日のアルテミスだけじゃないのか!?」
「あら、言ってなかったかしら?」
「言ってない! 絶対に言ってないっ!」
「ええとね、北の魔王アルテミス、東の魔王ベルフォード、西の魔王カミラ、南の魔王ゾルダン。それぞれが軍勢を率いて、王国を四方から攻めてるの」
「で、その四人を統べる、大魔王ダグラスが本拠地で待ち構えてる、ってわけ」
アメリアがびしっと指を立てて、補足する。
「待って待って待って……それ、もう、ガチでラスボスじゃん! 俺、まだスローライフも始めてないんだけど!?」
「スローライフ?」
二人がきょとんとした顔で、こっちを見る。
「タクヤなら、楽勝よ! なんてったって、想像力マックスの最強スキル持ちですから!」
アイリーンが、目玉焼きをもう一切れ口に運びながら、無邪気に笑う。
最強……ねえ。昨日召喚したのはダチョウだったけどな!
その時、部屋の隅で、当のダチョウが「クワッ!」と一鳴きして、しれっと卵を温めはじめた。
「……ていうか、こいつの名前、決めないか? いつまでもダチョウじゃ呼びにくいだろ」
「あ、それ大事ですわ!」
「ええと……サラマンダーを召喚しようとして失敗したんだよな……じゃあ……サラ、はどうだ?」
「クワッ!」
ダチョウ――もといサラは、嬉しそうに首を縦に振った。意外と賢い。
「よろしくな、サラ」
「クワッ、クワッ!」
「で、話を戻すけど」
アメリアが急に真剣な顔になる。
「昨日のアルテミスの襲撃で、トマトヴィレッジは半壊状態よ。次に来られたら、もう守りきれない」
「……だな」
「だから、先手を打つの。北の魔王アルテミスの居城――"漆黒の塔"に乗り込んで、ヤツを倒す!」
「いきなり!? まだ俺、レベル1だぞ!?」
「あら、レベルってなあに?」
……あ、そうか、この世界、ゲームじゃないんだった。
「とにかく、まだ準備が……」
「準備なんて、戦いながらすればいいのよ!」
「そうですわ、タクヤ殿の想像力なら無敵ですから!」
二人とも、ノリが軽すぎる……これは絶対、俺の作品に出てくる仲間キャラじゃない。"転ポテ"の仲間たちはもっと、こう、慎重で、戦略的で……
(あれ? 俺、今、自分のラノベの仲間たちのコト、こんなにスラスラ思い浮かべられたっけ?)
なんだろう、転生してから、頭の中の物語が、より鮮明になっている気がする。これは……スキルの恩恵か?
「決まりねっ! 今日のうちに準備して、明日出発!」
アイリーンがガッツポーズを取る。胸元が大きく揺れて、思わず目が泳ぐ。
「あ、こら、どこ見てるのよ」
アメリアが、すかさず俺の頭をぺちんと叩く。
「い、今のはたまたまだ!」
「ふん、エッチ、スケベ、マイペット」
三段ビンタ、ここでも炸裂。




