表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/72

第35話 スケベな巨大ハサミ

「イマジナリースキル! いでよ、鎖を断ち切る——ハサミっ!」


 ぼん、と空中に何かが現れた。


 ヴィオラの真横の地面に。

 ズドオオオオォオン!!


 地響きとともに、巨大な何かが突き刺さった。


 それは——高さ二メートルはあろうかという――馬鹿でかい、銀色のハサミだった。その刃は地面に深々と食い込み、二本の握り手が空に向かってそびえ立っている。


「……」

「……」

「……」

「クワッ……?」

「ぴーっ……?」


 全員……絶句した。

 

 縛られたまま、アメリアが半目で見上げている。

「タクヤ……」

「あ、ああ」

「方向性は、合ってるけど……これじゃ、使えないじゃない!」

「す、すまん」

「形は合ってるけど……サイズが、ちょっと……」

「俺の想像力、相変わらずだな……」

 

 俺は、ハサミに駆け寄って、握り手を掴んでぐっと引っ張ってみた。

 びくともしない。

 ぐぐ、ぐぐぐ、ぐぐぐぐ。

「重っ……これ、絶対、何キロあるんだよ……」

「ぷっ……」

 ヴィオラが、扇子で口元を隠しながら、思わず吹き出した。

「あんた、何やってるの。逆さに立てて彫像にする?」

「うるさい!」


 その時――。


 巨大ハサミの刃が、ふぅっと——薄く光り始めた。


「えっ?」


 光は次第に強くなり、眩しいほどの白い光が一斉に放たれる。俺は、思わず目を細めた。次の瞬間――巨大ハサミが地面から、自らすぽんっと抜けて――


「な、なんだ!?」


 そして、ふわりと宙に浮く。まるで生き物のように、ぐるんっと向きを変えると――


 シュバババババッ!


 信じられない速さで、アメリア、アイリーン、アルテミス、サラ、サラダの周りをぐるぐると舞った。

 空気を切り裂く音とともに、紫の鎖が——次々にぷつん、ぷつん、と弾けていく。


「きゃっ!」

「あらっ!」

「うおおっ!」

「クワッ!」

「ぴーっ!」


 ものの数秒で、全員解放された。

 俺たちも、ヴィオラも、ぽかんと空を見上げていた。


「な……何ですの、これ……」

 アイリーンが、震える声で言った。

「タクヤ、あんた、本当に、原理わかってないの?」

「俺もよく分からないんだけど……効けばいいんだよ!」


 しかし、巨大ハサミは……そこで止まらなかった。切るべきものを、まだ探しているかのように、空中でシュバババッ! と俺たちの周りを飛び続けている。


「あぶないっ!」


 俺は、ふと嫌な予感がして、後ろを向いた。

 巨大ハサミは、今度はアメリアめがけてぐるんっと舞い降りる。

「ええっ、待っ、ちょっとっ!」

 

 シャキィイインッ!


 巨大な刃が、アメリアの胸元の鎧の留め金を——軽々と切り裂いた!

 

 ぱぁんっ。


 乾いた音とともに、鎧の前面がはらりと地面に落ちた。アメリアの、白い、その下に着ていた薄手のシャツが丸見えになる。

 そして、メロンのような胸の輪郭が、ふんわりと――。


「きゃああああっ!」

「うわぁッ!」

 俺は、慌てて目を逸らした。アメリアは、両手で胸を、ぎゅっと隠して、その場にしゃがみ込んだ。

「タ、タクヤ、見ないでっ!」

「見てない! 見てないからっ!」

「絶対、見たっ! 見たでしょっ!」

「いや、その、ちらっと、しか――」

「ちらっと、見たぁ!?」

「す……すみませんっ!」


 パッチィイインッ!


「いだぁッ!」


 張り手がいつもより、ずっと強く飛んできた。


 そうこうしてるうちに……巨大ハサミは、ぱたっと力を使い果たしたように、地面に落ちた。

 ガランガランガラン――。


 しーん。


 ヴィオラが、扇子で口元を隠しながらぷるぷる震えていた。

「あ、あんたたち、面白すぎるわぁ……あっはっはっは!」

 もう、戦意喪失。


 俺は、防寒用の羽織りを取り出して、アメリアの肩にかけた。

「……ご、ごめん、本当に」

「……ふん。後で覚えてなさいよ」

 アメリアは、頬を真っ赤にしたまま、羽織りの前をぎゅっと合わせる。その後で、ふっと彼女は付け足した。

「……まあ、あなたというより……」

「……?」

「あのハサミが、エッチでスケベ……なのね」

「そうそう、そうだよっ! 俺じゃない……です」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ