表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/73

第11話 エッチな欲望

 ベルセルカーを倒した俺たちは、塔の中へと足を踏み入れる。


 塔の内部は、外観に違わず、漆黒の石で築かれていた。所々に、青白い炎を灯したランプが設置されていて、独特の不気味な雰囲気を醸し出している。

「ここからが本番ね」

 アメリアが、剣を構える。

「タクヤ、気を引き締めて」

「お、おう」

 階段を一段ずつ上がっていく。


 しばらく登ったところで、突然、罠が発動した。

 ガコン! と床が抜け、俺たちは下に落ちていく――

「うわああっ!」

「きゃああっ!」

「あらー!」


 落下した先は、暗い通路だった。幸い、衝撃を吸収するクッションのようなものが敷かれていて、ケガはなかった。

「な、なんとか無事ね」

「ここは……?」

 俺たちはきょろきょろと辺りを見回す。


「クワッ! クワッ!」

 上の方から、サラの心配そうな鳴き声が聞こえる。

「サラ、私たちは大丈夫よ! 上で待ってて!」

 アメリアが叫ぶ。

「クワーッ!」

 サラの鳴き声が返ってくる。


 俺たちは、落ちた先の通路を進んでいく。やがて、開けた空間に出た。

 そこは、巨大な広間だった。中央には、不思議な祭壇が置かれていて、その上に……七色に輝く宝玉がある。

「あれは……封印の宝玉!」

 アイリーンが叫ぶ。

「アルテミスの力の源……あれを壊せば、ヤツの力は半減するはずですわ!」

「マジで!? ラッキーじゃん!」

 俺は宝玉に駆け寄る。

「待って、タクヤ!」

 アメリアの声が、一瞬遅かった。


 ガコン!

 また、罠だ。

 今度は、天井から鎖が降ってきて――俺の足首をぐるぐる巻きにし、逆さ吊りにする!

「うわああっ! なんだこれぇ!」

「タクヤ!」

 アメリアとアイリーンが駆け寄る。


 その時――暗闇の中から、笑い声が響く。

「ふふふ、引っかかったわね、お馬鹿さんたち」

 声の主が、ゆっくりと姿を現す。

 黒いゴシックドレスに身を包んだ、銀髪の少女。年齢は、20歳くらいだろうか。瞳は赤く、唇には妖艶な笑みをたたえている。


「……魔王軍幹部、夢魔のメフィス……!」


 アメリアが、警戒した声を上げる。

「あら、有名人みたいで嬉しいわ」

 メフィスは、優雅に一礼する。

「ふふ、こうして逆さ吊りになったお兄さん、なかなかいい眺めね」

 ……ええと、これは、逆さ吊りになってる俺の方が、彼女のスカートの中を見上げる形になるわけで、いや、ちょっと、その、視線をどこに……

「あらあら、お兄さん、顔が赤いわよ?」

 メフィスが、にやにやしながら、わざと俺の近くに寄ってくる。

「ち、近づくな!」

「ふふ、夢魔ってね、男の欲望を見抜いて、それを利用して力を吸い取るのよ」

「……マジか」

「お兄さんの欲望、見せてもらおうかしら」


 メフィスが、目を閉じる。すると、彼女の周りに紫色の霧が立ち込め始めた。

「ふふ……あら、お兄さん、なかなか興味深い欲望を持っているわね……」

 メフィスが、目を開ける。

「ラノベ作家として成功したい……?」

 ……あ、あれ?

「アニメ化したい? 映画化したい? 主題歌は人気アーティスト?」

 ……それ、俺の欲望ですけど。

「……お兄さん、ちょっと、欲望がよくわからないんなけど?」

 メフィスが、不機嫌そうに眉をひそめる。

「私の魔法は、もっと……こう、エッチな欲望を吸って力に変えるものなのよ!」

「いや、エッチな欲望もちゃんとあるけど……」


 俺は拳を握り締めて、強く言い放つ。


「それよりも、俺はラノベ作家として成功したいんだ!!」


「……!!」

 その強い決意! しかし、意味がよく分からないメフィスはぽかんと口を開ける。

 

「お兄さん、変よ。エッチより大事なものがあるなんて!?」

「いや、それが普通だから!」

「もう、興ざめだわ!」


 メフィスが、ぷんすか怒り出す。

「アメリア、今だ! 彼女の集中を切らせ!」

「了解!」

 アメリアが、剣を構えて飛び込もうとする――が、その時。メフィスがにやりと笑い、別の魔法を発動させる。

「眠りの霧!」

 紫の霧が、広間全体に広がる。

「うっ……」

「ねむ……い……」

 アメリアとアイリーンが、その場に崩れ落ちる。

 俺も、意識が遠のいていく。

「ふふ、ふふふふ。お兄さんは、別室で楽しませてもらうわ。アルテミス様にお見せする前にね……」

 メフィスの妖艶な笑い声を聞きながら、俺は意識を失った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ