転生
視界がぼやける中で、その二人の姿がはっきりと形を結んでいく。男の人は、岩を削り出したような険しい顔立ちに、額からは鋭い一対の角が天を突いている。隣に立つ美貌の女性もまた、背中には漆黒の翼を畳み、その瞳は夜の色をしていた。(……間違いない。人間じゃない。これが、魔族……)僕は声を出そうとしたが、出たのは力ない赤ん坊の産声だった。
父「おお、泣いたな。この力強い魔力……間違いなく、我ら『アルフレッド家』の血を引く最高傑作だ」父親が低い声で笑い、大きな手で僕を抱き上げた。その手からは、前の世界の父からは一度も感じたことのない、暴力的なまでの期待と熱量が伝わってくる。
母「ええ、あなた。この子の瞳を見て。……まるで、すべてを悟っているような、凍てついた赤色。きっとこの子は、魔王様にお仕えする四天王にまで登り詰めるわ」母親が細い指先で僕の頬をなぞる。その指はひどく冷たかったが、僕にとっては心地よかったこの家では「弱さ」は罪だ。「じゃれあい」なんて言葉で誤魔化す甘さはない。利用価値があるか、それとも死ぬか。(上等だ。望むところだよ……)僕は二人の親を見つめ返しながら、小さな胸の中でザラムから授かった魔神の力を脈動させた。いじめ、裏切り、孤独。あっちの世界で味わったすべての屈辱を燃料にして、僕は魔族としての牙を研ぐ。最速で、最強の、復讐者になるために。こうして、魔族の貴族「ツカサ・アルフレッド」としての、血塗られた英才教育が幕を開けた。




