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ナマクラ魔剣とポンコツ知恵袋、ガチャな俺  〜世界が俺にキャラを押し付けてくるんだが?!  作者: まお
鏡の聖女と、その裏に潜む者

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改竄者と、赧い剣線

 クリトは両手を開いた独特のポーズで構える。

「……」

――しかし、何も起こらなかった。


「ココハ 我ノナカ ダ

カッテナ 召喚ナド サセルモノカ!

『宣誓:生まれろ』」


 クリトの召喚失敗を嘲笑うかの様に、創崑は多数の魔獣を召喚する。


「シッテイルゾ サナハ 魔獣ハ斬れナイ」


「ックソが!――チセっ!」

〈いいのね?

 32秒よ?持たせてね〉

「どのみち、このままなら埒があかねぇ!」


 チセが妨害から構築にリソースを切り替える。途端に、黒い靄の動きが活発になる。だが、それらは、クリト達ではなく魔獣へと殺到し、結果魔獣達は異形となった。

「マズハ サナ! オマエカラダ!」

 四本腕のゴリラのような魔獣はのしのしとサナへと近づくとその巨大な拳を振り下ろ――せなかった。

 サナは、間合いに入られた瞬間、音速の抜刀をしていた。


「……斬れぬっ」

 剣は通った。だが、やはり断ててはいない。その現実に無表情だが、悔しげな空気は伝わる。

 確かに、ゴリラは斬られてはいない。しかし、腕と腰の辺りは明らかに陥没し、戦闘不能は明らかだった。

 サナは無遠慮にゴリラに近づくとさらにタコなぐりにする。そして完全に沈黙しているのを確認すると、サナは視線を上げた。サッと他の魔獣は目を逸らす。

「……ナンナンダ オマエ!

 ナラ、コウダ!

『宣誓:来い

 ――定義:全てを飲み込め』!」


 ドロリと垂れたその魔物は、いわゆるスライムだった。ただし、排泄や死骸を溶かす森の掃除屋なんて可愛いモノであるはずもなく、異形の魔獣の群れを片っ端から飲み込んで行く。

 チセが斬りかかると、確かに裂ける。だが、すぐに繋がり戻る。

 サナの連撃で、スライムはグズグズに崩れるもふにょんとすぐに元の形に戻ってしまう。

 スライムの動きは早くは無い。だが、確実にサナへと近づく。

 サナも負けじと、さらに剣速を上げる。そして弾き飛ばした雫がサナの肩に張り付く。

 途端にジュッと音を立て肉が溶かされる。

「焦るな、よく見ろ」


 その肩に魔札を乗せて、応急処置をクリトが施す。

「それでもそいつはスライムだ。コアを狙え。お前なら見えるだろ?」

〈後、8秒!〉

 サナはピクリと反応し、一度スライムと距離を取る。スライムは気にするそぶりもなく、ウネウネ近づいてくる。しかし、何かを察したのか。間合いには入らず、今度は自らを、蒸気としてサナへと襲いかかる。

 蒸気は魔力でもなく、力押しでも、どうにもならない。

 サナの髪は煙をあげ、服や皮膚も焼けていく。

 刹那、再びの抜刀。

 しかし、今までと違いスライムは崩れていない。――ズレていた。

 一筋の線によりズレたと思った次の瞬間、パシャっと音を立てて広がっていった。それはもうただの水たまりであった。

「シツコイヤツラダ

宣誓:顕現化

 ――定義:」

〈ここね?

 改竄(クラッキング)

『宣誓:顕在化

 ――定義:道を開け』!〉


「サナ!行くぞ!」

 サナの背にクリトが右手を添えて、魔力を一気に叩き込む。

 急激な魔力圧にサナのあちこちの傷口から血が噴き出るも構わずに剣を振り抜く。

「っぁあ!」

 たまらずに、声を上げるサナ。

 そして、その剣跡は赧い筋を開いていた。その先には――

 真っ先にその人は飛び込んでいった。

「ッチ!

ここは任せた!」

 ボロボロになったサナはクリトに太刀を託し、崩れ落ちる。

 そんなサナに黒い石板を押し付けるクリトはユーナを一瞥し、親指ほどもある魔石を放る。


「へ?私?!」


 倒れているティアを部屋の端へと引きずっていたユーナは、咄嗟に右手(・・)でキャッチする。

 途端に炎が吹き出し、――精霊が顕現した。


「頼りにしてるぜ?炎の英雄(トーマ)


 クリトはその言葉を残し赧い先へと追いかけて行った。

読んでいただきありがとうございます


次回嘘予告

調子に乗ったトーマが大暴れ!

「炎帝、アカンてい」

氷点下の炎が燃え上がる


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