王妃から見た景色
「ラウド。最近は特に頑張っているようですね」
「母上……具合はよくなったのだ?」
「ラウドが頑張っているのに、妾だけが立ち止まるわけにはいかないでしょう?」
ティアが居なくなり、王妃は悲しみに泣き暮らし床に伏していた。だが、ラウドが目覚ましく成長し、王太子として信用足る姿を見せている。
ラウドとティアの母としても、そしてグランタイズ王妃としてもこれ以上立ち止まるわけにはいかないと思ったのだ。
「ここは、ラウドの私室。ならば、妾も母として、この場にいましょう。
ラウドがここまでになれたこと、サナもユーナも此度の尽力感謝いたします」
「いえ、あの、私なんて特に何もできていないでござる。
料理とか、少し狩りくらいで……
あとは、こうしてたまにラウドとちょっと庶民の話とかをしたりしているだけでござ――あ、ございます」
いきなりの王族登場にユーナはどぎまぎしてしまいよくわからない敬語もどきの言葉使いになっている。
サナは変わらず窓際で無口なまま泰然と佇んでいる。もしかして、目を開けたまま寝ているのか?ってくらい、微動だにしない。
「十分ですよ。
“できる者ができることに尽力する。”
それが、国としての最も基礎になっているのですから。
そなた等はこの国の民ですらないのに、ラウドに寄り添い、友となってくれました。
それがこの結果であり、ティアと離れたラウドに必要なことだったのです」
優雅に微笑む王妃にユーナが見惚れていると、ラウドがぽつりとつぶやく。
「まだ足りないのだ。
王として誰よりも前に立たねば、独りで立てねばならないのに」
その割れそうなほどに張り詰めたラウドの表情に王妃は眉を顰めた。
「ラウド……。
何を焦っているのですか?
あなたは立派にやっていますよ。
母としてはもう少し頼ってほしいと思ってしまっているほどに」
「母上……。
ラウドは、みんなに頼ってばかりなのだ。
治水のことも、討伐の事も、支えてくれた文官のアーノルドや冒険者パーティ”暁の蒼”のおかげなのだ」
「それでよいのです。
何もかも一人でできるなら、それは独りでいるのと変わりません。
足りない事を補い合う。支え合うことこそが、大切だと母は思いますよ」
優しい、慈しむその微笑みにラウドも母へと戸惑いながらも笑みを向ける。
「あなたのお父様も、宰相のパウルや四人の騎士団長らに支えられてこそなのです。
東西南北と中央の商業ギルド長とは月に数度は会合を持ちますし、外相やテムロス辺境伯や各国からの外交官が居るからこそ、安寧を保てているのですよ」
「母上……。
そう、それは頭ではわかっているのだ。
けど……。
教えてほしいのだ。
あの魔導具”聖女の鏡”はどのようなモノなのだ?」
「……私も詳しくは知りません。
その詳細な内容は、対となる魔導具”創崑”と共に代々グランタイズの王となる者のみに伝えられているのです。
王妃となる時に聖女の鏡について少しだけ教えていただきましたが、詳しくは知らされていないのです」
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次回嘘予告
王妃は尋ねる
「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは?」
……違う世界線の王妃っすね




