挿話 ユーナとトーマ
ラウドが政務に勤しんでいた頃のとある夏の日。
ユーナは悩んでいた。
今日のおやつ?確かに、シュークリームにするか、氷菓にするか。カロリー的には……って違う!
あのね、仲良くなったマリーさんとかが、サナとコソコソなにかしているのよ。
仲間外れ、とは違いそうなんだけど。なんだか、みんなが少し遠くにいっちゃったような気がして。
「ユーナには、まだ早い」って、詳しく教えてくれないのよ。
まぁ、まだ任せてもらえてない事とか、そもそも機密って言うんだっけ?秘密なお仕事。
そういうのもあるらしいから、あまり問い詰めるのも違うと思うし。
「ねぇ、トーマ。どう思う?」
〈ニコニコしている事が、多いですし、そこまで深刻な事では無いと思いますが。〉
トーマは、私の右手に普段住んでいる精霊で、元人間で、私の師匠で、……私の、こ、恋人。
えへへ。ちょっと変わった関係だけど、ちゃんと告白して、受け入れてもらった、恋人なの。
〈だけど、お仕事の邪魔はよくありません。
きっと、必要になれば、教えてくれますよ〉
そしてトーマはすごく頼りになるの。早く人間に戻してあげるからね!
〈……ふむ。少し時間がありますね。では、魔術の練習でもいかがですか?〉
にっこりと、ユーナは首肯する。
えへへ。二人きり。
だから、で、デートだよね。
▽ ▽ ▽
私はトーマ。
先日、黒骨騎馬との戦いで、いったん死んでしまいました。
ですが、ユーナを守れたのですから、まぁ、悪くない人生でした。
――悔いが無かったのかと言えば嘘になりますけれどね。ユーナを、泣けない程に追い詰めてしまいましたし。
当然、常識的には詰んでいましたので色々と諦めかけていたのです。
が、なんと。クリトさん達が黒骨騎馬を討伐してくださり。さらに、私の魂を錬成してくださいました。
理に反する行為です。しかし、精霊として、第二の人生を歩む今は感謝しかありません。
……そして、まさか娘の様に思っていたユーナから、恋慕を向けられていたと、はっきりと言われてしまいました。
私のようなおじさんの、どこがいいのやら。
まだ、私ははっきりと恋慕とは呼べず、親愛の段階であるとは、自覚しています。
……ですからね、チセさん。
あの子を、その腐った本へ導かないでください。
読んでいただきありがとうございます
次回嘘予告
やっぱりそうなるのよね。
「ペンは剣よりも強し」
愛は剣には勝ててもペンに勝てるのか?




