グリーラムの兵士
……ああ、おれがハンスだ。
所属は、グリーラム領軍第三部隊の中隊長だ。
で、魔剣殺し殿について聞きたいって?
そう、そのクリト殿の事だ。ここらじゃこっちの名前で通っていてな。直接じゃなくても色々と世話になった連中は多い。俺も感謝している。
産まれは知らん。
だが、浮浪児の中ではかなり幼い頃から、有名だったらしいな。
……俺の部下にも、そこにいたやつが何人かいるんでな。武勇伝はいくつか聞いてる。
まぁ、理不尽に荒くれどもにやられそうだったのを庇われた、とかだな。来てくれたら勝てる、とかじゃなくて、絶対に守ってくれるっつーか。……色々と見捨てられていた連中だ。あの人がいたからヒトでいられた、なんて言うのもいたな。
それで、万能の魔女様の目に止まってな。あっという間にBランクよ。考えられねぇほどの成り上がりだ。
ノリも良くて、俺ら衛兵とかの事情も汲んでくれた。しかも、バチクソに強い。今でも憧れてるヤツは多いさ。
…だから、あの時は、かなりの衝撃だったさ。あの魔剣殺し殿がヨタついてるんだぞ?
魔女様の館が崩れて、魔剣殺し殿も、魔女様も行方不明で。
でよ、なんかいつのまにか、こう、佇んでいてさ。
……見た目は間違いなく、魔剣殺し殿だったけど、なんか雰囲気が違っててよ。
……なんか、話しかけられなかったよ。違うヤツみたいで。
けどな、目が合ったんだよ。で、目は死んでなかった。
――だから、そのうち、またここに帰ってきてくれるって信じてるよ。
……まぁな。
魔女様の屋敷も潰れて、家族とか、近親者がいるわけでもねぇ。
でもな、俺らが勝手に慕うのは構わねぇだろ?
……ここが故郷だって、思っててほしいんだよ。
だから、伝えてくれよ。
この街は俺らが守ってるから、たまには顔出せって。




