表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナマクラ魔剣とポンコツ知恵袋、ガチャな俺  〜世界が俺にキャラを押し付けてくるんだが?!  作者: まお
炎の英雄と、その火を継ぐ者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/15

届かない左手と、偽物の笑顔

 翌朝、剣をクリトに渡しているため、ユーナは弓で鳥を狩りに出た。


 川での釣りは、あの日を思い出してどうしても気が向かない。

 もっとも、居候が食材を街から大量に買い込んできているし、そもそもサナが山で色々獣や魔獣を狩ってくるので、食料的には成果ゼロでも問題ないのだが。


 それでもじっとしていられなくて獲物を求め見渡せば、山の中には、トーマとの痕跡があちらこちらに残っている。


 感傷に浸りながら目を反対側に逸らすと、すぐ後ろにサナが立っていた。


「うわ!いつからいたのよ。びっくりするじゃない。

――あんた気配なさすぎよ」


「斬れる?」


 サナは相変わらず、無表情で、不愛想。


「何を斬るっていっても今剣持ってないし」


「トーマの」


 瞬間、一気に頭に血が上る。


「トーマは私が守る。トーマを殺すつもりなら、あんたの大事なクリトを絶対に殺す。――絶対にこれ以上トーマを傷つけさせない」


「守る」


「そりゃ、私より、アンタは強いでしょうよ。

 ――けど、私は、手段なんか選んであげない」


「トーマに。次はあなたの」


「……話にならない」


 ユーナはサナを置いて一人で森を進んでいった。

 戸惑ったようにユーナへと伸ばされたサナの左手は、どこにも向かえなかった。


 太陽も真上に来た頃、ユーナは泉に来ていた。


 水面に映る自分を見て、ふと、昔を思い出す。


 三年くらい前だったか、水浴びをしていたら、トーマに見られて。けど、トーマは全然慌てずに「タオルここに置きますよ」って微笑まれて、乙女の尊厳を二重の意味でボロボロにされた思い出の場所だ。

 今でも鮮明に覚えているが、今のユーナは腹も立たないし、懐かしくも、なんとも感じなかった。


「あれからだな、師匠って呼び始めたの。

 娘あつかいされるのが嫌で、ぜったいに惚れさせてやるって決めたの」


 水に手を浸す。


 しばらくすると、ガサガサと音を立てて何かが近づいてきた。


 矢をつがえたユーナの前に現れたのは、


「あらあら、やっぱりこっちのほうで合ってたのね。

 やっと見つけたわ。

 ちょっとお邪魔していいかしら」


 朗らかに微笑む、サナの姿をした”何か”だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ