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【 Ep.3-006 アルティア湖畔ダンジョン 】

10連休……?そんなもの私にはあるどころか逆に少し忙しいというね。


というわけで更新再開です。



 翌朝、野営地をテキパキと撤収したボク達はペインゴッズのおっさんに連れられて新たに生成されたというダンジョンの入口へと来ていた。

 昨日保護したアルテック村の若者達はすっかり疲労から立ち直り、一足先にアルザス川支流の道を通り村へと戻っていった。この時間帯で陽が出ていれば自分達でも村へは戻れると言っていたが、一応念の為にモーリィが製作練習の余り物の武器を渡して村へと向かったので多分大丈夫だろう。


 ダンジョンの入口は予想していたものよりは大きく、湖畔の岩場にぽっかりとその口を開けていた。元居た世界では画面の中でしか見れなかったような光景だ。

 そんな光景ではあるものの、中からは生臭い何とも言えない不快な空気が漏れ出てきており、あまり長居したいとは思わない程度にはモチベーションを下げてきてくれた。


 入口到着後にペインゴッズのおっさんを臨時のパーティメンバーとして加えてダンジョンの攻略を開始しようとしたのだけど、入り口前でおっさんがみんなに向けて口を開いた。


「さて、ダンジョン入り口に着いたわけじゃが、突入前に何点か言っておく事がある。一つはこのダンジョンは不死(インモータル)タイプのダンジョンじゃ。これは昨日ワシがあの若者達を救う際に中へ入ったから間違いは無い。次に言っておくべき事は中で襲ってくるモンスターはスケルトンなどが中心じゃが、一部ゾンビとグールが混じっておる。人の外見をしておるが、奴らを救うことは叶わん。迷わず殲滅するんじゃ、いいな?」


 真剣な表情で注意点を教えてくれるペインゴッズのおっさんにみんな頷く。やはりどこの世界でもモンスターと認識はしていても人の形をしているモノを攻撃するというのは中々ハードルが高いのだろう。

 ゲームであるという認識であればある程度そういった精神的負荷は軽減されるのだろうけど、最早現実と化したこの世界においてはその認識は出来ない。手に握った武器から伝わる感覚や匂い、衝撃が否が応でも紛れもない現実であると突き付けてくるのだから。


「――それとスケルトンはバラバラにしてもある程度再生をしてくるからのう、コアを貫くか再生出来ないまでに骨を砕けば問題ない。ゾンビやグールも首を跳ねてもしばらくは身体だけで動く。此方は四肢をバラバラにするか燃やしてしまえば大丈夫じゃ。ただ燃やせばいいからと火力を間違えるなよ?ワシらの呼吸が出来なくなるからのう。他にも凍らせるのも一つの手じゃし、ターンアンデットが使えるならそれが最も効果的じゃろうな。」

「ひとつよろしいでしょうか?」

「あぁ、構わんぞ。」

「"コア"とは一体どの様なモノなのでしょうか?」

「ん〜〜……分かりやすく言うとじゃな、その個体の中に内在する魔力(マナ)密度が最も高い一点じゃな。こればかりは実際自身の目や肌で感じてもらう他ないのぅ。」

「感じて覚えろというわけですね……。」


 おっさん曰く不死系モンスターはもとより命という概念がない為、その存在の固着の為に"コア"と呼ばれる高密度のエネルギー体を心臓の代わりにして活動するらしい。ただそれがどういう物なのかは自分自身の目と肌で感じる方が分かり易いらしい。

 おっさんの説明に今一つ要領を得られなかったチグサは少し難しい顔をしているけど、これまでの経験からすれば、何度か相手にしていれば自然と身に付きそうな感じがする。


「それと嫌な事を先に言っておくが……スケルトン系はまだしもゾンビ系は"臭い"んじゃ。嗅覚の良い獣人族(アニール)にはちと辛いかもしれん。ま、自然発生のダンジョン外のモノよりかはマシじゃがな。」

「ッゲ……。」

「マジっすか……?」

「……。」


 入る前から嫌な事を聞いてしまった……。いや、現場で気付くよりは心の準備ができてましなのかもしれないけどなるべく遭遇したくはない。ダンジョン産ならその辺まで再現して生成しなくてもいいじゃないか……。


「まぁそう気を落とすな。回避できる敵は極力避けていくからのぅ。洞窟タイプじゃし、その上まだできて間もないダンジョンじゃ。仕掛けられているトラップも少なかろうて攻略も難しくはないじゃろう。」

「おっさん一応元とは言え冒険者ランクSだったんだろ?そんな余裕そうに言うならソロで攻略も出来たんじゃねぇの?」

「はっはっは!確かにそうじゃな。ケント、お前の言いたい事もわかる。じゃがな、いくら冒険者ランクがSの評価だとしても、一人でやれる事なぞたかが知れておる。おぬしらに出逢った時がそうじゃった様に、あのままワシ一人でやつら二人とやり合っておったらワシは倒されていたじゃろうて。」

「つまり、なんだ……?"戦いは数だよ兄貴"ってやつか?」

「いやケント、そのネタおっさんには通じないって。」


 流石に異世界となるここで元の世界の一部に有名なネタが通じるはずがないだろう。が――


「わかるともわかるとも。いくら一騎当千の英雄がいたとしても、万の兵に取り囲まれればいずれ数に飲まれて打ち倒される。突出した存在というものは戦力として見れば頼りがいのあるものに見えよう。じゃがな、戦というものはそれだけが重要ではないのじゃ。じゃからこそ念には念を知れておぬしらに共に攻略する事を持ちかけたんじゃよ。」

「ネタにマジレス―と言いたいところだけど、確かにその言葉の通りだね。慢心程怖いものはないし。」

「わかっとるではないかぁセラ。やはりおぬし達に話を持ち掛けて正解じゃったのう!冒険者を長く続ける上で大切な事は決して驕らず自分自身の力をしっかりと把握する事じゃ。」


 なんか通じてるというか普通に真に受けてしかもいい感じのこと言われた。まぁ、実際気を抜けば死って言うのは間違いない事実だし、これまでもそしてこれからもそこを緩めるつもりはない。


「さて、では行くとするかの。」


 こうしてペインゴッズのおっさんの言葉でボク達はアルティア湖畔のダンジョンへと突入して攻略を開始した。



 先頭はいつもの様にケントが務め、その後ろにペインゴッズのおっさんとセトが付いている。罠は殆どないだろうとは言えある所にはあるものらしいので、おっさんがすぐ後ろに付く事によって罠へ掛からない様にする為であり、セトがついているのは同じくスカウトのスキルで罠を発見する為である。

 三人の後ろには少しだけ距離を空けてボクとシオンにマリーとクロさんにモーリィが続き、後方はチグサ、シキ、リツ、そして最後尾にベネという順で進んでいく。

 中衛の位置に前方にも後方にも支援が出来る様に支援職と魔法火力職を置き、柔軟性を持たせている。モーリィは一応戦闘の準備もしているが、今回はマッパーとしてマッピングをメインに動いてもらっている。 

 それなりに人数の多いパーティではあるものの、ダンジョンの広さはそれなりに余裕があって横幅は五人程度の広さがある。洞窟型のダンジョンであるせいか、内部は薄暗いので光属性の魔法に適正のあるセトとシオン、チグサに生活魔法の<光源(ライト)>を維持してもらう事で明りを確保して奥へと足を進めた。


 薄暗いダンジョン内の一本道をしばらく進むと、前方より微かに嫌な匂いが漂ってきた。その方向に意識を傾けると何かを引き摺る様な音が蠢いているのを感じ取れる。


「ゔっ……。この匂いってまさか……。」

「あぁ、間違いなくゾンビじゃろうな。昨日もこの辺りの少しひらけた場所で十数体蠢いていたからのぅ……。奴らは死して知能が退化してはいるが、不死系モンスター全般共通の生者への執着心は強いから気を付けるんじゃ。っと昨日より数が増えておるな……ワシが先陣を切ってある程度処理しよう、後詰は任せるぞ。」


 ボク達にそう言いチャキリと得物を構えた後、おっさんは流れるような脚運びでゾンビの群れがいるであろう開けた場所へと斬り込んでいった。薄っすらと感じていたのであろう生者の気配が飛び込んで来たということもあり、辺りを徘徊していたゾンビ達はおっさんに虚ろな目を向け襲い掛かった。

 群がるゾンビ達をおっさんは斬り倒し、突き伏せ、一切の無駄な動きを見せずに処理していく。アレが元Sランク冒険者の動きなのかと思わず見惚れてしまう。


「俺たちも行くぞセラ!」

「ぁ、うん!」


 ケントに声を掛けられハッとし、気を持ち直してボク達も戦闘へと加わる。

 相手が鈍重な事もあり、さして苦労も無くゾンビの群を処理する事は出来たが、屠ったゾンビ達が消滅するまでの時間は中々に凄惨な光景が目の前に広がっていた。ファンタジーというよりかはホラーの領域だ。


「まぁこんなもんじゃな。ぬしらの動きも悪くはない、これなら昼過ぎまでには攻略できるじゃろう。」


 ハッハッハッと快活に笑いながら、おっさんはダンジョンの奥へと足を進めていくのでボク達も遅れまいと彼を追った。


 第一階層は先程のゾンビの群れ以外は少数で徘徊しているゾンビやボーンフィッシュ、ロッテンハウンドと呼ばれる腐った体のやや大きめの狼みたいな敵程度しか遭遇せず、またどれもが動きが緩慢であったため特に苦労する事なく踏破できた。

 第一階層の最奥部に不自然に存在する人工的な階段を降りた先は第二階層で、この層はスケルトンをはじめとする骨系のモンスターが多く出現するらしく、遭遇するモンスターはとかく骨骨骨骨骨尽くしだった。こいつらは第一階層のゾンビ系と違って此方の存在を感じ取ると必ず襲い掛かってくるため、必然的に交戦の回数は増える事となった。

 幸いな事に骨だけなので腐敗臭は一層目よりもかなりマシであり、獣人族であるボクやシキ、ベネの三人には非常に助かる階層になった。

 第二階層もそこまで複雑な構造ではなく、モーリィお手製のマップを見る限りでは大きなルートに細々とした支道が伸びているような構造になっている。

 おっさんによると助けた村人はその支道の先の小部屋状の空間で保護したらしく、念の為にボク達も一つ一つ調べる事となったのだけど、村人が居たかと思えばスケルトンの小集団だったり、ゾンビよりやや上位にあたるグールだったりと一種のモンスターハウス的なトラップばかりだった。



 ――結果的にこの階層に囚われている村人は見つからず、ボク達は第三階層に続く階段の前に立ち塞がる澱んだ水を周囲に纏う人魚の様な相手と対峙する事となった。


「おっさん、あれは何?」

「アレはアンダインじゃな……。ウンディーネと同じく水の精霊の一種じゃが荒ぶる精霊と言うべきか……。攻撃性が高く、精霊の特性的に魔法への抵抗力……特に火の属性への耐性が非常に高くて体も水のようなもので構成されておって物理攻撃も効きづらい厄介な相手じゃ。恐らくはアルティア湖に棲んでいたウンディーネがダンジョンの生成に巻き込まれ取り込まれた結果、瘴気に侵されて変質してしまったのじゃろう。」

「ペインゴッズさん、元に戻す事ってできないの?」

「無理じゃなぁ。取り込まれた時点で既にアレはこのダンジョンの一部になってしもうておる。浄化できたとしてもそこが問題になって救う手立てが無いんじゃよ。」


 シオンの質問に淡々と答えるおっさんの表情はこんな現場を幾度も目にしてきたかのようだ。Sランク冒険者ともなれば、こんなシチュエーションも相当数あったのだろう。


「倒すほかないのは分かりましたが手立てはあるのですか?」

「効き辛いとは言っても魔法攻撃は通るには通るからそれで削るというのが定石じゃな。特に水の反属性に当たる地属性魔法にはそこまで耐性はないはずじゃ。」

「なぁ、俺らの中に地属性魔法得意な奴っていないよな……?」

「うちは火ぃなら自信あるけどそれ以外はさっぱりやしなぁ。」

「一応俺は地属性適性あるとは言っても魔法に関しては生活魔法程度しか使えんぞ。それも数回程度のな。」


 チグサへの回答にマリーは落胆し、我ら天兎唯一の地属性適性持ちのベネに至っては近接戦闘職である。

 ――つまりボク達には有効な手立てがないという事になる。あれ、これ詰んでるのでは……?


「ちゅ、中ボスで詰んだ……。」

「ここまでっすか……。」


 わざとらしく肩を落とすセラとシキを見やったペインゴッズは一つ咳払いをしてから口を開いた。


「本当はこういう場面ででしゃばるのは良くないんじゃが、状況が状況じゃから仕方ないのう……。おぬしら、少しばかりの間あやつの相手をしておいてくれんか?」

「何か策でもあるのですか?」

「ああ。アレを一発で仕留める技を放つ。ただそれは少しタメの時間が必要でな?その間ワシの守りは手薄となる。その時間稼ぎ、任せていいか?」

「わかった。おっさんがボクらを信じて任せてくれるっていうなら、ボクらもおっさんを信じてその技を放てるまでの時間くらいは稼いでみせるよ!」


 こちらのやりとりを待っているのかは不明だが、アンダインは階段前から動く気配はなかった。だけど、おっさんが得物に力を入れ始めると様子は一変して挨拶がわりに水魔法の<氷礫(アイスブリット)>を放ってきた。


ガガガガガシュン!!


 正確におっさんを狙ったそれをケントが盾で弾き消すと、そのままアンダインに向け駆け寄って行く。ターゲットを迫りくるケントに変更したアンダインは続けざまに<氷礫(アイスブリット)>をケントへ向けて放ち始めた。


「兎に角時間稼ぐしかねぇぞ、セラ!」

「だね!」


 2人がアンダインに近づき、リツ、シオン、クロさんの3人がおっさんと2人との中間地点へ移動し始めると、アンダインは小刻みに身体を震わせ、その身体を中心に左右からそれぞれ空中に弧を描く何かが飛び出してきた。


「いけない!」

「あぶねぇっ!!」


ガガガッ!!ギィン!!


 右側から飛び出してきた何かは後衛職の3人を目掛け、空中を猛烈な勢いで飛来して襲い掛かってきた。それに反応したチグサとベネの2人は3人の側面へと駆け抜け、襲い掛かってきた何かをそれぞれの武器で防ぐ事になんとか成功した。


「モっさん!セト!!」

「おうよ!」

「……うん。」


ドゴッ!ゴィンッ!!ドスッ!


 左側から飛び出してきたものはペインゴッズのおっさんへと向かうが、距離があった分シキ、モーリィ、セトの3人による迎撃が間に合った。


 それぞれが弾き返した何かを確認すると、チグサ達の前には空中に浮かぶ骨だけの魚ボーンフィッシュの群れが。シキ達の前にはボーンサーペントと呼ばれる骨だけの蛇がその鎌首をもたげて攻撃を邪魔された怒りを表していた。


 カラカラと音を鳴らしながら執拗に攻撃をしてくるが、その悉くを天兎メンバー達は迎撃していく。――しかしその攻撃が一向に効いている気配がない。


「くっそ、コイツらこっちの攻撃が通ってないみたいっすよ!」

「本体をどうにかしねぇとダメなやつだろこれ。」

「とは言えセラとケントが相手をしててもあれです。ペインゴッズさんに期待して此方も踏ん張るしかありませんよ。」

「ったくめんどくせぇ……なっ!オラァッ!!!」


 ダメージが通らない相手に時間稼ぎを強いられながら、天兎メンバーはペインゴッズのタメが完了するのを待っていた。

 終わりがある分気持ち的にはマシだけど、それでもダメージの通らない相手に戦闘を強いられるというのは中々ストレスが溜まる。とは言えこれまでのネトゲの中でも条件をクリアするまでは只管耐久を強いられるボスなどもいたんだから今回もそういうものだと割り切ればいい。

 皆の顔をチラリと見回すと大体が同じ結論を出している様でボクとしても安心だ。



 そんなセラ達の奮闘に護られる形で技の準備を進めていたペインゴッズは、眼を瞑って腰をやや落とし、自らの得物へ力を注ぎ込んで行くと、彼の持つハルバード"雷斧槍・メルトブリッツ"はその刃に独特な模様を浮かび上がらせ、漏れ出た力が刀身からバチバチと雷を放出し始めだす。その様はセラの持つ森羅晩鐘に魔力を流し込んだ状態とよく似ている。

 一見魔力付与(エンチャント)に思われるこの技術だが、厳密にはペインゴッズの天恵(ギフト)"天雷"とメルトブリッツの固有能力との組み合わせによる特殊技能である。


「準備完了じゃ、道を開けてくれ!」


 一際輝きを増した雷斧槍・メルトブリッツが技の準備が完了した事を告げ、ペインゴッズはその目をカっと見開いてセラ達へ言葉を掛ける。ペインゴッズ自身もその全身から細やかに雷を迸らせていてその技の威力がどんなものであるのかを伺えさせた。


「ケント、こいつにスタン決めれる?二人で叩き込んでから引くよ!」

「おっけー、任せろ!シィーーールドスタァァアアンッ!!!」

「ストライク・スマーーーッシュ!!!」


 ドゴォッ!! ドスッ!! と二つのスキルが綺麗に同時に入るとアンダインは硬直した。


「よし、下がるよ!」


 セラとケントはダメージは出ないものの、<気絶(スタン)>効果のあるスキルを叩き込んでペインゴッズの支援をしてから下がった。

 高い物理耐性と魔法耐性を誇るアンダインではあるが、ステータス異常にはそこまでの耐性はないらしく、セラの放った<ストライク・スマッシュ>とケントの<シールドスタン>によりその場でフラつき前後不覚に陥いる。


「行くぞ、我が渾身の一撃その目に焼き付けておけ!紫電一槍流参乃型"音を置き去り穿つ迅雷(ブレイクビートブリッツ)"!!」


 片足を上げて下段に構えながら声高にそう口にした刹那、自らを稲妻の槍そのものと化したペインゴッズのおっさんの姿がその場から消える。――否、通過したであろう地面はアンダインに向け深く一筋に抉られている。

 まさに勝負は一瞬だった。スキルを決めたボクとケントの前を雷が走ったかと思った次の瞬間、ドッという音と衝撃波が遅れてボク達に襲い掛かったのだ。

 目に追えぬ速さでアンダインに迫った為か、汚れた精霊は防御行動もとることすらできず自らの身に何が起きたかすら知覚出来ずにいる。

 ボク達もまたアンダインを確認すると胴体に穿たれた虚空な孔の中心にペインゴッズの得物であるメルトブリッツが静かに佇んでおり、突き放った格好のまま静止したペインゴッズのおっさんの眼は、静かながら爛々と輝きを放っていてまるで猛獣の如くギラギラしていた。


 やがて自身の身に何が起きたか認識したアンダインはその表情を一変させ、驚愕の表情を浮かべながらその肉体は水蒸気に変化して行くように消え、それに連動するかのようにボーンフィッシュとボーンサーペントも消えていった。





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