第八章 交付
暴風雨が激しさを増す中、《スピリット号》の救助活動は新たな局面を迎えていた。
NRS中京基地第一分隊は、傾斜と浸水が進む船内に残り、取り残された乗客の捜索と救出を続行。
一方、第二分隊から第六分隊は、昇陽共和国海軍・空軍と連携し、救出された傷病者を事故海域から中京港へ送り届けるため、荒天の中で懸命な搬送を続けていた。
中京基地指揮官・池田裕は、各分隊と軍の支援部隊を統合し、さらにNRS昇陽基地へ広域支援を要請。
その命令を受け、二隻の中型救難艦が中京海域へ向けて出航する。
海軍からは雄獅級巡洋艦一隻、木菟級輸送ヘリ四機、海軍司令部直属水中作業隊第二分隊。
空軍からは信天翁級救難輸送ヘリ十二機。
所属も任務も異なる者たちが、ただ一つの目的のために集まり始めていた。
――一人でも多く、生きて帰すために。
そして中京港では、国立中京病院が海難災害対応体制を発動。
国内でも数少ない二台のMERが岸壁へ展開し、次々と運ばれてくる傷病者を受け入れる準備を進めていた。
海で救い上げられた命は、救難士から搬送部隊へ。
搬送部隊から医療者へ。
救助は、まだ終わらない。
次に必要なのは――
その命を、確実に次の手へ託すことだった。
雨は、まだ降り続いていた。
中京港の夜は、完全に姿を変えていた。
普段なら貨物車両やコンテナトレーラーが行き交う広大な岸壁に、
今は赤色灯と白い投光器の光が交錯している。
救急車。
消防車。
NRSの支援車両。
警務署の規制車両。
港務局の作業車。
そして、その中心に二台のMERが並んでいた。
岸壁の一角には大型テントが設置され、入口には色分けされた標識が掲げられている。
赤。
黄。
緑。
黒。
トリアージエリア。
その奥には搬送待機区域と臨時処置区画が設けられ、国立中京病院を中心とする医療班が次々と運び込まれる傷病者を受け入れていた。
無線機の声。
ストレッチャーの車輪。
航空機のローター音。
救急車のエンジン音。
それらが重なり合い、中京港全体が巨大な救命救急室のようになっていた。
その中心に、一人の女性医師が立っている。
「次の搬送予定は?」
加藤美智子。
国立中京病院救命救急センター外科医。
防水仕様の医療ジャケットの上から反射ベストを着け、片手には患者受け入れ一覧を持っていた。
「空軍信天翁三番機、重症二名。到着まで六分!」
看護師が答える。
「一名は海水誤嚥。意識レベル低下。もう一名は胸部外傷、血圧低下です!」
加藤は即座に指示を出した。
「第一処置区画を空けてください。胸部外傷をMER一号車へ。呼吸状態不良の患者は二号車。」
「はい!」
「中京病院へ連絡。胸部外科、麻酔科、輸血部に受け入れ準備。」
「了解!」
スタッフたちが一斉に動き始める。
加藤は時計を見る。
それから、海の向こうへ視線を向けた。
暗い水平線。
その遥か先。
三十五海里離れた海上に、《スピリット号》がいる。
ここから船影は見えない。
だが、無線から流れてくる断片的な報告だけで、現場の状況がどれほど厳しいかは理解できた。
『第一分隊、第七層検索継続中』
加藤の視線が、ほんの一瞬だけ無線機へ向いた。
それだけだった。
「加藤先生!」
呼ばれた瞬間、彼女はすぐに振り返る。
「患者が到着します!」
夜空からローター音が近づいてきた。
赤い航空灯。
一機。
その後方に、もう一機。
信天翁級救難輸送ヘリだった。
「全員、受け入れ位置へ!」
医療スタッフが走り出した。
◇
《スピリット号》第七層。
「足元!」
位野木佐次郎の声が狭い通路に響いた。
第一分隊は、救出した傷病者を連れて後退していた。
担架には成人女性。
その後ろには、左足首を固定された少女が隊員に支えられながら歩いている。
「ゆっくりでいい!」
位野木は少女へ声をかけた。
「絶対に走るなよ!」
少女は小さく頷いた。
「お母さんは……?」
「一緒だ!」
「本当?」
「俺が嘘をついてどうする!」
少女の表情が少しだけ緩む。
前方を歩いていた朝田大輔が、突然右手を上げた。
「停止。」
全員が止まる。
朝田はライトを床へ向けた。
水。
先ほどまでは薄く流れているだけだった。
今は、完全に靴底を覆っている。
「水位が上がっています。」
佐倉修一がしゃがみ込む。
「速度は?」
朝田は壁面の水跡を確認した。
「約十分で三センチ。」
位野木の表情が変わる。
「浸水箇所が増えたか。」
「可能性があります。」
佐倉は無線機を取った。
「第一分隊より指揮所。第七層左舷通路、水位上昇確認。」
『指揮所、了解。右舷中央部の変形は継続中。長時間滞在を避けろ』
「了解。」
通信が切れる。
佐倉は全員を見た。
「傷病者を搬送班へ渡したら、残りの検索を続行する。」
「了解。」
位野木が答える。
朝田は担架の女性を見る。
呼吸はある。
少女も生きている。
ここまで連れてきた。
だが。
まだ救助は終わっていない。
救難士にとって、救助とは発見することではない。
危険区域から出す。
状態を確認する。
次の担当者へ渡す。
その人がさらに次の場所へたどり着く。
そして。
生きて帰る。
そこまでつながって、初めて救援になる。
「搬送班、前方!」
声が聞こえた。
オレンジ色の救難服が現れる。
第二分隊だった。
「第一分隊、引き継ぐ!」
担架が近づく。
朝田がすぐに説明する。
「成人女性一名。意識レベル低下。頭部裂創、左肩損傷疑い。軽度低体温。」
第二分隊の救難士が頷く。
「了解。」
朝田は固定具を一つずつ確認した。
胸部。
腰部。
下肢。
すべて確認したあと、ようやく手を離す。
「お願いします。」
「任せろ。」
担架が運ばれていく。
次は少女だった。
位野木がしゃがみ込む。
「ここからは別のお兄さんたちと行く。」
少女は位野木を見る。
「おじさんじゃないの?」
位野木の動きが止まった。
「……お兄さんだ。」
後方から小さな笑い声。
位野木が振り返る。
「誰だ今笑ったの。」
「誰も笑ってません!」
「絶対笑っただろ!」
少女も小さく笑った。
位野木はそれを見ると、表情を少し緩めた。
大きな手で少女のヘルメットを軽く叩く。
「お母さんと一緒に帰れ。」
少女は頷いた。
「ありがとう。」
第二分隊へ引き渡される。
その姿が煙の向こうへ消えるまで、位野木は見送った。
「副分隊長。」
朝田が呼ぶ。
「ん?」
「戻ります。」
位野木は一度大きく息を吐く。
「ああ。」
そして。
再び救難士の顔になる。
「第一分隊、再進入!」
◇
中京基地指揮所。
「第七層救出者、二名追加!」
通信員が報告する。
池田裕は大型モニターを見る。
未確認者数。
十九。
十八。
十七。
そして。
十五。
少しずつ減っている。
だが、表情は変えない。
ゼロになるまで。
終わりではない。
「海軍の搬送状況。」
「木菟一番機、重症三名を中京港へ搬送中。二番機は《晨星》から二名収容。」
「空軍。」
「信天翁第一梯隊、港との往復継続中。第二梯隊、事故海域へ到着。」
「昇陽基地支援艦。」
「《白鷗》《旭光》、到着まで五十二分。」
「了解。」
そのとき。
「国立中京病院より搬送調整要請!」
「つなげ。」
数秒後。
『こちら中京港医療対策本部、加藤です』
女性の落ち着いた声。
「NRS中京基地、池田。」
『現在までの受け入れは順調です。ただし、重症患者が想定より多い』
「こちらも同じ認識だ。」
『今後の救出者について、可能なら船上で呼吸状態と体温を送ってください』
「理由は?」
『低体温患者が増えています』
池田はわずかに眉を寄せた。
『海水に長時間浸かった患者は、外見上安定していても急変する可能性があります。搬送優先順位を調整する必要があります』
「了解。」
短い沈黙。
『それと……』
加藤が言葉を止めた。
「何だ?」
『第一分隊の状況は?』
池田の目が少し細くなる。
「検索継続中だ。」
『そうですか』
「それだけか?」
再び短い沈黙。
『はい。それだけです』
通信が切れた。
副官が池田を見る。
池田は何も説明しなかった。
ただ、少しだけ息を吐く。
「……似た者同士だな。」
「何か?」
「いや。」
池田は大型モニターへ視線を戻した。
「次の搬送に集中する。」
◇
中京港。
信天翁級救難輸送ヘリがゆっくり降下する。
激しいダウンウォッシュ。
雨水が地面から吹き上げられた。
スタッフたちは身体を低くする。
車輪が接地。
後部扉が開く。
「重症二名!」
航空救難員が叫んだ。
最初の担架。
四十代男性。
顔色は青白い。
濡れた衣服。
酸素マスク。
「海上から救助! 推定漂流時間四十分! 意識レベル低下!」
加藤が駆け寄る。
頸動脈。
呼吸。
皮膚温。
「体温。」
「三十一・八!」
「MER二号車!」
「はい!」
「加温輸液開始。濡れた衣服は切ってください。無理に動かさない!」
担架が運ばれる。
二人目。
「胸部外傷!」
「収容時血圧八十! 酸素投与中!」
加藤は患者の胸部へ手を当てる。
左右差。
呼吸音。
右。
弱い。
携帯超音波。
数秒。
「右胸腔。」
若い医師が顔を上げる。
「加藤先生?」
「緊張性気胸の可能性。」
モニターの数値が下がる。
「血圧七十六!」
「SpO2八十四!」
若い医師が問う。
「病院まで搬送しますか?」
加藤は患者を見た。
「間に合いません。」
「ここで処置します。」
MER一号車の扉が開く。
患者が運び込まれる。
「胸腔ドレーン準備!」
「はい!」
局所麻酔。
切開。
鉗子。
指。
ドレーン。
空気が一気に抜ける。
「接続。」
「はい!」
酸素飽和度。
八十四。
八十八。
九十二。
血圧。
少しずつ。
戻る。
若い医師が息を吐く。
「上がりました。」
加藤はまだ患者を見ていた。
「安心するのは病院に着いてからです。」
「はい。」
「胸部外科へ直行。」
「了解!」
担架が再び運び出される。
一つの命が。
また次の手へ渡されていく。
◇
《晨星》。
後部甲板は臨時医療区画になっていた。
「次!」
担架が運び込まれる。
「成人女性、第七層から救出!」
船上医療班が受け取る。
「意識レベル!」
「呼びかけに反応!」
「体温!」
「三十四・一!」
その隣。
救出された少女がいた。
「お母さん!」
女性の目がわずかに開く。
「……あ……」
少女が手を伸ばす。
女性の指先がゆっくり動く。
娘の手を握る。
医療班の一人が小さく笑った。
「一緒に港へ行きましょう。」
無線が入る。
『《晨星》より海軍木菟二番機。搬送準備完了』
上空からローター音。
母親。
娘。
二人とも生きている。
そして。
次へ向かう。
---
第七層。
「七一二号室!」
先行班の声。
朝田が走る。
室内には三人。
高齢男性。
若い女性。
そして。
床に倒れた成人男性。
「意識なし!」
朝田が膝をつく。
呼吸。
ない。
頸動脈。
ない。
「CPA。」
空気が変わった。
佐倉が言う。
「ここでは処置できない。救出しながら蘇生。」
朝田はすぐ胸骨圧迫を開始する。
一。
二。
三。
「搬送シート!」
「はい!」
位野木が男性の身体を持ち上げる。
「頭!」
「保持!」
シートへ。
胸骨圧迫は止めない。
一。
二。
三。
「引くぞ!」
位野木たちが搬送シートを引く。
朝田は横につきながら圧迫を続ける。
「交代!」
別の救難士が入る。
AED。
パッド装着。
解析。
『ショックが必要です』
「全員離れて!」
「ショック!」
ドン。
身体が跳ねる。
「圧迫再開!」
また。
一。
二。
三。
終わらせない。
まだ。
ここでは終わらせない。
◇
中京港。
『海軍木菟二番機、着陸します!』
加藤が顔を上げる。
二つの担架。
一つは成人女性。
もう一つは少女。
「第七層から救出!」
航空衛生員が報告する。
「女性、頭部裂創、左肩損傷疑い、軽度低体温! 少女、左足関節損傷!」
加藤は女性を見る。
「救出部隊は?」
航空衛生員が記録を見る。
「NRS中京基地第一分隊。」
加藤の動きが。
ほんの一瞬だけ止まった。
「……分かりました。」
女性の状態を確認する。
「中京病院へ。整形外科と脳外科に連絡。」
「はい!」
加藤は少女の前へしゃがむ。
「痛いところ、分かる?」
少女は左足を指した。
「ここ。」
「分かった。もう大丈夫。」
少女は少し考えたあと。
「大きなおじさんが助けてくれた。」
加藤は首を傾げる。
「大きなおじさん?」
「声が大きかった。」
近くにいたNRS隊員が、思わず笑う。
「……位野木副分隊長ですね。」
加藤の目がわずかに変わる。
「位野木さん?」
「ご存じなんですか?」
「少し。」
それ以上は答えない。
少女が続ける。
「もう一人いた。」
「もう一人?」
「静かな人。」
加藤の視線が少女へ向く。
「その人が、お母さんを助けてくれた。」
雨音。
サイレン。
ローター音。
それらが一瞬だけ遠く感じられた。
加藤は少女の毛布を整えた。
「そう。」
静かに答える。
「その人は、そういう人だから。」
少女には意味が分からなかった。
けれど。
加藤には分かっていた。
昔から。
ずっと。
◇
《スピリット号》。
「脈、戻った!」
隊員が叫ぶ。
朝田が頸動脈を確認する。
弱い。
だが。
ある。
「ROSC確認。」
誰かが息を吐いた。
位野木が搬送シートを持ち上げる。
「よし、運ぶぞ!」
「気道維持!」
「了解!」
佐倉が無線機を取る。
「第一分隊より搬送班。CPA一名、ROSC。緊急搬送を要請。」
『了解! 最優先で受け取る!』
朝田は男性の顔を見る。
助かったわけではない。
ただ。
次へ渡せるところまで来た。
「朝田。」
位野木。
「はい。」
「行くぞ。」
「はい。」
暗い船内から。
搬送班へ。
搬送班から救難艇へ。
救難艇から救難艦へ。
その先。
航空機。
港。
病院。
誰か一人が救うのではない。
一人が見つけ。
一人が運び。
一人がつなぎ。
一人が治療する。
それが救難だった。
◇
中京港。
新しい無線。
『NRSより緊急搬送情報! 成人男性一名、船内で心肺停止。AED一回、ROSC確認!』
加藤はすぐに立ち上がった。
「到着予定!」
「海軍木菟三番機! 十一分!」
「MER一号車を空けて!」
「はい!」
「麻酔科医を呼んでください。人工呼吸器準備!」
「了解!」
「患者情報。」
「第七層客室。煙吸入あり。救出時CPA。NRS第一分隊が蘇生。」
また。
第一分隊。
加藤は一瞬だけ目を閉じる。
そして。
すぐ開く。
今は過去ではない。
今。
ここに患者が来る。
それだけだ。
「十一分。」
時計を見る。
「ここからは、私たちの仕事です。」
◇
十一分後。
木菟三番機が着陸した。
「ROSC後! 血圧八十八! 自発呼吸不十分!」
「MER一号車へ!」
加藤が患者の頭側へ入る。
「モニター接続!」
「はい!」
「体温三十三・二!」
「加温開始。気道確保を優先。」
患者がMERへ運び込まれる。
不安定な波形。
低い血圧。
十分ではない酸素飽和度。
若い医師が記録を確認する。
「加藤先生、搬送中に再度心停止する可能性があります。」
「分かっています。」
「ここで挿管しても、循環が——」
加藤は手袋を整えた。
迷いはない。
「だから、ここでやります。」
若い医師が息を呑む。
「先生……」
加藤は患者を見る。
三十五海里離れた海の上で。
誰かがこの命を拾った。
暗闇から運び出した。
心臓を動かした。
救難艇へ。
救難艦へ。
航空機へ。
ここまでつないできた。
ならば。
ここからは。
自分たちの仕事だ。
加藤は静かに言った。
「私、失敗しないので。」
一瞬。
周囲のスタッフが彼女を見る。
だが。
加藤はすでに患者へ視線を戻していた。
「挿管開始。」
「はい!」
喉頭鏡。
気管チューブ。
数秒。
「チューブ通過。」
「カフ固定!」
「呼吸音確認。右……左……両側あり!」
「固定。」
人工呼吸器へ接続。
酸素飽和度。
八十七。
九十。
九十三。
血圧。
九十二。
少しずつ。
数字が戻る。
若い医師が息を吐く。
「上がりました。」
加藤は表情を緩めない。
「まだです。」
モニターを見る。
「病院へ着くまでが搬送です。」
「はい。」
そのとき。
航空衛生員が一枚の救急活動記録票を渡した。
「現場からの記録です。」
「ありがとうございます。」
加藤は受け取る。
発見。
CPA確認。
胸骨圧迫開始。
AED。
ROSC。
酸素投与。
搬送開始。
一行ずつ。
誰かが。
次の誰かへ。
命を渡してきた記録。
そして。
一番下。
救出担当。
NRS中京基地第一分隊。
朝田大輔。
加藤の指が止まった。
ほんの一秒。
「加藤先生?」
看護師が呼ぶ。
「病院への搬送準備、完了しました。」
加藤は記録票を閉じる。
「搬送開始。」
「はい!」
担架がMERから運び出されていく。
加藤はその背中を見送った。
そして。
小さく呟く。
「……ちゃんと受け取りました。」
それが。
患者に向けた言葉なのか。
それとも。
三十五海里先にいる誰かへ向けた言葉なのか。
周囲には分からなかった。
◇
《スピリット号》。
朝田は再び暗闇の中にいた。
自分が救出した患者が。
今どこにいるのか。
誰が治療しているのか。
知らない。
知る必要もない。
救難士の仕事は。
次へ渡すこと。
それだけだった。
「朝田!」
位野木の声。
「前方、分岐!」
「了解。」
朝田はライトを上げる。
暗闇の向こう。
まだ誰かが待っている。
彼は前へ進む。
一方。
中京港では。
加藤美智子が。
次の患者を待っていた。
二人の間には。
三十五海里の海。
暴風雨。
救難艇。
救難艦。
木菟級輸送ヘリ。
信天翁級救難輸送ヘリ。
何百人もの救援者。
それでも。
一本の線でつながっていた。
命という名の。
見えない線で。
救う者から。
託される者へ。
そして。
また次の誰かへ。
――Handoff。
救難は。
まだ終わっていない。




