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369の世界 〜12冊の魔導書〜  作者: ダーク創造神
第一章 小学校低学年
26/30

第25話 成果と砂漠

ーーーー 冬休み明け ーーーー


冬休み明け。

冷たい空気が残る中、始業式が行われていた。


体育館。校長の長い話。

もう、誰も真面目に聞いていない。


ミロク達も同じだった。


やがて式が終わり、早めの下校。


足早に向かった先は——

いつもの図書館。


——————


静かな館内。

外では雪が降り、窓を叩く風の音が響いている。


その中で、

一人、椅子にふんぞり返る男がいた。


タカミザワだ。


「……集まったか」


待っていた、と言わんばかりの態度。

ケイタロウがため息混じりに言う。


「どうせ、鑑定するんだろ?」


タカミザワは短く答える。


「そうだ」


立ち上がり、

ゆっくりと歩み寄る。


「《能力ステータス鑑定》」


まずは——ミロク。

タカミザワの視線が、ミロクをなぞる。


——————


ミロク Lv 1 (変化なし) Rank F


・魔法適正 風/雷


・体力    15

・魔力    6

・気力    15

・攻撃力   12

・防御力   10

・魔法攻撃力 6

・魔法防御力 6

・俊敏性   20

・運     6


・固有能力 "鳥飼い(バードマスター)"

・魔法 "洋性"

 ・風魔法 "初級"

・スキル

 ・阿吽の呼吸 ・精神統一 ・瞑想

・法力

 ・式神 ・符術

・体術

 ・爺婆(じじばば)体術"初級"

・契約

 ・加護契約 "クロネコ" ・守人契約 "ケイタロウ"


——————


レベルは変わらない。

だが、数値は伸びている。


体力、気力、俊敏性。


そして——スキルの増加。


精神統一。瞑想。


さらに、法力。体術。


「……法力」


通常の成長ではない。

だが、確実に強くなっている。


タカミザワは目を細める。


「どんな力だ……?」


興味が残る。


次に、スコール。


——————


スコール Lv 15 Rank E


・魔法適正 水/木


・体力    256

・魔力    142

・気力    282

・攻撃力   201

・防御力   140

・魔法攻撃力 99

・魔法防御力 72

・俊敏性   227

・運     5


・固有能力 決死

・魔法 "洋性" "和性"

 ・水魔法 "初級"

・スキル

 ・阿吽の呼吸 ・心眼 ・俊足

・剣術

 ・桜花流剣術 "下級" ・東刃流剣術 "龍魚"

・契約

 ・召喚契約 "龍魚" ・加護契約 "クロネコ"


——————


「……順当だな」


数値はしっかり伸びている。

前衛として申し分ない。


気力、俊敏性、攻撃力。

どれも高水準。


だが——

タカミザワの眉がわずかに動く。


「……スキルは変化なしか」


魔法も、技も据え置き。


「想定よりは、伸びていないな」


小さく評価する。


そして、ケイタロウ。


——————


ケイタロウ Lv 18 Rank E


・魔法適正 なし "守人"


・体力    321

・魔力    0

・気力    348

・攻撃力   264

・防御力   221

・魔法攻撃力 0

・魔法防御力 410

・俊敏性   272

・運     8


・固有能力 水波

・スキル

 ・阿吽の呼吸 ・心眼 ・俊足

・一般格闘術

 ・空手 柔道 柔術 "2級"

・契約

 ・加護契約 "クロネコ" ・守人契約 "ミロク"


——————


「……ほぅ」


タカミザワの口元がわずかに動く。

レベルの伸びが大きい。


体力、気力、防御。

すべてが高い。


「前衛としては優秀だ」


素直な評価。

タカミザワが視線を上げる。


「どうよ」


ケイタロウがニヤリと笑う。


「山のモンスター、倒しまくったんだぜ」


だが。


「ふん」

「それくらい普通だ」


タカミザワは鼻で笑い、

ケイタロウの顔が歪む。


「あ? じゃあお前は何レベルなんだよ」


その言葉に。

タカミザワの口元が、わずかに吊り上がる。


「レベル25だ」


一瞬、空気が止まる。


「俺は千里眼で敵が探せるからな」


自慢げに言う。


「レベル25…!?」


驚くミロク達。


そして、タカミザワが

一枚の資料をテーブルに置き、紙を叩く。


「これが——」

「今日見た、マルオ達のステータスだ」


そこに書かれていたのは。


"Lv20"


ミロク達の目が見開かれる。


「……レベル20?」


ケイタロウが息を呑む。

マルオ達の予想外の成長。


「だが」


タカミザワが続ける。


「ステータスは、それほど伸びていない」


腕を組む。


「おそらく、魔法教会での修行は“楽”だったのだろうな」


確信したような口調。


そして、

ミロクが口を開く。


「マルオ達……魔法教会に行ってたの?」


静かな疑問。

その意味は重い。


スコールが言う。


「……それなら、俺たちのことバレてるかもな」


図書館が静まり返る。


風の音だけが響く。


その沈黙を破ったのは——

タカミザワだった。


「この冬の間」


ゆっくりと言う。


「俺たちと魔法教会の接触はなかった」


視線を巡らせる。


「つまり」

「俺たちの存在を知っているのは、ごく一部」


「予測だが」


一呼吸。


「それは、暗殺に関与している連中だ」


鋭い推理。


だが。

ケイタロウが言う。


「じゃあ、なんで来なかったんだよ」


当然の質問。

暗殺者が来なかった理由。その訳。


タカミザワの口元が緩む。


「新聞を見ろ」


テーブルに新聞を広げる。


「王族の海外対談」

「貴族の冬の社交会」

「博物館での高級展示品」

「経済行事」


指で順に示す。


「年末年始はな」


コーヒーを手に取る。


「暗殺者も忙しいのだろう」


一口、飲む。


「つまり」


スコールが呟く。


「この冬は……修行するには都合が良かった」


タカミザワがカップを戻す。


「そういうことだ」


そして。

静かに言う。


「だが——」


空気が引き締まる。


「三学期が始まった今」

「いつ襲われてもおかしくはない」


沈黙。


タカミザワが息を吐く。

少しだけ、疲れた顔。


「一応、千里眼は使う」


短い言葉。


「何かあれば、すぐに知らせる」


それだけだった。


だが——

今はそれに頼るしかない。


雪の音。

静かな図書館。


その中で、彼らは確かに感じていた。


次の戦いが——

もうすぐ来ることを。


ーーーー 砂漠の待機者 ーーーー


夜の砂漠。

風が吹き、砂が舞い上がる。


遠くに見えるのは——

土の神殿。


その近くに、

簡素なテントが一つ。


ランタンの灯りが、

ぼんやりと闇を照らしていた。


中では、二人の男が鍋を囲んでいる。


ぐつぐつと煮えるスープ。

静かな夜。


そして——


苛立ち。


「……張り込み、四ヶ月以上だぞ」


低い声。


ベージュのローブに身を包んだ褐色肌の男——

"土蜘蛛つちぐも"が、眉を歪めて言う。


ランタンの光が、その表情を揺らす。


対面に座る男が、静かに応じた。

黒髪の男"テセウス"。


「仕方がないだろう」


淡々とした声。


「上からの指示だ」


チッ。


舌打ち。

土蜘蛛が椅子を蹴るように動かす。


「方針だか何だか知らねぇが」


声を荒げる。


「人気のない場所で暗殺しろだと?」


拳を握る。


「そんな場所(ところ)に、都合よく現れるか!」


怒りが溢れる。


「張り込みなんぞ、やってられん!」


テセウスは動じない。

スープを木の皿によそぎながら言う。


「町も村も監視カメラだらけだ」


静かな声。


「目立つ動きはできない」


土蜘蛛は顔を歪め、

その顔にテセウスが視線を向ける。


「それに」


一瞬の間。


「お前の“能力”は潜むための力だろう?」


言葉は鋭い。

そして、皿を差し出す。


「ほら」

「スープだ」


土蜘蛛は睨みつける。


「毎日毎日……芋のスープ」


立ち上がる。


「もう懲り懲りだ!!」


——ぐぅぅ……


腹の音。

一瞬、沈黙。


テセウスが小さく笑う。


「……腹の虫は正直だな」


土蜘蛛の顔が赤くなる。

ゆっくりと座り、スープを受け取る。


そして、一気に飲む。


「——あっつ!!」


思わず叫ぶ。


その様子を見たテセウスが肩をすくめる。


「急ぐからだ」


鍋つかみにしていた布を手渡す。


「短気な奴め」


土蜘蛛は顔をしかめながら、布を受け取る。

服にこぼしたスープを拭く。


「クソが……!」


吐き捨てる。

テセウスは穏やかに言う。


「急ぐ必要はない」


一口、スープを飲む。


「待っている間も、給料は出ている」


「慰めになってねぇよ」


土蜘蛛が吐き捨てる。


沈黙。


風の音。

砂の擦れる音。


長い、退屈な時間。


土蜘蛛が呟く。


「……身体が鈍る」


その言葉に、テセウスが小さく反応する。


暗殺者(アサシン)にとって」


低い声。


「待つというのは、死ぬより辛い」


土蜘蛛が動きを止め、

テセウスが続ける。


「俺も同じだ」


静かな告白。


だが、

土蜘蛛は首を振る。


「……違うな」


立ち上がり、影が揺れる。


「俺たちは」


拳を握る。


「待つことしか許されねぇ」


振り返る。


「そうだろ?」


テセウスと目が合う。


一呼吸。


テセウスは、ゆっくりと微笑んだ。


「そうだな」


穏やかな声。


「お互い——」


わずかに目を細める。


「そういう"能力(パラドックス)"だ」


風が強く吹き、

砂が舞い上がる。


ランタンの火が揺れる。


長い夜。


二人の暗殺者は、ただ待ち続ける。

その時が来るまで。


ーーーー 遺跡調査班、出動 ーーーー


砂漠の上空。

一隻の飛空艇が、静かに進んでいた。


窓の外には、果てしなく広がる砂の海。


その船内に、

光の騎士団"遺跡調査班"の四人がいた。


——————


「やっと、気が晴れるぜぇ」


壁にもたれ、天を仰ぐ男"バルバトス"。


大袈裟に肩を回しながら、息を吐く。


その隣で、ヴィネが軽く頷く。


「えぇ、そうね」


窓の外に目をやる。


「王族の海外訪問の護衛」

「貴族の冬の社交会」

「年末年始の騎士団行事」

「博物館の高級展示品の警備……」


一つずつ指折り数える。


「……本当に、忙しかったわ」


珍しく、疲れを滲ませる声だった。

バルバトスが笑う。


「最初はよォ」


ドリンクを受け取りながら言う。


「遺跡調査なんて雑務だと思ってたが……」


軽くグラスを掲げる。


「まさか“最高の息抜き”になるとはな」

「どうも」


ウェイトレスに礼を言う。


ヴィネは、小さく息を吐く。


「……けど、そうも言ってられないわ」


視線を窓の外へ。

遠く、砂漠の街が見え始める。


「フロンティア国モロク自治区……」


バルバトスも目を細める。


「見えてきたな」


その時。

背後から重い足音。


「“モロク”から、全地形対応車(バギー)で移動」


低く、落ち着いた声。


振り返ると——

アモンが立っていた。


その隣には、小柄な影。

カイがアイスクリームを頬張っている。


「土の神殿へ向かい」


アモンが続ける。


「遺跡内部を調査」

「特定の“回収物”を確保し」

「誰よりも早く帰還する」


一拍。


「それが、今回の任務じゃ」


バルバトスがカイを見る。


「お、カイ」


アイスを指差す。


「それ、アモンに貰ったのか?」


カイが嬉しそうに頷く。


「うん!アモンさんが買ってくれた!」


その笑顔。

バルバトスはニヤリと笑う。


「へぇ〜?」


アモンを見る。


「俺たちには何も無しかよ?」


ヴィネもすかさず口を挟む。


「ケチね〜」


アモンが眉をひそめる。


「お前らは、給料を貰っとるじゃろが」


ため息。

だが、口元は少し緩む。


「何を言われても買ってやらん」


一瞬の間。


そして——

ニカッと笑う。


「だがな」

「任務が上手くいけば」

「酒くらいは奢ってやるわい」


バルバトスが肩をすくめる。


「そりゃ楽しみだな」


その時。

船内にアナウンスが流れる。


——————


「これより、フロンティア国モロク自治区への着陸を開始いたします。着陸時、機体が揺れますので、乗客の皆様は指定の座席へご移動ください」


——————


アモンが手を叩く。


「ほれ、移動じゃ」


「おうよ」


バルバトスが応じると、

ヴィネとカイの背中を押す。


「ちょっと、押さないでよ!」

「アイス落ちちゃう!」


慌てる二人に、

バルバトスは笑う。


どこか、軽い空気。


だが——

それは、嵐の前の静けさだった。


——————


飛空艇はゆっくりと高度を下げる。


砂漠の街、モロク。


その先にある——土の神殿。


そして、

その地のどこかで、

静かに息を潜める、黒い影。


待つ者たち。

狙う者たち。


その二つが、同じ場所へと収束していく。


彼らはまだ知らない。


この任務が——

ただの遺跡調査では終わらないことを。


ーーーー 砂に削られた街 ーーーー


飛空艇が着陸し、扉が開く。

乾いた風が、容赦なく吹き込んで来る。


砂。


細かく、冷たい粒子が頬を打つ。


光の騎士団——遺跡調査班の四人は、

モロクの地へ降り立った。


フロンティア国、モロク自治区。


かつては、

賑わいを見せていた砂漠の街。


だが——

今は違う。


静かすぎる。


人の気配はある。

だが、活気がない。


まるで、

街そのものが息を潜めているようだった。


建物は、天然砂岩のレンガ造り。

しかしその多くが削れ、欠けている。


扉は歪み、軋み、今にも外れそうだ。


窓にはガラスがなく、風がそのまま吹き抜け、

隙間風が、家の中で鳴いている。


大きな建物の前では、

修理業者が黙々と作業をしていた。


木材の打ち付け音。

砂に混じる、かすかな人の営み。


「……空港前がこれか」


バルバトスが低く呟く。

その顔から、いつもの余裕は消えていた。


ヴィネも言葉を失う。


この光景。

それは、ただの老朽化ではない。


——被害だ。


風の魔素が世界に拡散した時。


最も影響を受けた場所。

それが、ここモロクだった。


激しく吹き荒れる風。

巻き上がる砂。


巨大な砂嵐——サンドストーム。


それは、

街を削り、壊し、奪った。


人の暮らしを。

経済を。

時間さえも…。


——————


「……どうして、こんなに……?」


カイがぽつりと呟く。

その声は、小さく震えていた。


アモンが答える。


「遮るものがないからじゃ」


短く。

だが的確に。


「砂漠は本来、風が抜けるようにできとる」


視線を街へ向ける。


「それが裏目に出た」


風は止まらない。

遮る壁がなければ。


そのまま、すべてを削り取る。


「……そんな」


カイの顔が曇る。


この街は。

本来、観光地だった。


国内で、

砂漠を体験できる唯一の場所。


ホテルが並び、旅人が行き交い。

笑い声があった場所。


その面影は——

もう、ほとんど残っていない。


——————


すれ違いざま。

一人の乗客が、小さく言った。


「野盗には気をつけろよ」


それだけ言って、足早に去っていく。

バルバトス達は、静かに頷いた。


「……確かにな」


バルバトスが呟き、

フードを深く被る。


「こういう時ほど」


目を細める。


「人の本性が出る」


略奪。

暴力。

秩序の崩壊。


それは、この手の場所では珍しくない。


アモンが短く言う。


「長居は無用じゃ」


ヴィネが頷く。

カイも、無言でついてくる。


四人は足早に移動する。

手配していた車へ。


エンジン音が鳴り、

砂を巻き上げながら、車は進む。


向かう先は一つ。


土の神殿。


そしてその地には。


すでに——

待つ者たちがいる。


砂の中に潜む影。

静かに、息を潜める暗殺者。


すべては、交わる。


この砂漠で。

キャラクター紹介


土蜘蛛(つちぐも)

 褐色肌の男性の暗殺者。

 ローブを身に纏った男性。

 非常に短気な性格で、待つ事が苦手。

 しかし能力は、潜む能力のようだ。


テセウス

 黒髪に色白の男性の暗殺者。

 これと言った特徴が無い。

 一般人に紛れるのが上手く、暗殺にも長けている。


 彼らは、人の身でありながら、

 人智を超えた力を扱う"パラドックス"。


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