表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただ、あなたと共に  作者: 鈴森 夢乃
共生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/18

共生 10

今回も前回に引き続き短めです。次回は文字数戻るはずなので、ご容赦ください……!






 畑に着くと、なぜか子供が増えていた。さっきまではタチアナとお手伝いもままならないような小さな子供数人だったのに、今は十人近くいる。


「なあ、魔法教えてくれるってホント?」


「私も魔法使いになって、冒険の旅に行ける?」


 答えられないくらい質問攻めにしてくるあたり、まだまだ子供だ。


「簡単な魔法なら教えられるけど、魔法使いとして冒険者をやっていくのは無理だと思うよ」


 私が知ってる呪文とかは、たいしたことないやつばっかりなんだよね。威力のあるやつは羽とかを使ってたしので呪文も名称も知らない。そもそも、魔法使いとしてやっていけるほど魔力があれば、例の魔力検査で引っかかって勉強させてもらえただろう。


 正論を言うと、尋ねてきた少女は意外にもあっさり引き下がった。一応聞いた、というだけのようだ。


「じゃあ、まずは土魔法からね。土をやわらかくして、耕しやすく草取りもしやすい畑を作る魔法だよ」


 はーい、と言いお返事を確認したら、地面に手をついて、解説しながらゆっくり魔法を実演する。


「ほら、やってみて」


促すと数人が畑に入って、私と同じように土に触れながら練習しだす。私はその間を回ってアドバイスをする。


「指先まで魔力を広げて、あなたは想像力が足りない。もっと、耕された地面を想像しないと」


そうしてある程度できるようになったら、待っているほかの子と交代だ。そうして繰り返して、土属性と相性が悪かった二人を除いてほとんどが扱いを覚えたころには、畑の土はふかふかになっていた。


「すごい、魔法だ!次は水だよね!」


さっきの少女が元気よく挙手をする。なんでも水汲みが嫌いなんだそうだ。まあ、彼女は水と相性が悪いみたいだから、たいして負担は減らなそうだけど。でも、分担できるようになったら今よりは楽になるのかな。


先ほどと同じように、解説、実演、練習という順にさせる。アドバイスをしていると、さっきの子が一生懸命水を出そうとしていたが、相性のせいかコップ半杯くらいまでだった。






ーーーーー






 魔法教室を終えて、私はタチアナと孤児院の敷地をぶらぶらと歩いていた。お互い無言だったが、嫌な感じの沈黙ではなく、落ち着いた時間が流れていた。


「私さ、」


 ぽつりとタチアナは言った。私は足を止めてそちらを向く。


「お母さんは体が弱くて、病気で死んじゃったの。お父さんはそれを聞いて、隣国から急いで帰ってくる途中で盗賊に殺された」


タチアナの横顔は、穏やかに笑っていた。私はかける言葉が見つからなくてだまっていた。


「悲しいし、もちろん今でももう一度会いたいけど、でも今は大丈夫なの」


 会いたいのに、会えなくてもいい。矛盾した言葉には実感が込められていて、心からの答えだということを表しているように感じた。


「だって、私の中には、お父さんとお母さんに目いっぱい愛されて、精一杯愛した記憶があるんだ。だからここでの生活が少しくらい大変でも、全然大丈夫。」


 こちらを振り返ったタチアナは、真剣な表情をしていた。


「だから、あなたも大切な人のことで悩んでいるなら、自分が絶対後悔しない道を選んで。生きていればまた会えるって言うけど、人は簡単に死んじゃうんだよ」


全てを見透かしたような目でささやいた彼女は、とても大人びて見えた。






ーーーーー






 何とか暗くなる前に宿に戻った私は、酒場で夕食をとった後、ベッドに腰かけて考えていた。


 後悔しない道。このままリオと別れて、私は後悔するだろうか。しないわけがない。だって、あの時のリオは泣きそうな顔をしてた。二人で過ごした時間はそんなに長くなかったけれど、リオは確かに私のことを特別に大切だと思っていた。それだけは疑う余地もない。でも、リオは私の大切な家族の記憶を奪った。十六年以上一緒にいた家族との思い出を奪ったのだ。


 私はリオを受け入れて、後悔しないだろうか。大切な思い出を奪ったリオを、受け入れられる?


 ずっとずっと考えて、私は答えを決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ