第二話 初ログイン
一瞬、目の前が真っ暗になった。
次に表示されたのはログイン画面。
言語選択は日本語で、どうやら自動翻訳機能まで付いているらしい。
――現実でも実用化して、外国語を教科から消してくれたらいいのに。
そんなことを考えていると、音声ガイドが流れた。
『一度、目を閉じて身体の力を抜いてください。
目を開けると、オープニングムービーが始まります。
スキップする方は、五秒間目を閉じてください』
言われた通り目を開けると、
ヴーン、という音とともに映像が再生された。
そこに映っていたのは――
自分のアバターが、楽しそうにダンスしている姿。
……とんでもなく可愛い。
これだけで、満足度はすでにマックスだ。
再び目を閉じ、五秒数える。
次に目を開けた瞬間、ゲームが始まった。
どうやらベッドの上に寝ていたらしい。
開いた窓から風が入り込み、少しだけ肌寒い。
――おぅ。
自分の姿を見下ろして、思わず声が出た。
キャミソールの下着姿だ。
これ以上脱げないようにはなっているらしい。
部屋は六畳ほど。
埃っぽい匂いがして、妙に生活感がある。
鏡に触れると、ひんやりとした感触が指に伝わった。
……リアルすぎないか?
まるで現実みたいだ。
このゲームの評価が高い理由も、納得できる。
試しに軽くジャンプしてみる。
すると、天井に頭がつきそうになって、慌てて着地した。
やはり獣人設定の影響で、身体能力はかなり高いらしい。
地面に降りたときの感触まで、やけに本物だ。
ゲームの感覚を全力で楽しんでいると、
視界の端に通知が表示された。
『メッセージをオープンしますか? YES/NO』
YESを指でタップする。
送り主は、サラだった。
『おーい、ログインできたか?
中央通りの「カフェレストラン・ポルコ」に集合してるぞ!
早く来いよ〜\(^o^)/』
現在地まで添付されている。
タップすると、視界に矢印が表示された。
……これなら迷子にならずに済みそうだ。
さすがにキャミソール姿で出歩くわけにもいかず、
クローゼットを開ける。
中に入っていたのは、一着だけ。
シンプルなワンピースだったが、アバターによく似合っている。
ありがたく着させてもらおう。
スカートなんて、正直ちょっと落ち着かない。
けれど、その違和感すらリアルで――悪くない。
楽しい。
俺は着替えを済ませ、
仲間の待つ集合場所へと向かった。




