第一話 理想のタイプ
「よし、早速ゲーム始めるか!」
性別、人種、職業――選択肢は何百種類もあり、アバター作成だけでかなりの時間を食う。
しかもこのゲーム、一度決めたアバターはカンストするまで変更不可。
適当に決めるわけにはいかなかった。
幼馴染の二人は、ちょうど前のキャラをカンストさせたばかりだった。
一人は冒険者からギルド長へと成り上がった獣人タイプの男。
もう一人は学生スタートで宰相にまで上り詰めた人間タイプの男。
三人で、新しいアバターをどうするか相談していた。
「前回さ、イケメンにして女にモテようと思ったんだけどさ。
全然うまくいかねーし、現実とのギャップでだんだん腹立ってきたんだよな〜」
「分かるわ。顔にも飽きたし。
もっとギャグ寄りにすれば良かったかもって思ってる。
次は超マッスルとかどうよ」
二人とも口では文句を言っているが、
カンストまでやり切って、さらに新キャラを作るあたり、なんだかんだでこのゲームを楽しんでいたのは間違いない。
「じゃあさ――」
俺は少し考えてから言った。
「ギャグもいいけど、自分たちの理想の女の子でプレーしてみない?」
「はぁ!?キモいだろ!!
それネカマってやつじゃん!
他のプレイヤーも普通にログインしてるんだろ?恥ずくね!?」
「でも理想のタイプだぜ?
絶対飽きないって!!」
しばらく言い合った末、
結局「まあ一回くらいなら」と、それぞれ理想のタイプで作ってみることになった。
まずは俺――ユーザーネームは「リリア」。
・獣人タイプ(社会的地位△/身体能力〇)
・猫耳あり
・髪型は茶色のボブショート
・ブリブリ可愛い系
・職業:薬師見習い(獣人タイプと相性〇)
・身長160センチ
猫耳萌え、全力投入である。
幼馴染①(前キャラ:ギルド長)――ユーザーネームは「サラ」。
・準巨人タイプ(社会的地位△/身体能力〇)
・銀色のストレート長髪ポニーテール
・ボン、キュッ、ボンのお姉様系
・職業:騎士見習い(準巨人タイプと相性◎)
・身長190センチ
明らかに「強くて綺麗なお姉さん」が性癖に直撃している。
幼馴染②(前キャラ:宰相)――ユーザーネームは「レイカ」。
・人間タイプ(社会的地位〇/身体能力△)
・金色のふわふわロング
・幼児体型系
・職業:学生(人間タイプと相性◎)
・身長154センチ
こいつは昔から一貫している。
見事に、三者三様。
途中から誰も喋らなくなり、
全員が黙々とアバター作成に没頭していた。
作り直すには時間をかけすぎたし、
正直、思い入れも入りすぎた。
画面に並んだ三人のキャラを見て、
全員が同時にうなずく。
「……よし」
納得の出来栄えだった。
最初に思い描いていたプレイとは少し違ってしまったが、
それでも――いや、だからこそ。
このアバターで始める冒険が、
今から楽しみで仕方なかった。




