第七話 ヒロインフラグ?
歩き始めて数日が経過した。依然俺の視界には木しか写らない。もう少し景色に変化がほしいところだ。
最近ではただ歩くのもなんだから【無属性魔法】の練習をしながら歩いている。レベル上げのためにゴブリン達を見つけ次第狩ったりもしている。今の俺のステータスは…
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名前:ソースケ・ナグモ
種族:人間
職業:異世界転生者
Lv:14
HP:268/268
MP:394/394
攻撃:213
耐久:156
敏捷:182
持久:134
器用:451
魔法:362
幸運:23
‹ユニークスキル›
【万物創造】
‹スキル›
【無属性魔法Lv3】【魔力感知Lv3】【魔力操作Lv3】
【棍棒術Lv4】【投擲術Lv2】【鑑定Lv3】【偽装Lv10】
‹耐性スキル›
【打撃耐性Lv1】【斬撃耐性Lv1】
‹称号›
【創造者】
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この通りだいぶ上がった。まだベルフェルには遠く及ばないがそこそこ戦えるようになったと思う。
耐性スキルはゴブリン達との戦闘で獲得した。もちろん俺にダメージは無かったが、それでも攻撃をくらった判定になるようだ。
【投擲術】はまだ【無属性魔法】のレベルが低かったときに遠距離攻撃がほしいと思って、【創造魔法】で作った鉄球を投げてみたら獲得した。しかし、【無属性魔法】のレベルが上がった今では、投げるより魔法を発動させるほうが早いため、半ば死蔵となっている。
あと、俺は他の属性魔法は使えないそうだ。理由は簡単、『ユニーク魔法』の所有者だから。
『ユニーク魔法』は強力無比な魔法であるがゆえに、他の属性魔法を使えなくなるというデメリットがある。ベルフェルにその話を聞いたときは泣きそうになったものだ。根性で堪えたが。
そんなわけでベルフェルの家にあった『識別の水晶』も使ってない。もしかしたら属性魔法が使えたかもしれないのに…。
まぁ、それはおいといて…早いとここの森を出ないとな。というのも、ベルフェルから貰った食糧がそろそろ尽きそうなのだ。なぜかこの森に木の実はなっていないし、動物を食べようとしてもゴブリンしか出て来ない。流石にアレを食べるのは無理だ。
道を間違えたか?いや、道は無いが…。木に登って見てみるか?俺がそんなことを考えていると、
「いやぁぁぁ!」
女の叫び声が聞こえた。なんだ?もしかしてゴブリンに襲われたか?とりあえず、助けに行かないとな。俺は叫び声の聞こえたほうに走り出した。
◇ ◇ ◇
叫び声のほうには予想していた通り、一人の女が六体のゴブリンに囲まれていた。戦士が三体、弓兵が三体か。襲われている女は顔がフードで見えないが、声や体格から少女のようだ。俺と同じぐらいだろうか。
俺は近くの木に登り、様子を伺っている。
「い、いや…やめて…来ないで…!」
少女はゴブリンに命乞いをしているようだ。…言葉が通じないのに命乞いが通じるわけ無いだろう。このまま見逃しても気分が悪い。助けるとしよう。
俺はまず、【創造者】の【思考加速】と【並列思考】を発動させる。【思考加速】を発動させると周りの動きがゆっくりに見える。戦闘にも役立つスキルのようだ。
次に【偽装】の【存在偽装】を発動させる。【存在偽装】は対象を自分にすると、隠密行動が可能になる。実はかなり汎用性の高いスキルだ。
そして、ポーチからバットを取り出す。これで俺の戦闘準備はOK。
さらに先手を取るために【無属性魔法】を使う。俺は左手を銃の形━━━拳から人差し指と親指を立てるやつ━━━にして指先に魔力を溜める。色々試したが、これが一番イメージしやすかった。
「『魔弾』」
俺の言葉と同時に指先から魔力弾が放たれる。ちなみに『魔弾』という名前は【無属性魔法】の一番最初に使える魔法の名前らしい。【火属性魔法】なら『火弾』というように『○弾』が最初に覚える魔法だそうだ。
俺の放った『魔弾』で弓兵ゴブリンが吹き飛び、絶命する。ゴブリン達は何が起きたかわからず、混乱している。
俺はその隙に木から飛び降り、他の弓兵ゴブリン一体をバットで撲殺する。ゴブリン達は標的を俺に変えたようで三体の戦士ゴブリンが突撃してくる。
良く見ると一体は少し後ろに下がり、他の二体が作った隙を突く作戦のようだ。いい戦い方だが…俺には通じない。
俺は思い切りバットを振り、二体を肉塊に変え、その後に突撃してくるゴブリンを蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたゴブリンは木に体を打ち付け、そのまま動かなくなる。わかりきった戦略などなんの役にも立たない。
最後に残っていたゴブリンは仲間がやられたことに恐怖を感じたのか、慌てて逃げ出す。
「逃さねぇよ」
俺は『魔弾』を放ち、ゴブリンを撃ち抜く。よし、これで終わったかな。念の為、【魔力感知】で周囲の様子を探るが、敵の反応は無かった。【魔力感知】は索敵にも応用出来るのだ。
[条件を達成しました。ソースケ・ナグモはLv14からLv15にレベルアップしました。各種ステータスが上昇します]
[条件を達成しました。スキル【無属性魔法】がLv3からLv4にレベルアップしました]
おっ、レベルアップしたな。ひとまず俺は襲われていた少女に声をかける。
「怪我はないか?」
「は、はい…あ、ありがとうございます…」
よかった。とりあえず一安心だな。少女はヨロヨロと立ち上がるとフードを取り、礼を言った。
そこには━━━美少女がいた。身長は百五十五センチほど。真っ白な肌に青色の瞳、水色の髪を肩あたりで切りそろえ、白いフードの付いた修道服を身に纏っている。人の美醜にはあまり詳しくないが、間違いなく美少女の部類に入るだろう。ゴブリンの後だから余計に可愛く見える。
「あ、あのー…」
「あ、あぁ、すまない。少し考えごとをしていた。なんだ?」
まさか見惚れていたなんて言うわけにもいかず、少しごまかしてしまった。
「あなたは…何者なんですか?」
…ん?それはどういう質問なのだろう。…とりあえず、名乗っておくか。
「俺はソースケ・ナグモだ」
「あ、私はレイナ・アル…じゃなくて、レイナです。…って、そうじゃなくて!いくらゴブリンがGランクとはいえ六体をあんな簡単に…冒険者かなにかですか?なぜこんなところに?」
そうか、レイナというのか。あと、やっぱりこの世界に冒険者っているのか。俺が何者か、か。俺が知りたいくらいだ。ここにいる理由は…記憶喪失でゴリ押そう。
「俺が何者か、なんでここにいるのかはわからない。どうやら、記憶喪失のようでな。今持っている荷物は、この森の奥に住んでいる男から貰ったものだ」
「そうだったんですか…。大変でしたね…」
「そういうレイナは、なぜここに?」
「…え、えーっと…そ、そう、隣町に行くつもりだったんです!ここを通ると近道で…いつもは襲われないんですけど、今日は襲われてしまって…」
レイナはそう言うが、目が泳いでいるし、言葉に詰まりがある。おそらく嘘だな。ワケアリか?まぁ、あまり言いたくないことなんだろう。だとしたら追及するのは酷だし、やめておこう。
「そ、そんなことより、さっきは助けてくれてありがとうございます。なにか、お礼を…」
お礼…か。別にいいんだがな。だが、そう言っても引き下がらないだろう。なんとなくそんな気がする。
「んー…なら、町に案内してくれないか?俺も町に行こうと思ってたんだが、場所を知らなくてな」
「わかりました!このレイナ、完璧に案内してみせましょう!ただ、またゴブリンが出てきたときはお願いします!」
「あぁ、任せてくれ」
レイナは笑顔で言い、俺は一言だけ返した。こうして俺はレイナを助け、案内人を得た。ようやく、この森から抜け出せる。その満足感で俺の顔は少しだけほころんだ。




