第四十三話 絶句✕2
後書きにお知らせあり!読者必読!(何人いるかは知らんけど)
しばらく待っていると、受付の女性が一人の男を連れて戻って来た。さっきギルドマスターと叫んでいたから、あの男がギルドマスターか?
「はぁ…君ですか、面倒事を持ち込んだ冒険者というのは…ただでさえ仕事が多いのに…」
連れて来られた男は、来るなりいきなり本人の目の前で隠す気もなく文句を言った。多少イラッとするが、間違いはないので否定はしない。
「面倒と言うほどか?」
なんとなく気になったから聞いてみると、一瞬馬鹿を見るような目で見られてから溜め息をつかれた。物凄く殴りたい。こんな失礼な輩はぶん殴ってもいいんじゃねぇかな。
「当たり前でしょ…鑑定士の派遣要請に、資金の用意、売り先の選定に、etc…。これだから考え無しの冒険者は…」
言い方は腹立つが、俺が悪いのは間違いないみたいだ。とりあえず、形式だけでも謝罪をしておくと、ある程度腹の虫は収まったのか、それ以上の追求は無かった。
「申し遅れましたが、僕はここのギルドマスターのマルクスといいます。一応ここでは一番偉いんで、よろしく」
やっぱり、ギルドマスターか。しかし、眠そうな目にかなりの猫背とくたびれた装いだが、これがギルマスで大丈夫か?
その後、俺たちは受付の裏へと案内された。受付の裏は闘技場のようになっており、ヨボヨボの爺さんと見たこと無い石版が用意されていた。
「あの爺さんはギルド所属の鑑定士です。【鑑定】と目利きができるから、色んな越権がありますが、平時は役に立ちません。とりあえずあの爺さんにミスリル鉱石と魔晶石を渡してください」
マルクスのなかなか辛辣な紹介を聞き流し、俺は爺さんに拳大の大きさのミスリル鉱石と魔晶石を手渡す。
「次に買い取ってもらう分をあの石版に載せてください。アレは重さを量れる魔道具なんで、壊れる心配は必要無いです」
言われるままにポーチから鉱石を取り出し、どんどん石版へ載せていく。量が量だけにかなり大変だ。なんか取り出すごとに、マルクスの顔が引きつってる気がするが無視する。
「とりあえず、売る分はこれだけだ」
アガレスに渡す分を除いて全部だした結果、ミスリル鉱石は二百六十七キロ、魔晶石は二百八十八キロとなった。いやー、思ったより多かったな。
マルクスのほうを向くと、呆然と鉱石の山を見上げていた。目が点になるって、あんな顔のことを言うんだろうな。少々気分が良い。
マルクスにはさんざん言われたからな…少しざまぁみろと思うくらいは許されるだろ。鑑定士と受付の女性は心の中で軽く謝罪しておく。そして、御愁傷様です。
最終的にミスリル鉱石と魔晶石はミスリルは一キロ当たり銀貨ニ十枚、魔晶石は銀貨十枚、合計銀貨八千二百二十枚、日本円換算で約八百二十ニ万円での買取となった。
…うん、やべぇことした実感がようやく湧いてきた。八百万って日本のサラリーマンの年収の倍くらいか?よくわからんが、どう間違ってもポンッと手に入る額ではない。
…もう考えるのはやめよう。それが楽だ。お金はきっちり五等分にして分けた。レイナやカナタは渋ったが、受け取ってもらわなければならない。半ば押し付けるように渡した。
ちなみにウォルフとミヤビはなんの躊躇も無く受け取っていた。うん、間違ってないが…なんか複雑な気分だ。
◇ ◇ ◇
後日、俺はアガレスにミスリルを渡すために、鍛冶屋へ向かった。その足取りはいつになく軽い。なんせ念願の新しい金属が手に入るんだからな。
あと、ついでに武器の能力付与について聞けたらなとは思ってる。これから創れるであろう武器に思いを馳せていると、いつの間にか工房に着いていた。
「よう、アガレス。鉱石持って来たぜ」
俺がそう言いながら扉を開けると、店の奥からアガレスが飛び出してくる。恐らくはあの奥が工房なんだろうな。
「おう、ソースケ!ありがとよ、お前のおかげでなんとかなるぜ!」
アガレスは相変わらずの快活さで声を上げ、近寄って俺の肩を思いっ切り叩く。力が強すぎて若干痛い。
「ほらお前が言ってた鉱石ってこれだろ?」
俺はポーチからミスリル鉱石を手渡す。しかし、アガレスはポカンとしている。あれ?なんか間違ったか?
「どうした?」
「どうしたもこうしたもねぇよ!これミスリル鉱石じゃねぇか!なんでこんなのが採れたんだ!?」
「え?お前が言ってたのこれじゃないのか?」
「ちげーよ!あそこは鉄鉱石がメインでミスリル鉱石は少ししか採れねぇんだよ!希少金属をメインにするわけないだろ!?」
「いや、俺が行ったらミスリルがゴロゴロ採れたからこれなんだろうなって…」
「はぁ!?そんなわけ…」
俺がポーチから再びミスリルを出すと、アガレスの言葉はすぐに止まった。さらに何も言えないようにポーチにあるミスリルを全部出して積み上げる。アガレスの顔が面白いことになっている。
「マジみたいだな…」
「だから何度も言ってるだろ」
「信じられねぇだろ、普通よ…」
アガレスは怒鳴り疲れたのか、憔悴しきった顔で座り込んでいる。まぁ、ギルドの人もかなり驚いてたし、信じられないのも無理はないか。
「スマン、ダメだったか?」
「いや、ダメじゃねぇ。ダメじゃねぇが…如何せんミスリルは普通鉄と混ぜて使うからな…。経験も無いし、上手く作れるかわからん」
「なるほど…どうする?鉄鉱石が必要なら採ってくるが…」
「いや、いい」
「え?でも…」
そこまで言って俺はアガレスの口角が上がっているのに気付いた。その外見と相まって、これから人を殺すのかというくらいに凶悪な顔付きに見える。
「したことがねぇならすればいい!というわけで俺は工房に籠もる!それじゃあな、ソースケ!」
そう言い残しアガレスは店の奥に走り去って行った。おぉ…理論は脳筋だが、気迫は本物だ。これは邪魔するのはダメだな。俺はそそくさと店を後にした。
静かに入口を出て扉を閉める。経験は無いと言っていたが、アガレスの腕は本物だし、あの様子ならかなりの業物が出来上がりそうだ。
さて、俺も武器の制作に…って、あ!金属貰い忘れた!…まぁ、明日また来るか。そう思って俺は宿屋へ戻った。その足取りがかなり重かったのは言うまでもないだろう。
前に言っていた新連載についてお知らせです。
タイトルはまだ決まっていませんが、ほのぼのしたやつを書こうと思っています。というか書いてます。
差し当たって新連載に向けて書き溜めをしたいので、しばらく更新はお休みします。
新連載投稿は9月5日を予定しています。
新連載を毎日投稿している間はこちらの『創造魔法』も毎日投稿するつもりです。
しばらくお待たせしてしまいますが、ご了承ください。




