第三十七話 いざ討伐へ
前回投稿から実に二週間超…。
皆様お待たせしました!そして本当に申し訳ございませんでした!
「はぁ…」
「だ、大丈夫ですか?」
先程の騒動の後、レイナの誤解を解くとレイナもしばき回すのに加わり、ギルド内は暫しの間、阿鼻叫喚の大騒ぎとなった。原因となった三人は正座させている。もうかれこれ三時間ほどだろうか。
「あ、足がぁ…ソースケ君の人でなしー!」
「誰のせいでこうなったと思ってやがる」
「すまんかったソースケ…!やからもう許してくれ…!」
「お前のせいでさらにややこしくなったからまだだ」
「俺は関係なくねぇか?」
「笑ってるだけで止めようとしなかったからテメェも同罪だ」
三者三様に文句やら謝罪やらを口にするが、許す気はさらさら無い。それどころかさらに怒りが湧き上がってくる。もう一度しばき回すか?
「ソースケさん、もう夕方ですし許したらどうですか?」
レイナがそう言ったので、外に目をやるとあたりは赤く染まっていた。確かに明日もやることはあるし、そろそろ宿屋に戻ったほうが良い。
というか、レイナも被害者の一人なのによくそう言えるな。俺ならざまぁみろとしか思わない。
「それもそうだな。続きはまた今度だ」
「また今度あんの!?」
カナタがツッコミを入れ、レイナの笑顔が若干引きつるが俺はそれらを無視する。正座から解放された三人は床に倒れ込んだり、足を抑えたりとまた騒ぎ出した。どうやらまだ余裕がありそうだな。
「ほらウォルフ。明日も早いし宿屋に戻るぞ」
「ちょっ、ちょっと待てや…今足が…」
「安心しろ、宿屋まで引きずってやるから」
俺がウォルフの襟首を掴み、引きずり回そうとすると、ミヤビが声を上げる。
「あれ?ソースケ君たちなんかあるんすか?」
ミヤビはまだ立ってこそいないが、もう幾らか余裕があるみたいだ。仕置が甘かったな。俺は心の中で反省する。
「あぁ、ロックリザードの討伐に行くんだよ。鍛冶屋のアガレスに頼まれてな」
「あぁ、アガレスさんの工房があの依頼出してたんすか。そしたら受けといたら良かったっすわ」
「知り合いか?」
「えぇまぁ。あたしの杖とかカナタの鎧とか作ってもらったんすよ。あの時はまだ冒険者になりたてでお金も無くてアガレスさんが安くしてくれたんすよ」
ヘぇ…意外なとこに繋がりがあるもんだな。世間は狭いとは言うが、いくらなんでも狭過ぎる気がするが…。
「あの依頼Dランクにしては報酬安いと思ったらそういうことだったんすねぇ」
「アガレスの工房って儲かってないのか?腕が悪いってわけじゃなさそうだが…」
アガレスの工房の武器はすべてがDランク以上だった。俺はアレくらい簡単に創れるが、駆け出しの冒険者なら十分に使えるレベルだ。何か問題を抱えてるのか?
「あぁ、店主の顔面が問題っすね」
「…なるほど」
なぜだろう、一瞬で納得してしまった。確かにあの顔は顔面凶器…いや、これ以上考えるのはよそう。
「なぁ、ソースケ」
「ん、なんだ?」
ようやく足の痺れがとれたのか、カナタが立ち上がって俺に話し掛ける。
「俺たちもその依頼に同行させてくれ」
「なんでだ?」
「アガレスさんにゃ世話になったからな。恩返しってわけじゃねぇが…借りは返しておきてぇ」
カナタがそう言うと、ミヤビがニヤニヤしながらカナタを見てカナタがそれに気付いてミヤビの頭を叩く。相変わらずコントみたいなやり取りしてんなぁ。
俺はレイナとウォルフに視線を向ける。二人揃って頷き了承を示す。俺にもストレス性の頭痛と胃痛が増すくらいで特にデメリットは無い。
「俺たちは別に構わねぇよ」
「恩に着るぜソースケ」
「あざっす!」
ということで、俺たち三人にミヤビとカナタを加えた計五人でロックリザード討伐へ向かうこととなった。頭痛と胃痛を引き換えに得た貴重な労働力だ。存分に使わせてもらうとしよう。
◇ ◇ ◇
翌日の朝、俺たちは冒険者ギルドで集合した。相変わらず朝に弱いレイナとぐーたらなウォルフを連れてくるのは骨が折れる。
全員集まったところで受付へと向かう。何人か転がっていた冒険者を踏んだ気がするが気にしない。レイナは丁寧に避けているがウォルフはガン無視。ミヤビとカナタに至ってはわざと蹴っていることもある。それはいいのか。
「こんにちは!今日はどのようなご用件でしょうか」
受付に辿り着くと女性が明るい声で話し掛けてくる。
「依頼だ。鉱山でロックリザード討伐を頼む」
「かしこまりました」
カナタが俺たちを代表して答える。ランクも高いし、この中ではレイナに次いで常識人だからだ。カナタがいなかったらミヤビは今よりも暴走していたかもしれない。
受付の女性は少し嬉しそうな表情をした。長い間処理されなかったらしいし、面倒な依頼が片付くなら嬉しいのだろう。申請書を書き終え、俺たちは鉱山へと向かった。
街の東門から出て森を抜けた先に鉱山はあるらしい。俺たちはその道中の森で一休みすることにした。俺はレイナとウォルフにポーチに入れていた水筒を手渡す。
「ソースケ君のポーチは『空間収納』の魔道具なんすか?」
「転生してから会った人にもらったんだ」
レイナとウォルフには二人が転生者であることは伝えているので普通に話すことができる。
「はー、珍しいっすね。かなーり貴重っすよそれ」
「そうなのか?」
「魔道具は優れた魔法使い系の職業持ちしか作れない上に【空間魔法】を使える人も少ないっすからね。それらを併せ持った人しか作れないんす」
「そんなに凄いものだったのかこれ…」
「市場に流せば金貨百枚で買うやつも出てくるだろうな」
「マジかよ!?」
カナタが何気なく言った言葉に俺は驚愕する。金貨百枚っていうと俺基準では一千万円の大金だ。それをぽんっとくれたベルフェルって一体…。
そんな会話をしながら俺たちは鉱山に向けて足を進める。体感で一時間ほど歩くと鉱山の入口が見えてきた。入口を木材で装飾してあるよくあるタイプだ。
「マ○クラの廃坑…」
カナタがぽつりと呟いた一言に内心で頷きつつ廃坑…じゃなくて鉱山に足を踏み入れる。カナタ、ウォルフ、俺、レイナ、ミヤビの順だ。
突然組むことになったパーティだがバランスは悪くない。盾役一人に前衛遊撃が二人、そして後衛が二人。後衛は攻撃、防御、回復、支援となんでもござれだ。このパーティなら大抵の魔物はどうってことないだろう。
さぁ、依頼を達成するため、そして俺の目的のためにきっちり働いてもらおうではないか。




