第三話 第一村人発見
しばらくすると俺は森の中にいた。周りには見渡す限り木しかない。前に自然公園に行ったことがあるが、ここまで森らしい森ではなかったと思う。人の手が入っていないからなんだろうな。
『おーい。聞こえてるかー』
「あぁ、聞こえてるよ」
『少しは驚けや。ったく、こいつは…』
神は少し呆れたような声で言った。流石に2度目からは驚かんだろう。普通は驚くだろうが、俺は多分話しかけられるだろうと思っていたからな。
「ステータスについて説明すると聞いていたからな。話しかけてくると思っていた」
『おまけに察しもいいときたか…。見てるぶんにはいいが、話すとあんまり面白くねぇな』
酷い言われようだ。確かに面白いと言われたことはないが。
『まぁ、いいか。ステータスの説明をしよう。ステータスの説明は転生先の方がわかりやすいから説明はこっちでするようにしてんだ。“ステータスオープン”って言ってみろ』
「ステータスオープン」
神の言う通りにすると、半透明のガラスみたいな画面が現れた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
名前:ソースケ・ナグモ
種族:人間
職業:異世界転生者
Lv:1
HP:196/196
MP:215/215
攻撃:154
耐久:128
敏捷:103
持久:98
器用:386
幸運:23
‹ユニークスキル›
【万物創造】
‹スキル›
【鑑定Lv1】
‹称号›
【創造者】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これが俺のステータスか。器用の数値が異常に高いんだが。あとは称号があるな。【創造者】?何だこれ。すると神から説明が入った。
『ユニークスキルを獲得すると、そのスキルに応じた称号が与えられる。お前の場合は【万物創造】だから【創造者】ってわけだ』
「称号があると何かあるのか?」
『称号によって異なるが、ユニークスキルを補助する能力が備わっている。お前の【創造者】は思考加速や並列思考なんかだな』
ユニークスキルのサポートか。あったほうが良いのは間違いないだろう。ん?なにか忘れているような…。
「そういえばまだ【万物創造】の説明ってされてなかったよな?」
『あっ、悪い、忘れてた』
なんでそこを忘れるんだ…。与えるユニークスキルを決めたら一番に説明すべきことだろう。
『つっても、説明することなんてほとんど無いんだがな。お前のユニークスキル、【万物創造】を一言で言うなら“この世のすべてのものを創造することが出来る能力”だ』
…はぁ!?このスキルそんなこと出来んのかよ!!凄そうどころかマジでチート能力じゃねぇか!!…いや、漫画やラノベの常識から考えれば何かしらのデメリットや制限があるはずだ。
「制限とかは無いのか?」
『いや、ある。創造するときに魔力と明確なイメージが必要なんだが、魔力が足りなかったり、イメージが不十分だったりすると創造出来ないことがある』
やはり制限はあるか。だが、逆に言えば魔力とイメージさえあればなんでも創れるわけだ。チート能力であることは変わらないな。
『説明すべきことはあと1つだ』
まだあるのか。
『お前が転生者だということは誰にも話すな』
「何故だ」
『この世界では神が信じられていて転生者は“神の奇跡”とか言われて祭り上げられる存在となっている。お前が祭り上げられたいなら話は別だが?』
そんなことはゴメンだ。何も俺は祭り上げられるために転生したわけじゃない。
『これで説明すべきことはすべて話したが、他に聞きたいことは無いか?』
「鑑定持ちの相手には俺が転生者だとわかるんじゃないか?」
俺が危惧しているのはそれだ。たとえ俺がどんなに隠しても俺の職業を見られたらおしまいだ。鑑定スキルがレアスキルだとしても合う可能性はある。
『あぁ、その問題があったな。よし、ステータスをごまかせるLv10の【偽装】をやろう』
[条件を達成しました。【偽装Lv10】を獲得しました。]
スキル獲得と同時に俺の頭の中に声が響いた。スキル獲得を知らせてくれるのか?ますますゲームみたいになってきたな。
『これで良し、っと。もう大丈夫か?』
「あぁ、大丈夫だ。何から何までありがとな」
『いいってことよ。こっちにも利はあるんだからな。それじゃあな』
その言葉を最後に神は消えた。本当に…何から何まで世話になったな。いつか恩返し出来るならしたいものだ。
さて、これからどうしようか。まずは人に会いたいな。ならば、この森を抜けるとしよう。そうしないと人にも会えないしな。
そう思って足を出した瞬間、
「うおぉぉぉぉお!?」
俺の体は宙に浮いていた。いや、違う。俺は━━━罠にかかったのだ。仕掛けられていた網に体をすくい取られ網の中に入った状態で木にぶら下がっていた。この状態じゃまともに身動きもとれないし、何も持っていないから網を切ることも出来ない。
クソっ、誰だこんなところに罠なんか仕掛けたやつは…!犯人がわかったらそいつ思いっきりぶん殴ってやる…!俺がそう決意すると奥の茂みから音がした。犯人か!?
「よーし、罠に反応があったぞ…!一体どんなやつが掛かって…って、えぇぇぇぇ!?なんか人が掛かってる!?」
一人の小柄な男が現れた。これは人に会えたことを喜ぶべきなのか、罠を仕掛けたことに対して怒るべきなのか…。
「えーっと、こんにちは…と言いたいところだが、まずは網から降ろしてくれないか?」
「あぁ、うん…そうだね…」
とりあえず人に会うという目標は達成したが、もうちょっと違う初遭遇をしたかったな…。




