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第三十三話 ミヤビのユニークスキル

しばらくすると地響きのような音が聞こえるようになった。【魔力感知】で見えた反応だけでも百を超えていた。Eランクとはいえ百体を相手にするのは厳しい。


「さて、どうするかな」


「いつも通りでいいんじゃないんすか?」


そんな状況でもミヤビとカナタは平然としていた。凄いな、コイツら。


「ソースケ、ミヤビが魔法を撃ったら一気に攻撃を仕掛けろ」


「え?あ、あぁ、わかった」


俺がそう返したときにはレッドブルはもうすぐそこまで迫っていた。


「【虚像創成】…『死者の手』!」


雄叫びを上げながら迫るレッドブルの大群にミヤビが魔法を放つ。さっきも見た『死者の手』だが数がおかしい。千を超える『死者の手』がレッドブルの大群を飲み込んだ。


【虚像創成】…アレがミヤビのユニークスキルの能力か。虚像ってことは…多分今の攻撃の目的は足止めだな。俺の考えの通り、無傷のままのレッドブルがそこにいた。


「『魔撃砲(マナブラスター)』!」


俺はカナタの指示通りレッドブルに攻撃を開始する。『魔撃砲(マナブラスター)』は俺が使える魔法では最大火力の魔法だ。さらにレッドブルの大群に飛び込み双剣で切り刻む。


おそらくミヤビのユニークスキル【虚実混交】は虚像…つまり幻覚を生み出す能力だ。本能で生きてる魔物は目の前に何か出てきたら一度止まる。足止めなら有効な能力だな。


相手が人間でも見破るのは難しいし、汎用性の高いユニークスキルだ。しかし、ユニークスキルにしては性能が低い気が…俺のがおかしいのか?


俺は次々とレッドブルを狩る。密集している状態ではレッドブルは満足に動けない。かたや俺はウォルフの立体機動を参考に縦横無尽に動く。戦場はほぼ俺の独壇場となっていた。


ふとミヤビとカナタに目をやると、そっちも二人の殲滅劇と化していた。ミヤビが【虚像創成】を使いながら魔法で数を減らし、カナタがミヤビの隙をカバーする。おそらくアレが二人の本来の戦い方なのだろう。


「さーて、どれがニセモノでしょうか!」 


ミヤビがそんなセリフとともに魔法を放つ。運悪く本物に当たったやつはそのまま命を落とし、運良くニセモノだったやつは次の攻撃で命を落とす。どう転んでも死ぬ。


「ミヤビぃ!テメェ真面目にやれ!」


カナタはミヤビを怒鳴りながら大盾で攻撃を受け流し、槍で目の前のレッドブルの眉間を貫く。派手さは無いが堅実で安定した戦闘。ユニークスキルは使っていないようだった。


俺は二人の戦いを観察しながらもレッドブルを倒し続け、二人に少しずつ近づいていった。相手の数が多いときは固まったほうがいい。


「痛ぁ!?」


そう考えているとミヤビがレッドブルに体当たりされ、一人離れてしまった。この距離ではどちらもカバーにはいけない。


「ちょっ、ちょっと助けてくださいっす!このままじゃ死ぬ!」


「うるせぇ!自力で片付けろ!」


カバーに行こうとしたとき、カナタがそう叫ぶ。待って、そうすると俺もカバー行きづらいんだが…


「おい、いいのか?」


「死ぬ死ぬ言ってるやつは意外と死なん!少年マンガの法則だ!」


いや、これ現実なんだが?それでいいのか?ミヤビのほうを見ると杖を使ってレッドブルを蹴散らしていた。あっ、これ大丈夫だな。


「むぅ〜!怒ったっすよ!『堕天の翼』!」


しばらく放っていたらミヤビが背中から真っ黒な翼を生やした。またもや厨ニ臭い名前だがもう気にしないことにした。その翼を動かしてミヤビは空へと飛び立った。ミヤビって飛べたのか。


「まさかあのバカ…ソースケ!こっち来い!」


カナタもミヤビが飛んだのを見たようだが様子がおかしい。とりあえず俺はカナタの近くへと駆け出した。


「フッフッフ…これで終わりっすよ!【虚像創成】【虚実反転】…『黒天流星』!」


ミヤビが発動した魔法は闇の塊とも呼ぶべき黒い隕石。それが【虚像創成】で空を覆い尽くす数が浮かんでいた。本来ならアレのほとんどは幻覚…のはずだが【虚実反転】が俺の予想通りなら…


「さぁ…降り注げ!」


ミヤビが指を鳴らすと『黒天流星』がレッドブルの大群めがけて降り注ぐ。そのすべてが森の木々をへし折り俺たちに迫る。やっぱり幻覚じゃねぇ!


「『付与(エンチャント)(ライト)』!『光魔防護ライトガード』!【狷介孤高】!」


俺はカナタの大盾の影に隠れカナタに魔法支援を使う。カナタは大盾に【付与魔法】、光の防御魔法、さらにユニークスキルまで使用し『黒天流星』を耐える。


音が止んだときにはレッドブルは大半が粉々になり、俺とカナタのHPは半分ほど減っていた。ミヤビはスッキリしたようでツヤツヤしていた。


「カナター!ソースケくーん!生きてるっすかー?」


「こんの…大バカ野郎がぁ━━━!」


森にカナタの怒号とミヤビの悲鳴が響き、俺たちの依頼は終了した。俺はぼーっとそれを見ながらレイナとウォルフの昇格試験について考えていた。アイツらもう終わったかなぁ…。

これで転生者騒動は終わりです。次話からはレイナとウォルフの昇格試験編になります。

あと、レイナ視点が難しかったので三人称視点で書くことにしました。というか、これからソースケ以外の視点はすべて三人称視点にしようと思います。キャラ視点難しいです。

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