第三十一話 転生者達の会話
「えーと…落ち着いたか…?」
「…あぁ…なんとかな…」
青年は俺がいきなり蹲ったのを見て最初は困惑していたが、なんとなく察してくれたようで黙って待っててくれた。ようやく落ち着いた俺は俯きながらも立ち上がった。
「悪いな…疑ってしまって…」
「別にいいっすよ。よくあることだし…あの顔を思い出すと今でも笑いが…」
一応ミヤビに謝罪をしたが、ミヤビは今でも笑いが堪えられないようだ。殴りたくなるが悪いのは俺だし黙っておくことにした。
「あぁ、そうだ。申し遅れたが、俺はこの世界ではカナタ・コバヤシと名乗ってる。もうわかってるとは思うが、俺もミヤビも日本からの転生者だ」
「俺はソースケ・ナグモだ。同じく日本からの転生者だ」
俺と青年━━━カナタ・コバヤシは互いに名乗り、握手を交わす。まさかこんなところで転生者に会うとは…まぁ、俺の人生の中でも最悪に近い出会いではあったが…
とりあえずカナタにも【鑑定】を発動させる。
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名前:カナタ・コバヤシ
種族:人間
職業:異世界転生者
Lv:34
HP:1294/1294
MP:483/483
攻撃:694
耐久:1386
敏捷:256
持久:427
器用:495
魔法:384
幸運:61
‹ユニークスキル›
【狷介孤高】
‹スキル›
【光属性魔法Lv4】【付与魔法Lv5】【魔力感知Lv4】
【魔力操作Lv5】【身体強化Lv6】【大盾術Lv7】
【槍術Lv7】【格闘術Lv6】【五感強化Lv4】
【鑑定Lv4】【偽装Lv4】
‹耐性スキル›
【打撃耐性Lv7】【斬撃耐性Lv7】【刺突耐性Lv6】
【光属性耐性Lv7】【闇属性耐性Lv6】
‹称号›
【守護者】
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かなりの防御性能。ミヤビは明らかに魔術師のステータスだったからな…カナタが守ってミヤビが攻撃するとかなり強いだろう。
カナタは近くにあった紙に自分とミヤビの名前を書いた。そこには“小林叶多”と“春川雅”と書いてあった。俺は同じ紙に“南雲創介”と書き、カナタに返す。
「へえー、こんな漢字書くんすね。初見じゃ多分読めないっすわ」
「これくらい読めるだろ…つーか、お前が読んでた漫画やらラノベやらにゃ、これの比じゃないくらい難しいのあったろ」
「わかってないっすねぇ、カナタは。アレは漢字の問題じゃないんすよ。作品への愛があれば読めるんすよ」
どうやら俺の名前の漢字から話が始まったようだ。カナタは意味不明と言いたげだが、ミヤビの言ってることがわかってしまう自分がいる。俺もかなりのオタクだったからなぁ…
「まぁ、そんなことはおいといて…ソースケ君。アタシは君に聞きたいことがあるんすけど…」
ミヤビは突然真剣な表情で俺に近づく。
「話せる範囲なら構わないが…なんだ?」
「ありがたいっす。それじゃあ聞くっすけど…」
俺は唾をゴクリと飲み込み質問に備える。たっぷりと溜めてミヤビから出た質問は…
「今ワ○ピースって何巻まででたんすか!?」
俺の予想の斜め上を行く質問だった。俺は思わず目を丸くする。
「それだけじゃないっす!ハ○ター☓○ンター完結したんすか!?ハイ○ューってどうなりました!?あっ、あとコ○ンは一体どうなったんすか!?」
ミヤビはそんなことは露知らず早口で漫画やらラノベやらの質問を矢継ぎ早に投げ掛ける。どうやらコイツは俺が思っていた以上のガチオタクだった。
俺はカナタに助けを求めて視線を向ける。カナタは俺の視線に気づくとおもむろに口を開いた。
「俺はポ○モンとモン○ンについて知りたい。今何作目だ?」
お前もか!カナタはカナタでゲーオタだった。カナタが止めに入らない以上、俺にミヤビを止める手段は無い。俺は諦めて二人が求めた作品について説明し続けた。
◇ ◇ ◇
「なんと…そんなことに…」
ミヤビは俺が話した内容に驚愕しているようで、天を仰いでいる。カナタに話す余裕は残っていないため、また後日ということで手を打ってもらった。
「そういえば聞き忘れていたが…なんでソースケは転生したんだ?」
突然カナタに転生した理由を聞かれた。とりあえずこれまでの経緯を話し、カナタとミヤビの理由も気になったので聞いてみた。
「俺か?俺は交通事故だ。トラックに轢かれた。特に面白いもんでもねぇよ」
「またまたぁ。カナタは不良少年だったけど飛び出した子供を助けて轢かれたんじゃないっすか」
「テメ、ミヤビ!それだけは喋るなって何回も言っただろうが!」
カナタが顔を真っ赤にしてミヤビを黙らせる。テンプレにもほどがあんだろ。
「ミヤビはなんで転生したんだ?」
「アタシっすか?自殺っす」
カナタと同じように聞いたらかなり重い理由が返ってきた。これは…聞かないほうが良かったか…?
「あぁ…えっと…」
思いもよらない答えに謝るのが正しいのか、そのままにするのが正しいのかわからず言葉に詰まる。そんな俺を見てミヤビがニヤニヤしていた。ん…?もしや…
「ミヤビ。それでからかうのはやめろって言ったろ。洒落に聞こえねぇんだよ」
「アラ?本気にしちゃったんすか?ウソっすよ」
やっぱりか。あの反応をするのは嘘つきだけだ。コイツもしかしてかなりの嘘つきだからあのユニークスキル獲得したんじゃなかろうか。
「あっ、そうだ。ソースケ君これから暇っすか?」
今の嘘でカナタに怒られていたミヤビがいきなり俺に話し掛ける。
「うーん…あの二人次第だが…ちょっと聞いてくるか」
受付の女性が戻っていたのでレイナとウォルフの昇格試験について聞くと「どれだけ早くても昼までは掛かると思う」とのこと言われた。なら暇だな。
「暇だ」
「それならアタシ達と依頼受けないっすか?親睦を深めましょう」
依頼か…この街に来てから受けてなかったし、受けるのもありだな。二人のランクを聞いたところDランクだったため組むのは問題無い。
「そうだな…じゃあよろしく頼む」
「よし!そんじゃ行くっすよ!依頼の選別はカナタに任せたっす!」
「お前も手伝え」
こうして俺はミヤビとカナタのパーティと依頼を受けることになった。この二人の戦いを見て【万物創造】のラインナップを増やそうかという欲望があったことは二人は知る由もなかった。
オタクの転生者だったら漫画の続きは気になりますよねぇ。




