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第二十五話 VSホブゴブリン〈3〉

常々疑問に思っていたことがある。魔法使用時の魔力消費量だ。今までの経験から消費量はある程度コントロールできること、消費量によって効果が増減することはわかっていた。そして、自分のMP以上の魔力を使うことはできない。


だが、俺が『魔弾(マナバレット)』を使ったのと、レイナが『水弾(ウォーターバレット)』を使ったのでは同じ魔力量で撃てる数が違った。どちらも同じ最下級魔法であるのに明らかにレイナのほうが魔力消費量は少なかった。


その疑問はレイナが魔法を使うところを見て解決した。俺はすべて自身の魔力で使っていたのに対し、レイナは魔法を使うときに空気中の魔力を集めて使っていた。そうして、魔力消費量を抑えていたのだ。


しかもそれだけではない。そうすることで、同じ魔力消費量でも効果の強い魔法を使うことができる。そして、魔法でその方法が使えるならば━━━【創造魔法】でも応用できる。そうすれば…より強い武器を創り出せる。


俺は魔力を込めるのと同時に周囲から魔力をかき集める。それもこの森から魔力を枯らす勢いで。莫大な魔力が俺の手元に収束される。


「ナンダ…!?コノ魔力ハ…!」


ホブゴブリンが驚愕する。俺はそれをよそに魔力で形成する。いつもならイメージするのに時間が掛かるが、今回は問題無い。なぜならそのイメージは目の前にあるのだから(・・・・・・・・・・)


しばらくして光が収まると、俺の手には思い通りの武器があった。細身ではあるが、力強さを感じる長い柄の先に鋭い両刃の刃がついており、多量の魔力が込められていた。


「ソレハ…ワレノ槍…!?」


そう、俺が創ったのは槍。それもホブゴブリンの持つ疾風の槍そっくり…というか、そのものである。【鑑定】を使った結果、疾風の槍の風属性付与以外の効果は模倣できていた。なぜ風属性付与ができていないかは…まぁ、あとから考えよう。


「フフフ。ワレノ技術ダケデナク、ワレノ武器マデ真似ルトハ…。戦イノ中デ敵ヲ喰ライ成長スル。ソレガ貴殿ノ戦イ方ナノダナ」


いや、そういうわけではないが…まぁ、確かにホブゴブリンの武器や技術は身につけた。あってるといえばあってるか。


俺はもう何度目かはわからないが、気合を入れ直す。槍を左手を前、右手を後ろに持ち、重心を落とした。その槍の先をホブゴブリンに向ける。最初にホブゴブリンがした構えと同じだ。


「ダガ、ワレノ風牙流槍術ハソンナスグニ習得デキルモノデハナイ。格ノ違イヲ見セテヤロウ!風牙流槍術“狂風(キョウフウ)”!」


ホブゴブリンが放ったのは突きの連撃。一発一発は“(こがらし)”や“旋風(つむじかぜ)”に及ばない。しかし、問題は数。それは槍の壁と呼ぶに相応しいものだった。俺の体は貫かれ穴だらけになるだろう。もっとも━━━今までの俺ならばの話だが。


俺はホブゴブリンの繰り出す槍を俺の槍で受け流す。受け流した攻撃が三十を超えたあたりで追撃は来なくなった。ホブゴブリンはひどく驚いている様子だった。


それも無理は無い。俺がホブゴブリンの攻撃を受け流した技はホブゴブリンの技術だったのだから。今まで何度も見ていた。真似るのは難しくない。


さらに疾風の槍のステータス上昇により、俺の反応速度は格段に上がっていた。魔法のステータスも上昇するため、【身体強化】や【視力強化】も効果は上昇する。俺の目はもう完全にホブゴブリンの槍を捉えていた。


俺たちは再び槍を交える。俺がホブゴブリンの左肩へ向けて突きを放つ。ホブゴブリンは身を半身にして回避し、そのまま反撃の突き…と見せかけて俺に迫る。


槍での打ち合いは俺に分が悪い。ホブゴブリンが迫ると同時に地面を蹴り、距離をとる。ホブゴブリンはその場から動かず、突きの構えをとった。だが、あの距離では届かない。


「風牙流槍術“八重(ヤエ)潮風(シオカゼ)”!」


そう思っていると、ホブゴブリンの槍の先から風が巻き起こり、その風が俺めがけて飛んでくる。そんなんありかよ!俺は慌てて回避する。


遠距離攻撃まで使えるのか…。アイツは俺を凄まじいと言ったが、アイツも大分無茶苦茶な気がする。そんなことを考えているとホブゴブリンは俺との距離を一気で詰める。あの技の目的は陽動か!


「“(オロシ)”!」


風を纏わせた槍の振り下ろし。初めて突きじゃない技だ。それでも尋常じゃない速度は健在。俺は咄嗟に槍を水平にして受ける。槍での鍔迫り合いが続いた。


「ナカナカ粘ルナ…!モウ大分キツイダロウ?貴殿ガ諦メタラスグニ終ワルノダガ?」


「イヤだね…!早く終わらせたいなら、お前が諦めたら終わるぜ?」


俺とホブゴブリンは互いに軽口を叩き合う。だが、もうどちらも限界が近い。それは直に戦っている俺たちが誰よりも理解していた。


俺たちは同時に槍に全力の力を込め、弾き飛ばされる。どちらも体勢を崩すことなく舞台の端に立った。そんな中、ホブゴブリンは俺に語りかける。


「ソースケ殿よ。実に楽シイ戦イダ。デキルコトナラバマダマダ楽シミタイガ…モウ限界ガ近イ。貴殿モソウダロウ?」


「…あぁ。認めるのは癪だが、次の攻撃で限界だろうな」


「ワレモダ。ソコデ提案ガアルノダガ…次ノ攻撃デ最後ニシナイカ?」


…つまり、コイツは次にお互いの全力をぶつけようと言っているわけか。それに乗るのが正解だな。もう長々と戦闘を続けられる体じゃねぇ。多分骨も何本か折れてる。


「…そうだな。そうしよう。ただし…互いに全力で、だろ?」


俺はニヤリと笑みを浮かべてそう告げる。ホブゴブリンは当然と言わんばかりに力強く頷いた。


「レイナ、ウォルフ、離れてろ」


「ゴブリンタチヨ、離レルノダ。巻キ込マレテモワレハ知ラヌゾ」


俺たちは周りの観客だったレイナ、ウォルフ、ゴブリンたちに離れるように伝える。これで心置きなく本気を出せるな。


俺とホブゴブリンは顔を見合わせた。どうやら心境は同じのようだ。俺たちは槍に残るすべての魔力を込めた。莫大な魔力が衝突し、風が吹き(すさ)ぶ。


「言っておくが俺に大層な技は無い。ただすべての魔力を込めた突きだ」


「ソンナコトハ気ニスルコトデハナイ。オ互イノ全力ヲ出スコトニ意味ガアルノダ」


俺たちはお互いに笑みを浮かべ、示し合わせたように一斉に走り出した。


「うおぉぉぉぉぉお!!」


「風牙流槍術奥義“疾風(ハヤテ)”!!」


舞台の中央でお互いの槍が交錯する。先程よりも強い爆風が吹き荒れ、舞台は粉塵に包まれた。



明日から更新が不定期になり、更新頻度と質が落ちると思います。

理由は宿題をしなければならないからです。(涙)

できるだけ頑張りますので、これからも応援して頂けると嬉しいです。

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