第二十三話 VSホブゴブリン
俺はホブゴブリンに連れられ、集落の真ん中付近にある闘技場のような施設に来ていた。と言っても、円柱状の石の舞台が用意されているだけだ。周りにはゴブリンたちやレイナとウォルフが観客としていた。
「これは…お前たちが作ったのか?」
「アア。娯楽無キトコロニ発展ハ無イ。ゴブリンタチニ娯楽ヲ植エ付ケルニハコレガ一番手ツ取リ早カッタ」
「本当は?」
「ワレノ趣味嗜好ニヨル産物ダ」
そんなことだろうとは思っていた。建設中イキイキしているコイツの姿が目に浮かぶ。だが、コイツの言うことも間違ってはいない。コイツなりに色々考えているのは確かなのだろう。
俺は戦う前にステータスを確認する。何が変わるわけではないが、自分が出来ることは把握したおいたほうがいい。
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名前:ソースケ・ナグモ
種族:人間
職業:異世界転生者
Lv:26
HP:426/426
MP:712/712
攻撃:392
耐久:327
敏捷:348
持久:296
器用:804
魔法:673
幸運:23
‹ユニークスキル›
【万物創造】
‹スキル›
【無属性魔法Lv5】【付与魔法Lv2】【魔力感知Lv6】
【魔力操作Lv6】【棍棒術Lv4】【投擲術Lv2】
【短剣術Lv1】【大剣術Lv3】【格闘術Lv1】
【身体強化Lv5】【鑑定Lv5】【偽装Lv10】
‹耐性スキル›
【打撃耐性Lv4】【斬撃耐性Lv4】【刺突耐性Lv5】
【地属性耐性Lv3】
‹称号›
【創造者】
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…しばらく見てない間に結構上がっていた。地竜を倒したことでレベルが上がったらしい。特に耐性スキルが上がったのは嬉しいな。
だが、それでもホブゴブリンのステータスは高い。物理系のステータスは俺とほとんど変わらない。魔法を多用する戦闘になりそうだな…。
「マダカ?」
そう考えていると、ホブゴブリンが待ちきれない様子で話し掛けてくる。どうやら戦いたくて、ウズウズしているらしい。
「悪い、待たせたな。もう大丈夫だ」
「ソウカ。デハ、ルールノ説明ヲシヨウ。ルールハ簡単、相手ガ降参マタハ戦闘不能ニナッタラ勝チ。ソレ以外ニモコノ舞台カラ落チタラ負ケダ。ワカッタカ?」
「あぁ、問題無い」
「ソレハナニヨリダ。ナラバ━━━戦ウトシヨウカ」
そう言ってホブゴブリンは構える。武器は槍。左手を前、右手を後ろにして重心を落とす。漫画とかでよく見る槍使いの構えだ。
俺は各種スキルを発動させ、大剣を抜く。そこまでして、俺はホブゴブリンの槍が魔力を帯びているのに気付く。何か特別な槍なのだろうか。
俺はホブゴブリンの槍に【鑑定】を発動させる。
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名前:疾風の槍
ランク:B
能力:所有権のステータス上昇、風属性の付与
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能力がついているから多分特別な槍なのだろう。魔法がかけられているのか…?ステータスの上昇率がどれくらいかはわからないが厄介なのは間違い無い。
「サテ、ソレデハコチラカライクゾ!」
「!?」
ホブゴブリンはいきなり槍で突きを放つ。予想以上の速度だ。頬を掠めたが気にしていられない。とにかく避けるしかない。
次々に繰り出される槍を俺は時に避け、時に受け流す。速さに目を奪われがちだが、威力もかなりのものだ。一瞬も気を抜けない。瞬きすらできなかった。
「ドウシタ?先程カラ受ケテバカリダガ?」
ホブゴブリンはわかっているだろうにそう問い掛ける。それだけで精一杯なんだよ。【思考加速】を発動させているのに、槍を目で捉えられない。速すぎる。
ホブゴブリンは一切手を緩めない。何か…何かないか?これを捉える方法は…!そして俺はある考えに行き着く。早速実行する。一か八か…勝負だ…!
そして俺は賭けに勝った。
「厶?動キガ変ワッタナ…何ガアッタ?」
ホブゴブリンが問うが俺は答えない。いや、答えられない。これを維持するのでいっぱいいっぱいだ。
俺は魔力を目に集中させていた。【身体強化】と同じ要領で視力…特に動体視力を底上げしている。早くスキル獲得しろ。俺に楽をさせろ。
[条件を達成しました。【視力強化Lv1】を獲得しました]
よし!獲得した!すぐさま【視力強化】を発動させる。目に集めるよう意識しなくても視力は上げられるようになる。これでホブゴブリンの槍を目で追えるようになった。
槍の受け流しが楽になったことで、魔法を使う余裕ができる。俺は魔力を集め、普段より大きな魔力弾を作る。
「『魔弾』!」
「クッ…!『風弾』!」
ホブゴブリンは同じく魔法を発動させ、魔法を相殺するつもりのようだ。だが、魔力量も魔法のステータスも俺のほうが上だ。
俺の『魔弾』がホブゴブリンの『風弾』を食い破り、ホブゴブリンに迫る。それを槍を振ってかき消すが、俺はその隙に接近する。
ホブゴブリンは俺に向かって突きを繰り出すが、それは明らかに苦し紛れに放った突きだった。俺はその突きを大剣で受け流し、ポーチからもう一本の大剣を取り出し、振りかぶる。
決まった。そう確信した。しかし、そうはならなかった。
「━━━甘イ!」
ホブゴブリンは槍を手放し身を屈め、大剣を避ける。これは俺の予想には無かった。戦士が武器を手放すことが考えられなかったからだ。
ほんの僅かに俺は動揺する。その隙をホブゴブリンが見逃すはずもなく、俺の腹に掌底を叩き込む。躱すことも受けることもできず、俺は直撃を喰らう。
咄嗟に後ろに跳んだことが功を奏し、バランスを崩すことはなかった。ホブゴブリンは落とした槍を蹴り上げて拾う。
「槍使イト言ッテモ、槍以外ノ攻撃手段モ持ッテイル」
ホブゴブリンは当然のように言い放つ。確かにこれは俺の落ち度だ。簡単にわかることを思いつかなかった。俺は気を引き締め直し、これからの第二ラウンドに望む。




