6話 夜の国に到着
夜の国と呼ばれるルーンナイトリス王国。
そこは特殊な結界魔法によって、朝も昼も夜も空が真っ暗で、ずっと夜だという。だから、夜の国と呼ばれているのだ。
というのをルークから教えてもらった。
そんな国の城壁前に、私たちは立っていた。
頭の上で、キューの寝息が聞こえる。
昼頃だから眠くなっても仕方がない。
改めて、今の時間を確認しようと、私は太陽の方を見上げた。
太陽の位置は真上からちょっと西に傾いてるから、多分、昼から少し経った頃だ。
「この城壁を越えたら、夜なんですか?」
私はどうしても、信じられなくて確認するように聞く。
「そうだよ。僕もまだ信じられないけどね」
「私の国にも結界が貼ってあるけど、ルークが言ってた結界は聞いたことがないな」
城壁を見上げて、フィストがわくわくしてそうな声色で呟く。
やっぱり、フィストは楽しみなんだ。
「夜になったら、俺は飲みたくなっちゃうな……」
「国に入って、すぐに飲みに行くのはやめてくださいよ」
私は、グラットに注意する。
「そんな、昼から飲むわけないじゃん。俺は本当の夜の酒の味しか知らないぜ」
そんなこと言って、初めて会った時は昼から飲んでたじゃん。
グラットは、言葉が全部軽く感じる。
「ま、とりあえず。中に入ろうか」
ルークの言葉に、私たちは城壁の方へと近づく。
城壁の外から見ると、今まで訪れた国とあまり変わらない。
だけど、国の入り口は今まで見たものとは違う。
大きな出入り口ではなく、宿の部屋のような普通の大きさの鉄扉だ。
その扉に近づくと、その横に立っていた兵士が明るい声で話しかけてくる。
「もしかして、旅人の人たちですか?」
「はい。そうですけど……」
突然、話しかけられて、ルークはちょっとびっくりしたような反応をする。
私もびっくりした。
兵士は兜を脱ぎ、ニコニコした表情で身振り手振りをして言う。
「この国は、夜の国と言われています! 夜と言えば、暗い雰囲気を想像するかもしれません。ですが、この国はとても楽しい国です! 是非、楽しんでずっとここにいたくなるような思いをしてください!」
兵士は重そうな鉄扉を開けて、私たちをパーティにでも誘うように招き入れてくれる。
そんな態度に、私もルークもフィストもグラットも悪い気はしなかっただろう。
私たちは、兵士に軽く会釈して城壁を通る。
振り返った時、鉄扉を閉じる兵士のニコニコした表情が不気味に感じたのは、私の勘違いなのかもしれない。
扉が閉じて、松明の明かりが鮮明になった。
そして、城壁を抜けるための通路の奥の方に淡い光が見えた。
ゆっくりと進み、通路を抜けるとそこはパーティのように賑やかで、楽しそうな空間が広がっていた。
「ここが夜の国、ルーンナイトリス王国……」
真っ暗な空に、似合わないほど明るい街の光と人々の姿に、私たちは呆然とした。




