↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
85/99

5話 少女たちに新しい仲間が増える

「一人で倒せたね。いつでも、助けに入る準備はできてたけど、その必要はないみたいだね」


「まさか、こんなでっかい魔物、一人で倒すとはなぁ……」


「私も少し驚いてます……」


 だって、ルークから教わった魔法がこんなに威力が高いなんて、知らなかったし。

 この七日間、魔法の練習をしてきたから、弓は使ってなかった。だから、今日初めて魔力を込めて矢を放ったのだ。


「とりあえず、僕とグラットで素材を取りに行こうか。ウッドタイガーは高いぞ~」


「え、俺がやんないとダメ?」


「もちろんだよ。こういうでっかい魔物は男手でやった方がいいだろ」


「そんなぁ……」


「それじゃ、ティアラは休んでいいよ。魔物倒してくれたしね」


 私に笑顔を向けて、ルークはウッドタイガーの素材を取りに行った。

 

「キューキュー」


 私はマナフィリムを膝の上に乗せて、ぷにぷにと手で触っていると、フィストが話しかけてきた。


「よく倒したわね、あのでかい魔物」


「グラディオおじいさんに作ってもらった弓のおかげだよ」


 フィストは座ったりはせず、立ったまま、ウッドタイガーを見上げる。


「そうかもね。でも、ティアラの動きもよかったよ」


「もしかして、褒めてくれてる?」


 今まで褒めるということをしてこなかったフィストが、そんなことを言うから、私は疑問に思う。

 フィストの方を見ると、猫耳まで赤くして、ウッドタイガーを見つめている。


「ほ、褒めてない!」


 ぷいっとそっぽを向く。

 私は、そんな反応をするフィストに向かって、意地悪をするように言った。


「嘘だぁ。今のは褒めてたよ」


「ほ、褒めてない。そもそも、ティアラが自分のこと謙遜するようなこと言うから、いけないんでしょ!」


「別にそんなことはないけどなぁ」


 最近、だんだんとフィストという獣人の少女のことをわかってきた気がする。

 強気で、負けず嫌いで、わかりやすいぐらいに照れ屋な私の友達。


 私は、笑みを浮かべてフィストに尋ねる。


「ならさ、フィストだったらウッドタイガーどんなふうに倒してる?」


「一瞬で、真っ二つよ」


 そんなフィストの答えに、私はふふっと微笑んだ。


☾ ☾ ☾ ☾


 ルークとグラットが、ウッドタイガーの素材を取り終わった頃、私たちは今日中に森を抜けるため、準備を始めていた。


 妖精の森フェアーリアを抜けると、国が見えるらしい。

 私たちはその国を目指して、進んでいた。


 今日中に森を抜けて、明日には国に到着しているだろう。


「それじゃ、みんな準備できたね」


 ルークが、私たちを見て確認をする。


「準備、完璧です!」


「俺はいつでも行けるぜ」


「私も行けます」


「それじゃ、出発……」


「キューキュー!」


 森の中へと進もうとすると、マナフィリムに呼び止められる。

 振り向くと、マナフィリムはとても悲しそうな顔をしていた。


 私は、マナフィリムにそっと近づき、優しく声をかけた。


「どうしたの?」


「キューキュー……」


 なにを言っているのか全くわからなかったけど、表情や声色でなんとなく、わかった気がする。


「私たち、旅の途中なんだ。だから、行かなくちゃいけないの」


「キューキュー……キュキュキュー」


「ん?」


 必死になにかを伝えようとしているのは、わかるけど、今度こそわからない。


 首を傾げていると、後ろからフィストが耳元で囁く。


「もしかして、一緒に行きたいっていってるんじゃないの?」


「え? そんなこと言ってるの? なんでわかるの?」


「雰囲気よ。雰囲気。実際そう言ってるかわからないけどね」


 私は、もう一度マナフィリムに向き合って、聞き返す。


「もしかして、一緒に旅したい?」


「キューキュー!」


 そうだよと言っているような気がして、私はルークを見て、疑問を問う。


「マナフィリムって、一緒に旅ができるような妖精なんですか?」


「マナフィリムの食料は魔力だから、僕たちがちょっとづつ魔力を与えれば、一緒に旅ぐらいできるんじゃないかな? 後は、ティアラが連れてくか連れていかないかは決めてね」


 ルークの答えを聞いて、私は即答する。


「なら、連れていきたい! だって、可愛いから!」


 どうして、マナフィリムが一緒に旅をしたいのかわからないけど、私の意志としては、一緒にいたいと思う。

 

「それじゃ、一緒に旅しよ!」


「キューキュー!」


 私が、マナフィリムを抱き上げると嬉しそうに笑った。


 ずっと手に持って移動するのは大変だなと思い。私は頭の上にマナフィリムを乗せる。


「もしかして、このマナフィリム、ティアラの頭の上が心地いいから、一緒に旅したかったんじゃない? 今、すごく気持ちよさそうな顔してるよ」


「え、そうなの? キュー?」


「キューキュー」


 気持ちよさそうな返事が返ってきた。

 私の頭って、青髪ってだけだけどな……。


 私とキューちゃんのやり取りを聞いて、フィストが首を傾げる。


「ん? てか、いつからキューになったの?」


「え、このマナフィリムの名前だよ」


「いつ名付けたの?」


「今!」


 やれやれと肩をすくめて、フィストは笑う。


「もっと、いい名前あったでしょ」


「キューキュー鳴くから、キュー。可愛いでしょ」


「そうだね……可愛いよ」

 

 そんな、やり取りをしていると、ルークが改めて出発の合図をする。


「それじゃ、行こうか!」


 そうして、私たちは夜の国、ルーンナイトリス王国を目指して、進み始めた。


 新しい仲間を頭の上に乗せて。


「キュー!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。