4話 少女の新しい魔法
私がルークから教わった新しい魔法というのは、主に三つだ。
一つ目。
私は、ウッドタイガーに掌を向ける。
頭の中で先端の尖った矢のようなものを想像して、詠唱する。
「――――ウォータークリエイト!」
この魔法は、水の形を想像通り色々なものに変化させるための魔法だ。
複雑な形はまだ作ることはできないが、こういう簡単な形、想像しやすいものなら、私でもできるようになった。
そして、二つ目。
私はさらに集中する。
「ガオォォォォォォ!!」
ウッドタイガーが私に向かって走って来た。
それでも、集中力を切らさずに、詠唱した。
「――――アイスシェイプ!」
水の状態が徐々に、氷へと変化していく。
そして、私は魔法で氷の矢を完成させる。
それを、私は向かってくるウッドタイガーに向けて、放つ。
「いけ!」
氷の矢がウッドタイガーの顔の辺りへと勢いよく飛んでいく。
だが、矢は体に当たり砕けてしまう。
――――ヤバい!
私は、突っ込んでくるウッドタイガーから避けるように、横へ走る。
止まることができず、そのまま、ウッドタイガーは大樹の方へと突っ込んでいった。
やっぱり、今の私の魔法じゃ、威力が足りない。
また、砂塵が舞って、ウッドタイガーは眼光を光らせて、こっちを睨んだ。
やっぱり、頭の上に乗せたマナフィリムを狙っているらしい。
「キューキュー!」
「もしかして、応援してくれてる?」
「キュー!」
「だったら、その期待に応えないとね」
私は自分の頭に手を伸ばして、マナフィリムの頭を撫でる。
そして、足を止めて、自分の背中に身に着けた弓を持つ。
「ガルルル……」
こちらを警戒してか、ウッドタイガーはこちらの様子を見ている。
その隙に、さっきの手順で私はまた魔法を詠唱し、氷の矢を作る。
氷の矢を弓につがえ、私はウッドタイガーに向けた。
「ガルルルル……」
まだ、来ない……まだ……。
時間をかけて、私は矢を放つタイミングを見計らう。
「来ないか……」
――――なら、私から動こう。
頭の中で、ウッドタイガーを倒すまでの想像をする。
私の強みは、作戦を立てたり、敵の弱点を見つけたりするところである。
魔法を教わる中で、ルークから「自分の強みを探して」と言われて、私は自分の強みに気づけた。
どうやら、ウッドタイガーはマナンの実の光が、氷の矢で反射しているから、警戒しているようだ。
その理由として、光を向けると、すぐにウッドタイガーは位置を変えるように横へ動く。
「すう……はあ……」
深呼吸をして、私はウッドタイガーを睨んだ。
次の瞬間、私は上に向けて矢を放つ。
綺麗な弧を描き、ウッドタイガーの方に飛んでいく。
ウッドタイガーの視線が思った通り、矢の方を見ている。
マナンの実の光を反射する氷の矢に、夢中らしい。
その間に、私はもう一つの氷の矢を作る。
矢が、ウッドタイガーの背中の辺りに刺さった。この距離からじゃ、やっぱり威力が足りない。
「ガォォォォォォ!!」
痛みからか吠えて、こっちを睨む。
「そうだ、私を見ろ」
「ガォォォォォォ!!」
さっきまで警戒していたウッドタイガーは痛みからか、警戒を止めて、こっちに走ってくる。
――――来たな。
完成した氷の矢をもう一度、弓につがえ、向かってくるウッドタイガーに向けた。
その頃には、目の前で右前足を上げて、私を引っ掻こうとしていた。
だけど、すでに私はウッドタイガーの心臓部、魔物の核である魔石を狙っていた。
ルークから教わった魔法、三つ目。
それは、この弓を生かすならと教わった魔法。
「――――パワーウェアー」
弓に力を纏わせ、威力を上げる魔法。
どれだけの威力が出るのか、まだわからない。
前足が振り下ろされる刹那、私はそんな期待感を持ちながら矢を放った。
動きが止まり、矢はウッドタイガーの体を貫通していた。
バタンと砂塵を上げて、魔物はその場に倒れた。
「やったー! 魔法で初めて魔物を倒したぁ!」
「キューキュー」
私は、頭に置いたマナフィリムを持って喜んだ。




