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44話 少女たちは次への旅の準備をする

 ピスタニア王国に来て、すでに十日も経っている。

 

 街を歩き回ったりして三日間が過ぎ、その後、悪魔との戦闘で傷を負ったルークとフィストが三日間眠っていた。

 その後、二人が目覚め、さらに三日間の安静期間で過ごしていた。

 

 そして、今日は準備期間である。

 ピスタール王から、この国を守った礼として大量の硬貨を受け取り、それを使って今日は旅の準備をしている。


 フィストは自分の剣を王宮区画に構える工房に持っていき、切れ味を戻すために研いでもらっている。

 ルークは魔力の回復が必要だと感じて、魔力回復のポーションを買いに行った。今まで、結構な値がするので避けていたけど、今回の戦いで必要と感じたのだろう。


 そして、私とグラットは、二人で食料調達をするために、商業区画まで歩いてきていた。


 私は隣を歩くグラットに首を傾げながら話しかける。

 

「グラットも、私たちと旅を続けるんですか?」


「あれ、言ってなかったっけ?」


「何も、知らないです」


「そっか、そっか」


 今日も青い空を仰ぎながら、グラットは答える。

 それはまるで、すでに覚悟を決めた後のように清々しく言った。


「俺も、一緒にお前らの旅に同行するぜ」


「いいんですか? ここが故郷なのに」


「いいさ。故郷はここかもしれないけど、俺の居場所は変わったからな」


「ん? どういう意味ですか?」


 私が首を傾げて聞き返すと、 グラットは私に笑みを向ける。


「そういうことさ……それに、この先たくさんの美女が俺を待っているのだぜ!」


 一気に熱が冷めたように、私はグラットに冷たい目を送っていた。

 つい最近まで、もしかしたら、グラットと一緒に旅ができるのはここまでかもしれないと寂しくなった気持ちを返してほしい。


 結局、この男は女か……。


「まあ、そういうことなら、食料も多めに買わないとですね」


「おいおい、ティアラどうした? 声色が冷めてるぜ? もしかして、俺と旅するのが嫌だったのか?」


「いや、嬉しいです……」


「目が合わないが、その言葉は素直に受け取っておくぜ」


 そうして、私たちは商業区画で、パンや保存食の肉を買って、城へ戻った。


☾ ☾ ☾ ☾


 日が暮れて、夜の帳が下がった頃、私たちはピスタール王に呼ばれ、王の間に来ていた。


 私たち四人は王の間の真ん中あたりで、足を止めて、礼儀を正し、膝を付いていた。


「あまり、堅苦しいのも苦手だ。楽な姿勢で我の話を聞いてほしい」


 そう言われて、私たちは立ち上がった。

 そして、改めてピスタール王は口を開いた。


「明日、旅立つのだろう? だから、我は今日中に礼がしたい。この国を守ってくれた礼だ。なんでも、言うことを聞いてやろう」


 ルークは、私たちの前に出て答える。


「そんなの必要ありません。僕たちはただ悪魔を倒しただけなので」


「でも、我はどうしても礼がしたいんだ。この国を守ってくれた功績はでかいぞ」


 ルークは腕を組んで、悩んでいる。

 私たちは、別に礼がいらないわけではない。

 だけど、どんな礼を受け取るべきかわからないのだ。

 すでに、硬貨は受け取り使っているので、難しい問題だ。


「どうした? 悩んでいるのか?」


 すると、ルークは私たちの方を振り向いて聞いてくる。


「なんかある?」


 グラットとフィストは首を振る。


「私は、特に何が欲しいとかないし、わからないわ」


「俺も、別にこれって物はないぜ」


「ティアラは?」


 私は、王の間の天井を仰いで、少し考える。

 なんか、あるかな……。


 この国には、たくさんの武器がある。

 だけど、すでに弓は作って貰ったし、必要ない。


 他には……。


「あ、私あの、汽車っていうの乗りたいです!」


 そう、この国に来て初めに見た、あの大きくて馬より早く走る乗り物。


「なるほど……それなら、我の権限を使って、乗らせてやろう! それで、良いか?」


 ルークは、私に良いねと囁いた後、ピスタール王に向き合う。


「それで、お願いします」


「なら、決定だ」


 やったあ。明日、あの汽車に乗って旅できる。

 わくわくするな……。


 想像するだけで、楽しくなってくる。

 私はフィストの方を見てみた。


 フィストの表情は抑えられない嬉しさが、前面に出ていた。


「フィスト、我慢しなくていいんだよ? 楽しみなら、楽しみって叫んで良いんだよ?」


「うるさい。私はティアラみたいに子供じゃないの」


「でも、顔に出てるよ?」


 フィストの耳が小刻みにぴくぴく動いてるのが、わかる。


「う、うるさい。ちょっとぐらい、いいでしょ」


「ふーん。言っちゃったほうが楽だと思うな」


「いいの! 私は、大人だから!」


 そこまで、我慢しなくていいのに。

 初めて見た時、目がきらきらしてたあの乗り物に乗るんだから。


 私は、フィストにいたずらな笑みを向けて微笑んだ。


 その後、食堂で夜ご飯を済まして、ベッドの中で気持ちよく眠った。

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