表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
63/64

28話 とんがり帽子の魔法使い 対 吸収の悪魔 3

「よし、決着はついた。シャグラット様に合流しよう」


「何を言ってるんだ?」


「――――は!?」


 悪魔が振り向こうとした瞬間、僕は引き金を引く。

 

 ――――パンと乾いた音が響く。


 片手で持った銃を撃った。

 狙いは胸の辺りだったが、銃の反動でズレてしまい、コウモリのような羽の膜の部分を貫通した。


「銃って使いにくいな。グラットはいつもこんなのを使っているのか」


「貴様、撃ったな――――ん!?」


 体が痺れているのだろうか、悪魔は羽を硬直させた。

 銃で撃たれていない方の羽を動かし、ゆっくりと降下していく。


 僕もゆっくりと、それに合わせて石畳の上に着地する。


「何をした貴様!」


「知ってるか? この国の銃は魔力を込められるって」


「どういうことだ? 魔力なんて一切感じなかった」


「僕は銃の弾に魔力を込めてから撃ったんだ。魔力なんて感じるはずない」


 僕は、あらかじめ雷の魔法を銃弾に付与したのだ。

 だから、羽が痺れたのは僕が大量に流した魔法の力によるものだ。


 念のため、たくさん流しといてよかった。


 ちょっと貫通しただけで、羽が動かせなくなるとは、驚いた。


 さっきと違い、痺れに魔力の力が残っているわけでもないから、悪魔は力を吸えないはずだ。


「それじゃあ、決着をつけようか」


 僕は銃をその場に落として、まるで剣士のように、腰に差した剣を鞘から抜いた。

 剣先を悪魔に向ける。


 久しぶりだな、この感じ……。


 昔はよく遊びで振っていた木の枝とは違い、握るとしっかり重みを感じることができる。


 昔は剣士を目指していたけど、今は魔法使いだ。

 だから、剣を握った魔法使い。


 つまり、魔法剣士だ。


「魔法使いが剣を使えるわけがない」


「それは、どうかな」


 僕は悪魔の言葉に、笑みを浮かべて返す。

 魔法使いだからと言って、僕は別に長距離で魔法を放つだけじゃない。


 近距離でも、戦える魔法使いなんだ。


「行くよ……悪魔」


 僕は地を蹴るように、足から炎の魔法を出し、飛ぶ。

 地面にすれすれな位置から、一直線に悪魔に向かう。


 同じく剣にも、炎の魔法を付与した。

 この剣も、魔法使いのために作られているのだ。


 片手で剣を横に薙ぐ。

 炎の波が宙を舞って、散っていく。


「くっ……!」


 間一髪で羽の痺れが治ったのか、空へと悪魔は上昇し躱す。

 すぐに、僕はそれに反応し、体の向きを上に向けて悪魔に向かって一直線に上昇する。


「逃がさないよ」

 

 もう一度、剣を構える。

 次はさっきよりも柄に力を入れる。


 空へと上昇する速さは、明らかにこちらの方が速い。

 

 力を込めて、僕は横に薙ぐ。

 悪魔は、躱そうと反応するが遅い。

 胴体の部分は避けられるが、片方の羽を焼き斬った。


 悪魔とすれ違い、雲一つない空には月が静かに見下ろしていた。

 

 月を見ると、脳裏でティアラの笑顔が浮かぶ。

 

 信じてるよティアラ、君ならきっと大丈夫。

 ビスタリア大森国で悪魔と戦った時、君は強かった。

 だから、今回も信じているよ。


 ――――この悪魔を倒して、すぐに助けに向かう。


 だから、それまで耐えてくれ。


 僕は旋回して、体の向きを下に向ける。

 羽を斬られて、落ちていく悪魔に向かって、宙を蹴る。


 下に向かって、僕は悪魔の胸の辺りを剣で突き刺す。


「貴様あああああ!」


「悪魔の心臓はここだろ」


 今まで、悪魔に弱点はないと思っていたが、しっかりあるじゃないか。

 僕の耳が最初から、悪魔の心音を捉えていた。


 僕は悪魔と一緒に、石畳へと落ちていく。

 ばっと風が舞い上がり、僕は着地した。


 気づけば、悪魔は黒い靄となり消えていた。


 ☾ ☾ ☾ ☾ 


「よし、こっちの悪魔は倒した。後は……」


 剣を握った女の悪魔が頭に浮かべる。


 あの悪魔は確か、フィストが戦っていたはず。

 僕は耳で、周りの音を確認する。


 近くで戦っているような音は聞こえてこない。


 僕は、すぐに辺りを探し回る。


 すると、道の真ん中で倒れるフィストを見つける。


 素早く近寄って、フィストの状態を確認する。


 心臓は動いてる。

 どうやら、気絶しているようだ。


 石畳の上に転がる、真っ二つになった剣を見つける。

 これはフィストの剣じゃないな。


 そして同時に、鞘に収まったフィストの剣を見て、思う。


 どうやら、あの悪魔も倒したようだね。

 

 なら、後はティアラたちだけだ。

 

 僕はフィストを道の端っこに移動させて、グラディオの工房に駆け出す。

 

 その時だった。空に流れ星のように、きらきらと黄色の光が飛び、足を止める。

 そして、耳に声が届いてきた。


 ――――ルーク助けて!


 僕はティアラの声にすぐに動き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ