27話 とんがり帽子の魔法使い 対 吸収の悪魔 2
僕を狙って飛んでくる紫の光線を躱しながら、徐々に距離を縮める。
魔法が確実に当たる距離まで近づき、あの悪魔の能力を予測から確信へと変えるんだ。
「逃げてばかりで、時間の無駄ですね」
「別に逃げてない。ここからが本番なんだよ」
僕は、ふっと自信満々に微笑む。
悪魔の体が、広げた手のひらにすっぽり収まるくらいの距離まで近づいた。
この距離間なら、動きながらでも確実に魔法を当てられる。
――――ウォーターボール!
僕は、水の魔法を放ち、何度も悪魔に当てる。
「水なんかで、倒せないぞ」
悪魔は、水魔法によって濡れた目の周りを拭う。
それにより、攻撃の手が一度止まる。
やっぱりそうだ。
水魔法で、あいつは濡れている。
あいつは魔法に込められた魔力を吸っているんだ。
だから、魔法による事象は通用する。
なら、今がチャンスだ。
悪魔は水魔法によって濡れている。
ならば、やることは一つ。
「魔法は通用しないと言ったな?」
「言ったさ。事実だろ」
「いや、これから、君は僕の魔法で痛み叫ぶだろう」
「なら、やってみろ」
僕は掌を悪魔の方へと向けた。
悪魔は羽を激しく動かし、全方から飛来する。
だけど、遅い。
僕の、無詠唱の方が速い。
――――サンダーキャノン!
魔法陣が光、閃光が走る。
掌から鋭い光線が放たれる。
一瞬の光に、悪魔は瞬きした。
その一回の瞬きの間に、雷の魔法が悪魔を貫いた。
ドゴンと雷が落ちてきたような爆発音が、街に響き渡った。
「うがあああああ!」
悪魔は全身が痺れ、強烈な痛みに襲われているに違いない。
その上、サンダーキャノンは僕が持つ魔法の中で当たれば、一番強い。
これが効かないとなると、さらに考えないといけなかったが、その必要はないようだ。
しばらく、悪魔の叫び声が響いた。やがて、声は小さくなり赤い眼光が僕を睨んでいた。
「え……?」
明らかに、僕の魔法を食らう前より、筋肉が発達している。
まさか、食らった魔法に残った魔力を吸って、筋力を上げているのか。
「貴様は魔力を吸った力を放つ能力だと考えたかもしれないが、そうじゃない。魔力を筋力に変えることもできるんだよ」
目の前にいた悪魔は姿を消し、気づけば僕の真後ろにいた。
振り向けば、足を大きく上げていた。
守る余裕もなく、僕は振り下ろされた蹴りをもろに食らい、空から地へと叩きつけられた。
「――――がはっ」
赤色の屋根を突き破り、建物の一階にいた。
手を握って、開いての体の動作を確認する。
まだ、動くようだ。
よかった。戦うことはできるな。
木くずの中に埋もれて、僕は穴の開いた屋根から悪魔を睨んだ。
でも、ここからどうやって戦うか……。
その場で辺りを見渡し、何か答えを求めて探す。
そんな中、僕は一の道具に目が留まった。
そういえば、ティアラが言っていたな。
この国で作られている特別な武器が、王宮区画で売られていると。
魔力を吸って、自分の力にするか、力として放出するかという悪魔の能力。
そんな能力に、勝てるかもしれない武器に手を伸ばした。
これなら、勝てる。




