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17話 悪魔は動き出す

 ティアラたちが寝静まった頃、王城内の参謀長室で一人の男が暗闇の中で、たくさんの紙束に埋もれた机の上で頭を抱えていた。


「くっそ、あの悪魔はどうした……このままじゃ、この国はどんどん平和になっていくではないか」


 この男の名を、ウーランドという。

 鼻の下に髭を生やし、戦争によって失った片目が眼帯によって隠れている五十を超えた男だ。


 過去にピーランド王の横に立ち、戦った経験を持っている。

 今は、その過去の経験からピーランド王の息子であるピスタール王の命によって、国の参謀をしている。

 

 だが――――


「私は王と約束したんだ。この国を必ず武力で恐れられる国にすると……だから、私は悪魔に力を借りたのに、あのギルガッドという悪魔はどこに行った」


 ウーランドは陰で、かつてのような戦争を起こそうと企んでいた。

 

 しかし、ティアラによって倒されたギルガッドのせいで、この男はいつまでも動けないでいた。


「兵器は完成したというのに、私に指示を出したギルガッドは何をしているというのか……」


 机を思いっきり、ウーランドは叩きつけた。


 実のところ、兵器を完成させようと一番最初に提案したのはウーランドだった。

 ピスタール王が望む国を作るには、兵器が必要なのは明らかだ。

 

 それを提案すれば、ウーランドは完成させた兵器で、戦争を起こすことができたのだが、ギルガッドがやられたことで、その計画は狂っていた


「やあ、君は知っているのか? 兵器の在りかを」


「な、なんだ貴様ら……」


 ウーランドしかいなかった参謀長室の中には、三つの影があった。


「貴様と言ったか? 俺様に向かって? あぁぁん?」


「だ、だから、誰だって私は聞いて――――」


「ヴェレット、今はまだ早い」


「くっ……」


 ウーランドの首筋には、鋭い剣の刀身が突き付けられていた。

 汗が一粒、頬から首筋にかけてなぞるように流れる。


「シャグラッド様、申し訳ありません。この者が口答えをするので」


「まあ、いいさ。生きてるからな」


 シャグラッドは赤い瞳で、男を睨む。

 ぞくりと寒気ようなものを感じたウーランド。


「いくつか質問する。お前はそれにだけ答えろ。もし口答えをするなら、すぐにお前の首は落ちるだろう。いいな?」


 声も出せずにウーランドは頷く。


「一つ目の質問だ。お前はギルガッドを知っているか?」


「知ってる……」


 そう頷くと、シャグラッドは不敵な笑みを浮かべた。

 そして、次の質問をした。


「お前は、この国に眠る兵器の在りかを知っているか?」


「なんだと……?」

 

 そんな質問に、ウーランドは簡単に頷くことができなかった。

 なぜなら、兵器の場所を教えてしまえば、今まで立ててきた計画がすべて無駄になってしまうからだ。


 だから、簡単にウーランドは答えることはできなかった。


 だが、シャグラッドの決断は早かった。


「仕方ない。言えば生かそうと思ったが無駄だったようだ。キャビランやれ」


「はい……」


 返事とともに、ウーランドの額に鋭い爪が突き刺さる。


「うがああああああ!」


 痛みにウーランドは叫んだ。

 そんな、苦痛の叫びが城中に響く。


 そうして、徐々に声は枯れていき、ウーランドはその場で倒れた。

 記憶と生命力を吸われ、枯れてしまった。


「ようやく兵器の在りかがわかりました」


「そうか、キャビランよくやった」


「ウーランド様! 大丈夫ですか! 何かあったなら返事を!」


 すると、部屋の外から兵士の声が聞こえてくる。

 数人の兵士が部屋の前で、必死に声をかけるが、返事は何も返ってこない。


 当然のことである。ウーランドはすでに死んでいた。


 シャグラッドは不敵に笑い、行動を起こす。


「それでは、兵器を取りに行こう!」


 その合図に、窓ガラスが割れ、すっと三つの悪魔の影が消えた。


 そうして、扉を無理やり破って兵士が入ってきたころには、一つの死体が部屋に転がっているだけだった。


 夜の暗闇に姿を消した悪魔たちの向かう先は、一つだった。

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