16話 少女たちは豪勢なご飯を食べる
ピスタール王に城の中へと案内された私たちは、赤い柄の入った絨毯がひかれた廊下を歩き、寝床へと案内された。
そこで、荷物を置き、酔っぱらって寝てしまったグラットを置いて、次に食堂へと向かった。
ピスタール王に変わり、長い髪を後ろで一つ結びにした城の使用人が私たちを案内した。
「こちらが、食堂です」
両開きの扉を使用人が開くと、私たちは呆気に取られてしまう。
「す、すごーい!」
そこに広がった光景に、私は思わず声を上げて歓喜する。
きらきらとした明かりが食堂を照らしていた。
埃一つない空間に、長くて大きな机が置いてあり、その上には、たくさんの料理が置かれていた。
見たことある料理から、ないものまで。
す、すごい……これ、全部食べれる!
「ティアラがこれ全部食べたら、丸くなっちゃうんじゃない?」
「全部は食べられないよ! いじわる言わないでフィスト」
ぷくっと頬を膨らませて、私はフィストを見つめた。
「ごめん、ごめん。だって、ティアラ食いしん坊だから」
「私、そんな食べないよ!」
「そうなの?」
「うん」
そんな、会話をしていると使用人が、席へと案内してくれる。
「こちらの席に並んで、座ってください」
ルーク、フィスト、私の順番で、ピスタール王の近くに座った。
料理に気を取られて、席に座るまでピスタール王がそこにいることに気づかなかった。
「よし、皆よたくさん食べよ!」
「はーい!」
ピスタール王のそんな合図を聞いて、私はフォークを握り、料理に手を伸ばした。
「ん! 美味しい!」
私が最初に手を伸ばした料理は、焼いたお肉に何かの調味料がかかった料理だった。
お肉は柔らかく、噛むだけで簡単に飲み込める。
しかも、噛むたびに味が口の中に広がり、お腹の中を満たしていく。
塩辛さがある味付けがされていて、無限に食べられる気がする。
すると後ろから、使用人が説明する。
「今食べた料理は、この国で育てた牛からとった肉を焼いて、塩と胡椒で味をつけたシンプルな料理になります」
「そうなんですね! これ、すごく美味しいです!」
「それは、良かったです」
使用人は笑みを浮かべる。
次に私は、いつも食べるパンの中に贅沢にたくさんの食材がサンドしてある料理に手を伸ばす。
「これも、美味しい!」
噛むとさっき食べたお肉の味とそれに加えて、塩辛さを抑えるような甘みが口に広がり、さらにシャキシャキと緑の野菜が食感をくれる。
今まで食べたパン系の料理の中で一番おいしいかもしれない……。
「それは、さっき食べてもらったお肉と、この国で育てた鳥から出た卵を茹でて砕いて、牛から取れた牛乳から作った調味料と混ぜたものと、畑から取れた野菜を入れたサンドでございます」
「これも、すごく美味しいです!」
「ありがとうございます」
だけどと思う。
だって、私は商業都市ウェルトで食べたフルーツサンドが好きなのだ。
フルーツの甘さとクリームの甘さが合わさった最高の一品、あれを超えるなんて……。
私は、頭の中で悩んだ挙句、どっちも美味しいというどっちつかずの答えが出た。
☾ ☾ ☾ ☾
その後、私たちは夢中になって、机に並んだ料理を口に運んだ。
「もう、食べられない」
お腹はパンパンになり、私は満足に自分のお腹をさすった。
「机に置かれたすべての料理を食べてしまうとは、我も驚いた」
「こんなに出してもらって、食べないともったいないじゃないですか!」
「それにしても、ティアラは食べすぎだよ」
「そうだね。この中で一番ティアラが食べてたね」
私はルークとフィストに笑われて、恥ずかしくなる。
「だって、美味しかったんだもん……」
そういうと、ルークとフィストはまた笑う。
「笑わないでよ!」
そう言っても、笑う二人。
私は、そっぽを向いた。
「そんなに、美味しそうに食べてもらって、我は嬉しいぞ。この国でできた技術にはこの中にある料理にも使われているからな!」
そっか、料理も魔法と違って、人の手で作る物。
私はずっと魔法がすごいと思っていたけど、人はやろうと思えば無限になんでもできるのかもしれない。
私は、改めて両手を合わせて言う。
「とても美味しかったです。ごちそうさまでした」
遅れて、ルークとフィストも一緒に言う。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
そんな姿を見て、ピスタール王は優しく笑っていた。
その後、食堂を後にして私たちは、初めての大浴場で体を流し、寝床で眠りに落ちた。
たくさん食べたからか、疲れたからかわからないが、私はすぐに眠りへと落ちた。




