12話 少女と猫耳少女は兵器の真実を知る
ピスタール王はフィストの疑問に答える。
「実際、これはグラディオが作ったというよりも、もともとこの国に眠っていたと言った方が正解だろうな」
「眠っていた?」
「そうだ。我の父である前国王ピーランド王がどこで発見したのかわからないが、この兵器の設計図を見つけたんだ」
遠くを見るように、ピスタール王は過去を振り返る。
「その設計図には、破壊兵器の作る手順が書いてあったらしい。そして、戦時中だったから父はグラットの父にその設計図を渡し、命令を下したんだ」
眉をひそめて、ピスタール王は何かを睨むように、続ける。
私はぞくっと背中が震えた。
「我はあまり父が好きではなかったから、詳しく知らないが、戦争は兵器を完成させる前に終結し、同時にグラットの父も兵器を作る前に魔性病で死んでしまったらしい。それで、兵器は作り上げられないまま、今に至るわけだ」
ここまでの過去をゆっくりと話し、次にピスタール王は今について語った。
「なぜ、兵器を戦争もしないのに作り上げたのか、それは我が今、魔法使いとこの国を結びつけるための架け橋にしたかったんだ」
私は、疑問に思った。どうして、兵器を作り上げることが魔法使いとピスタニア王国を結びつける理由になるのか、全くわからない。
フィストも同じ疑問を浮かべているのだろう。難しい顔をして天井を見上げている。
ピスタール王は、仁王立ちをして、堂々とさらに続けた。
「魔石を使った兵器を作ることで、この国の技術を進歩させたかったんだ」
「技術を進歩させるためなら、もっと別の方法があったんじゃないかなって思いますけど」
真剣な表情でフィストが、言った。
確かにそうだ。危ない兵器よりも、もっと安全な物で技術の進歩はできたと思う。
「ごもっともだな。でも、実際この兵器で一つの国を破壊するほどの威力を出すには、圧倒的魔力が必要なんだ。だから、魔力の持たない我らが持ったとしても、爆破はしないし、微量な魔力なら大きな爆発は起きないだろう」
手に持った兵器を握り、ピスタール王は言い放つ。
「だから、この兵器は兵器としてではなく、この国の技術の進歩の土台として使える」
「確かに、それなら納得できます。でも、どう進歩するんですか?」
「すでに、技術は進歩している。王宮区画では魔法使いが魔力を使って扱う武器が売っている。魔法を纏う剣や、魔力で撃つことができる銃などだ。」
ピスタール王は球体を元の場所に戻し、私たちの方に向き直る。
「我はピーランド王みたいに、差別はしない。魔法使いも獣人も一人の人として、接したいんだ。そのために、我は動いているんだ。魔石に魔力を安定して流せる技術があれば、この国はさらに進歩し、生活も商業もさらに発展する」
その王は、正しく真っ直ぐだった。
奴隷として扱われていた私だから、ピスタール王の言葉がすごく刺さる。
この人が王だから、この国は見たことがない物が多くて、楽しいんだ。
「確認は終わったか、王様よ」
「ああ、終わった。これで、今日も我は安心できる」
「そうか、ならわしは仕事に戻る」
そう言って、グラディオおじいさんは階段を戻って行った。
「それじゃ、我もそろそろ行こうか」
「え、なんの確認をしたんですか?」
国について語って、ちょっと球体を触っただけで、何の確認をしたのか、気になってしまった。
私が、そう聞くとピスタール王はゆっくりと振り向き、言った。
「発動しないってわかってても、この国を滅ぼせる代物だからな。王として確認は怠らぬ……まあ、我は心配性なんだ」
「あ、そ、そうなんだ……」
少し、苦笑いして私とフィストは顔を見合わせた。
さっきまで大きく見えた背中が、今の言葉で少しだけ小さく見える。
こういう、ところも王たるゆえんなのかもしれない。
でも、今の話を聞いていると、グラットが動揺して怒っていた理由がよくわからないな。
まあ、グラットにも色々あるのかもしれないから、これ以上考えるのはやめよう。




